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中韓台、割安スマートフォンで日本市場への攻勢強める 国内市場、価格競争一段と激化

2012-04-23 | 端末メーカー/世界



 スマートフォンの低価格化が進んでいる。アジアブランドのスマートフォンが量産効果による低価格で日本市場への攻勢を強めているのがその背景。

 台湾のHTCは20日、KDDI(au)向けに日本独自のスマートフォンを供給すると発表。華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの中国勢もソフトバンクなど国内キャリア(通信会社)への供給を拡大している。

 国内市場でスマートフォンメーカーの価格競争が一段と激化しそう。


●日本市場の本格開拓

 HTCが日本で投入する「HTC J」は米グーグルの最新基本ソフト(OS)「アンドロイド4.0」を搭載し、毎秒最大40Mビットの通信速度がある高速無線「WiMAX(ワイマックス)」に対応。

 起動時間が0.7秒の高速起動カメラ、高音質音楽再生、「おサイフケータイ」やフェリカなどの日本独自の機能も搭載した。店頭価格は2万-3万円の予定。

 HTCはこれまで世界共通モデルを日本に投じてきたが、日本独自機種の投入は同社が日本市場の本格開拓に乗り出したことを意味する。

 世界のスマートフォン市場はパソコンの台数を上回り約5億台と普及が進むものの、低価格化が激しい。「多くの端末メーカーは1台100-150ドルの機種を開発しており、最終的には70ドルまで下がるだろう」(グーグルのエリック・シュミット会長)との指摘もある。

 日本でも、アジア製スマートフォンの店頭価格は国内製に比べ数万円程度安い製品もある。

 世界から比べれば規模が小さい日本になぜアジアのメーカーが乗り出すのか。それは、日本が世界有数の高機能端末市場であるから。LTEやKDDIのWiMAXなどの高速データ通信網で先行。

 スマートフォンの普及率はまだ2割程度にとどまっており、利幅の大きい高機能機種を売り込むには適した市場といえる。


●コスト改善急ぐ

 アジア勢では、まずサムスン電子がNTTドコモ向けに「ギャラクシー」シリーズを積極展開することで先行。

 最近ではKDDI向けにも供給を開始したほか、LG電子もドコモ向けに供給していたスマートフォン「オプティマス」シリーズをKDDI向けに横展開を開始した。

 また、中国勢ではファーウェイやZTEがソフトバンクモバイルやイー・アクセス(イー・モバイル)などに低価格帯のスマートフォンを供給して攻勢をかけている。

 海外勢の端末は原価が国内勢に比べて「100-200ドル安い」との声もあるほか、携帯電話各社は販売奨励金と呼ばれる割引原資を積み増し、従来型の携帯電話からの乗り換えをしやすくしており、店頭価格は新品でも「ゼロ円」の機種さえある。

 一方、国内メーカーは日本独自の携帯開発中心の体制となっていたため、スマートフォン開発で出遅れた。2011年冬頃からようやく主力製品が出始めたものの、コスト競争力の差は歴然。

 例えば、サムスンやHTCといったグローバルメーカーが年間5000万-1億台のスマートフォンを生産する一方で、国内メーカーは数百万台規模。コスト面では太刀打ちできない。

 国内各社は、国内工場を閉鎖して生産を海外移管するなどリストラを促進。海外への生産委託などでコスト改善を急ぐ。


●差別化がカギ

 富士通モバイルコミュニケーションズの大谷信雄社長は、「高性能の追求はアジア勢でもできる。最終的には、国内各社の消耗戦にならざるを得ない」と強調する。

 国内勢にとっては、機能や価格以外に付加サービスの搭載などが差別化のカギを握る。




【記事引用】 「日経産業新聞/2012年4月23日(月)/3面」


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