
すぐに出てくるのは立原道造の「ゆうすげびと」
漢字でもカタカナでもなくてやはりひらかなだ。
気になる人のイメージをこの花色に託して詠んだのだろうことはすぐに知れるのだけれど
早世の詩人の詩集には収録はされなかった。没後に編まれた二つの詩集にもない。
エピソードとして後年伝えられた室生犀星のエッセイには
詩にある通りに淡いあわい初恋だったのか、失恋だったのか…は知らない。
(2022.07.01 須磨離宮公園)
☆
昼間の夕菅
ユウスゲ(夕菅)ススキノキ(←ユリ)科ワスレグサ属 Hemerocallis citrina var. vespertina
(=Hemerocallis vespertina、Hemerocallis thunbergii)
(2022.07.11 明石公園)
☆
ゆうすげびと / 立原 道造
かなしみでなかった日の ながれる雲の下に
僕はあなたの口にする言葉をおぼえた
それはひとつの花の名であった
それは黄いろの淡いあわい花だった
僕はなんにも知ってはいなかった
なにかを知りたくて うっとりしていた
そしてときどき思うのだが 一体なにを
だれが待っているのだろうかと
昨日の風に鳴っていた 林を透いた青空に
かうばしい さびしい光の まんなかに
あの叢に咲いていた そうしてきょうもその花は
思ひなしだか 悔いのようにーー
しかし僕は老いすぎた 若い身空で
あなたを悔いなく去らせたほどに
--------------------------------------------------------------
ユウスゲ2016 ユウスゲ2007
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます