携帯電話業界ブログ

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世界の携帯大手、スマートフォンに軸足 iPhone追撃へ虎視眈々

2010-02-21 | 端末メーカー/世界



 世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」がスペイン・バルセロナで15日に開幕した。

 端末大手はインターネットの操作性を高めたスマートフォンの新機種を発表。市場全体が伸び悩むなか、高成長の高機能分野が主戦場となり、日本勢も対応を迫られそう。


●スマートフォン時代の幕開け

 2009年の出荷台数が前年比15.6%増と好調を続ける世界シェア2位(約20%)のサムスン電子は、10年を「スマートフォン時代の幕開け」と位置付ける。

 MWCの開幕に先立って開いた記者会見では、3.3インチのタッチパネル画面を備えサムスン独自のソフト配信サービスに対応する「ウエーブ」を発表した。年内に世界各国で順次発売する。

 サムスン電子は普及価格帯の機種が強みだが、スマートフォン分野ではシェア5位と出遅れている。

 そこで今年は、ウエーブなど新製品の投入によってスマートフォンの出荷台数を前年比3倍の1800万台に増やす計画。サムスン電子の約2倍のシェア(09年約38%)を持つノキアを追撃する。

 韓国勢の台頭などで09年の出荷台数が前年より減ったシェア4位(同約5%)のソニー・エリクソンは、製品群をスマートフォンに絞り込む。

 4月以降、米グーグルの携帯電話用OS「アンドロイド」を搭載した「エクスペリア」シリーズ2機種を含むスマートフォン3機種を発売する計画を明らかにした。

 主力と位置付ける小型スマートフォン「エクスペリアX10ミニ」は、手のひらに収まるサイズ。2.6インチのタッチパネルで片手だけで電子メールの送受信など大抵の操作が可能という。

 大画面が中心のスマートフォンで小型機種を品ぞろえし、新たな需要を開拓する。

 日本勢は存在感が薄い。東芝が10年中に発売予定のスマートフォン2機種を発表したが、端末の出展を見送ったメーカーも多い。欧州向け中心の見本市とはいえ、慎重な姿勢が目立つ。


●インテルとOS共同開発

 一方、首位のノキアは15日、米インテルと共同でスマートフォン向けなどのOSを開発していくと発表した。

 ノキアは09年6月、インテルと次世代携帯端末の開発で提携した。パソコンのMPUで約8割のシェアを持つインテルと組み、スマートフォン分野での覇権を確実にしたい考え。

 マイクロソフトは同日、スマートフォン向けOSの新製品を発表した。自社のゲーム機「Xbox360」向けのゲーム配信サービスを使えるようにした。

 新OS搭載の端末を「ウィンドウズフォン7」シリーズと名付け、10年末までに各国で発売する。

 米調査会社IDCによると09年の携帯電話の世界出荷台数は11億2780万台で前年比5.2%減ったが、スマートフォンは好調で、09年の出荷台数は1億7420万台と前年比15.1%増えた。

 米調査会社のアイサプライは、2008年に世界で1億6100万台だったスマートフォンの出荷台数が、13年には4億3900万台に伸びると予測している。


●コンテンツ充実が鍵

 現時点では、スマートフォン市場ではアップルのiPhoneが圧倒的にリードしている。

 シェア奪取の鍵を握るのは、ゲームなどのコンテンツの充実。iPhone向けコンテンツの配信サイト「App Store」は、ゲームなど10万本超をそろえており、iPhone躍進の起爆剤となっている。

 野村総合研究所の石綿昌平・上級コンサルタントは「端末自体には大きな差はなく、どういったサービスが使えるかが重要になる」と指摘する。

 注目されるのが、グーグルが提供しているコンテンツ配信サービス「アンドロイド・マーケット」。

 コンテンツ数は非公表だが、急速にコンテンツを増やしており、アイフォーンに対抗すべくメーカー各社はアンドロイドOSの搭載を進めている。

 この日、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長がソニー・エリクソンの発表会に登場。「協力関係を強化する」と述べ、ゲーム機のプレイステーション向けコンテンツをスマートフォンにも活用する考えを示した。

 サムスンも、自社製OSの搭載端末向けにコンテンツ配信サイトを開設するなど独自の取り組みを展開。「低くはない壁」(サムスン関係者)というiPhoneのとの争いが今後激しくなりそう。





【記事引用】 「日本経済新聞/2010年2月16日(火)/11面
         「フジサンケイビジネスアイ/2010年2月16日(火)/3面


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