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中国の通信機器・ソフト大手、日本市場の開拓に本腰 品質も急速向上、携帯電話各社採用相次ぐ

2012-01-04 | 端末メーカー/世界



 中国の通信機器やソフト大手がスマートフォンなど携帯端末で日本市場の開拓に本腰を入れている。華為技術(ファーウェイ)は近く、日本国内にスマートフォンや通信設備の研究開発拠点を開設する計画。

 中興通訊(ZTE)は、日本市場に的を絞った製品の開発体制を構築した。低コスト生産を武器とする中国勢の攻勢が強まることで、携帯端末の競争が一段と激しくなることは確実。


●グローバル戦略で重要

 ファーウェイは2012年初頭にも、スマートフォンや基地局向けの通信設備などを開発する研究所を国内に新たに設置する予定。日本市場で顧客のニーズや特徴をきめ細かく分析することで、世界市場での競争にも役立てるのが狙い。

 「日本法人はグローバル戦略で重要になる」(胡厚崑(ケン・フー)副会長)。同社は11年夏モデルからKDDIに携帯型無線LANルーターなどの納入を開始し、国内4社すべての携帯電話事業者と取引関係を構築することに成功した。

 NTTドコモの子供向け簡易型携帯電話「キッズケータイ HW-02C」や国内のスマホでは最大容量のバッテリーを搭載したイー・アクセスの「GS02」など戦略製品も投入したことで、11年の日本での通信端末製品の売上高は前年比5割以上増加したもよう。

 研究開発拠点の設置などでさらに販売を拡大する考え。

 中国のソフト大手、金山軟件の日本法人キングソフトも日本で低価格の端末を開発する新会社のモバイルインスタイルを設立した。12年1月から多機能携帯端末「eden TAB(エデンタブ)」で日本市場に参入する。

 米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載し、どの携帯電話会社の回線でも使える「SIMフリー」で提供する。価格は2万-3万円と国内の競合製品の半分程度。

 デザイン開発では中国の若年層に大人気となっている格安スマートフォンメーカーの小米(シャオミ)が協力しており、今後はスマートフォンの投入も計画している。


●日本市場での事業拡大狙う

 ZTEも日本市場に的を絞った製品開発に動き出した。11年12月にソフトバンクモバイル向けに納入を始めた新型スマートフォン「STAR7 009Z」はワンセグ、高い防水性能といった日本の顧客が要求する機能を初めて搭載した。

 研究開発や営業面の体制を一段と強化するため、日本法人ZTEジャパンの正社員数もこの1年で2倍の100人規模に増強した。

 ZTEジャパンの王旗副社長は「日本市場の価値はグループの端末開発のロードマップでもトップ。利用者のニーズを反映した製品を今後も矢継ぎ早に投入する」としており、日本向けに開発したモデルなどをグローバル戦略に生かし、競争力を高めたい考え。

 日本ではパソコンで実績のあるレノボ・グループも日本でスマートフォンを投入する構想を打ち出している。楊元慶最高経営責任者(CEO)は「(スマートフォンの)参入を検討している」と明言する。

 現在、レノボは中国でのみスマートフォンを販売しており、NECとのパソコン事業の統合で拡大傾向にある日本市場での事業拡大を狙っている。


●低価格が魅力

 中国メーカーが日本への参入を加速しているのは、携帯電話各社からの採用拡大が見込めるため。各社は子供向けの簡易型携帯電話などで安価な通信料金を武器に利用者を囲い込む戦略を打ち出しており、端末の調達コストをいかに抑えるかが重要になっている。

 中国勢も得意のコスト競争力に加えて、中国市場の急成長などを追い風に品質を向上させている。「日本メーカーよりも驚くほど安く端末を調達できる」。中国製品の利用に積極的なソフトバンクモバイル幹部はこう打ち明ける。

 同社では「ウルトラスピード」の名称で展開する中興通訊(ZTE)製の携帯型無線LANルーター「007Z」は、今や店頭ではスマートフォンと並ぶ主力製品の一つに成長している。

 ソフトバンク以上に、イー・アクセスは早くから中国勢と取引関係を構築。品質向上を認めたNTTドコモとKDDIもここにきて追随の動きを強めており、携帯各社の端末調達の有力な選択肢に浮上してきた。

 ドコモは上位機種のスマートフォンをシャープ、富士通といった国内メーカーや韓国サムスン電子などのグローバルメーカーから調達する一方、端末価格が3割程度安い廉価版モデルについては製造コストの安い中国メーカーなどから調達。

 ラインナップを多様化することで、顧客開拓につなげている。

 これまで日本では独自仕様の携帯電話が普及してきたが、スマートフォンの普及で米アップルやサムスン電子など海外勢が台頭。国産勢は押され気味の状況が続く。

 コスト競争力の高い中国勢がさらに攻勢をかければ、競争条件が一段と厳しくなる。




【記事引用】 「日経産業新聞/2012年1月4日(水)/3面」


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