昨年末X'masの頃、上勇知在住の画家・高橋英生さんに絵を頂きました
我が家には2011年、あとりえ華でのプロポーズと結婚のお祝いに頂いた
『赤い花(シルクスクリーン)』が飾られていますが
これは以前、アトリエに何気に置いてあったもので
僕がじっと見ていた時に奥様の隆子さんと「何かいいよね」なんて言い合っていたものです
何に見えますか?
どんなものを描いた作品に見えますか?
絵というものは本当に面白くて
同じ絵をみても人によって見え方や捉え方が違うものですが・・・
実はこれ英生さんの筆の試し描き用のキャンバスなんです
筆の走りを確かめるようにシュッシュッといくつもの線が縦横に引かれています
ところが僕にはこの無造作の線が音譜に見えました
五線譜上に八分音符や十六分音符
時に三連符が五線譜からはみ出すように躍っているように見えていたのです
そして白の譜面の奥に広がる音世界までも見えていました
楽譜は音にするまではただの紙と記号にしか過ぎませんが
音楽家が奏でることによって様々な感情を紡ぎ出していきます
或いは楽譜に出会った時、既にその無限の音世界を感じるかも知れません
そんな音楽の表層と深層を一枚の絵で表したのかなと思ったのです
元はといえば英生さんにとっては作品ではなく偶然の産物にすぎなかったものが
偶然にも音楽家の端くれである僕の目に止まり
「これは音楽の表層と深層を表現したものに違いない」と感じ取り
本当の理由を聞いてもなおそれならばと
「無意識に走る絵筆から生まれた意識的な作品だ」と感じる
音楽にも同じことがいえます
作曲家が愛する美しい恋人をイメージしたものでも
もしかしたら悲劇を想像するかも知れない
絵も音楽も本当に面白いものです
英生さんは以前こんなことを言われていました
「意識と偶然との出会い、それが感性だ」
なるほど言い得て妙です
「表層」
「深層」
「赤い花」