「My One and Only Song」
僕が独断と偏見でチョイスした唯一無二の一曲
大好きな曲、思い入れのある曲、泣ける一曲などを心をこめて
一曲入魂でお届けするコーナーです
第54回目に紹介したのは、dorlis『5日目の笑顔』(2004)
現在、全国ロードショー中の映画「ひまわりと子犬の7日間」が話題になっています
2007年に宮崎県で起きた実話を映画化した作品で
内容は保健所に連れてこられた母犬と子犬達の命を守ろうとする職員の必死の奮闘を描いたものです
保健所では収容後7日間の間に引き取り手が見つからなかった場合、殺処分になるという規則があります
僕自身はだいぶ前からこの事は知っていたのですが
最近、この映画の公開と同時にとある報道番組でこの事について触れていました
―毎年30万匹以上の命が消えている―
平成19度の犬殺処分数は約10万匹、猫殺処分数は約20万匹、犬猫合計で30万匹にのぼります
どうしてこんなに沢山の犬猫が殺処分されるのでしょうか?
野良犬や猫は繁殖を繰り返し、ペットとして飼われてた犬猫は安易な理由で道端や公園に捨てられます
彼らの行く先は野良犬や野良猫として生きていければまだ救いはあるのかもしれませんが
多くは人間の手により保健所へ連れて行かれ、数日間冷たい壁と床の部屋で抑留された後、殺されます
一部の自治体では、動物に苦痛や苦しみをできるだけ与えない方法で殺処分を行い遺体を焼却していますが
殆どの自治体で行われている殺処分方法は二酸化炭素(CO2)によるガス殺です
実はこのCO2ガス殺は安楽死とは程遠い殺処分方法なんだそうです
特に子犬や子猫は呼吸量が少なく、死に至る前に焼却されている可能性もあるのだとか
飼い主に見放され、もがき苦しんで死んでいく・・・
このような最期を迎える犬や猫が毎年30万匹以上もいるのです
少し前置きが長くなってしまいましたが、この曲も実はそういうことを題材にした歌で
一聴すると軽快なジャズワルツ(五拍子)ナンバーなんですが
歌詞の内容は保健所に連れて来られたワンちゃん目線の言葉になっています
5日間の保健所での日々・・・御主人様を待ち続ける日々・・・
dorlis曰く
『5日目の朝、御主人様の笑顔に会えたのか、悲しい結末になったのか、この歌詞に答えはありません。
曲を聞いた人がそれぞれに何かを感じたり考えたりしてくれると、とても嬉しいです。』
とコメントしています
是非、皆さんにも歌詞を読んで頂きたいと思い掲載します
大好きな御主人様(飼い主)の「キミ」を信じて待つ幼気な姿が目に浮かんでくるでしょう
あなたならこの物語の結末はどうなったと思いますか?
『5日目の笑顔』
頬擦りをするキミ その頬なめれば
少し温かい涙の味がした
知らない犬のガラスの瞳
どこまでも着いて来るんだ
五日目の朝にキミの笑顔会える
飽きる程キスをしてあげるから
キミと離れた初めての夜の
月はいつもより頼りなくて
甘え方さえも知らない犬に
キミとね歌ったジャズワルツ教えた
楽しくて朝まで踊り続けても
やっぱりキミの歌声がいい
あと二つ眠ればキミの笑顔会える
きっとキミもこの星空みてるだろう
狭い箱庭に差し込む光が
また一つ朝を連れて来た
ねぇ...大好きな花 大好きな道 大好きな鳥の声
オレンジの月と瓦礫の道
大好きな声 大好きなキミ 大好きな呼び名
公園のベンチ キミが撫でてくれた手のひらの温もり愛しい
明日になればキミの笑顔会える
懐かしい青空 懐かしい風
夢の中でねあの頃のように
どこまでも続く二つの足跡…
作詞/作曲 dorlis
新世代のストリート・ミュージックと評されたまばゆいスウィンギー・ポップを奏でる女性シンガー・ソングライターの1stアルバム。
“スウィンギー・ポップ”なる魅惑的なギミックでデビューし音楽シーンに一石を投じた彼女。
パリ・ミュゼットやジャンゴ・ラインハルトを彷彿とさせるような弦楽器を中心としたアレンジは新感覚のポップス
低音の発声から醸し出される妖艶さと、憂いと儚さが特徴の歌声とジャズ、スウィング、ボサノバ、サンバといった要素に、
どこか戦前歌謡曲的なノスタルジックさが合わさった音楽は唯一無二のもの。
歌詞も「毒と花の同居」と言われるように女の子っぽくて可愛らしい想いの曲から切ない思いの曲を歌ったかと思えば、
親友の恋人を策略で奪う女の子をいたずらっぽく歌ったりと女の子だったら共感出来るようなステキな曲がいっぱいです。
【dorlis】
1982年2月23日生まれ。岡山市出身。B型。
幼少の頃からクラシックギターを学び、17歳でストリートで歌い始める。その後、高校をドロップアウト、ヒッチハイクで全国を旅して、ストリートライブを重ねた。フォーキーな弾き語りが多い中、彼女のストリートでのスウィンギーなギターの弾き語りは異彩を放ち、全国各地の路上で、その命を削る歌声は行き交う人々の足を止め、彼女の周りには常に人だかりができた。
そして、その旅から戻ってきた彼女が、いつも通り岡山のストリートで歌っている時、偶然にもそこを通りがかった松原憲と出会うことになる。Misia、平井堅、BoA、CrystalKayなど、キラ星のごときアーティストのプロデュースを数多く手がけてきた松原憲が次世代のアーティストと確信。その時のことを松原憲は振り返り「まるで、もう亡くなった人の映像を見ているような不思議な感覚がしたのを今でもハッキリと覚えている。」と、彼女との出会いの衝撃を語っている。
トレードマークはスワロフスキーで装飾された赤いギター、ovation adamas。ジャンゴ・ラインハルトに影響を受け、ジプシースウィングをルーツに紡ぎ出されるdorlisサウンド――
2002年12月4日「ひとりごとみたいにアイシテタ」でインディーズデビュー。2005年1月19日シングル「マリポーサ」でビクターエンタテインメントよりメジャーデビュー。
続くメジャー2ndシングル「肌のすきま」は、内館牧子脚本、飯島直子主演のTBS系ドラマ『汚れた舌』の主題歌に抜擢。2008年には、avex・RhythmZoneへ移籍。
これまでに、土岐麻子・中田ヤスタカ(capsule)須永辰緒・Jazztronik・quasimode・SOFFet・coba・野宮真貴・chihiRo(ジルデコ)…etcといった、数多くのアーティストとのコラボレーション作品も発表している。
2012年6月20日 デビュー10周年の集大成としてオリジナルベスト+カバーの2枚組ベストアルバム「dorlis」をリリース。