携帯電話業界ブログ

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携帯大手の勝ち負け鮮明 スマホ不振で最終赤字のノキア、スマホが業績牽引のサムスン

2012-04-28 | 端末メーカー/世界



 携帯電話世界大手の好不調が鮮明になっている。

 今年1-3月期には韓国サムスン電子の業績をスマートフォンがけん引する一方で、フィンランドのノキアはスマートフォンの不振で最終赤字に転落した。

 スマートフォンの競争力は携帯全体のブランドカに直結しており、業界集計では1-3月にノキアが14年守った世界出荷台数首位の座をサムスンに明け渡した。


●新興国でもシェア低下

 米調査会社ストラテジー・アナリティクスが27日まとめたリポートでは、世界の携帯電話機(スマートフォン以外も含む)の1-3月の出荷台数は、サムスンが9350万台、ノキアが8270万台だった。

 ノキアは1998年以来、14年ぶりに世界首位から転落した。販売不振を受けてノキアの財務悪化は鮮明。欧米系格付け会社フィッチ・レーティングスは債務格付けを1段階引き下げ、投機的水準の中で最上位の「ダブルBプラス」にした。

 借入金を返済してもなお手元に49億ユーロ(約5200億円)残る規模の現預金があるが、「リストラ費用や赤字で大きく減りかねない」と先行きを懸念した。

 ノキアの今年1-3月期の最終損益は、9億2900万ユーロの赤字。携帯電話部門の営業損益はゼロ近辺の計画に届かず赤字となり、販売担当トップの辞任に発展した。

 4-6月期にはさらに悪化する可能性がある。スマートフォンで出遅れ、新興国でもシェア低下が加速し始めた。中国やインド、アフリカの不振が目立つ。

 事業を身の丈に合わせるための販売網縮小などリストラ費用も必要。財務の健全性を測る指標で、有利子負債を株主資本で割った負債資本倍率は3月末の0.4倍からさらに高まる見通し。

 4月に入ってからの株価下落は急で、27日の株式時価総額は103億ユーロと2007年の10分の1以下になった。


●世界首位競うサムスン

 再生は米マイクロソフトと共同開発し、基本ソフト(OS)に「ウィンドウズ」を搭載したスマートフォン「ルミア」にかかる。昨年10月から投入し、1-3月は200万台を販売。

 「米国では予想を上回ったが、英国では苦戦中」(スティーブン・エロップ最高経営責任者=CEO)と現時点では販売が軌道に乗るか見えない。

 格付けを「Baa3(トリプルBマイナスに相当)」と、投資適格のなかの最低水準としている米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「ルミアの販売が減速するようなら投機的水準に格下げする」と警告する。

 出遅れたノキアに対し、スマートフォンヘの切り替えを迅速に進めて高成長につなげたのが韓国サムスン電子。

 2012年1-3月期の連結営業利益は5兆8500億ウォン(約4200億円)となり四半期ベースで過去最高。この半分以上をスマートフォンが稼いだ。

 成功のカギは製品開発のスピード。09年末。韓国通信最大手のKTが米アップルの「iPhone」を発売した。

 サムスンはそれまでスマートフォンを共同開発していたKTに不信感を抱くと同時に、金城湯池のはずの母国市場で爆発的な支持を得るiPhoneに圧倒された。

 これを教訓に、単独でのスマートフォン開発を一気に加速。半年後の10年6月に戦略機となる「ギャラクシーS」、さらにその10カ月後に「SⅡ」を投入してアップルに追いすがった。

 「素早く意思決定し、発売の瞬間まで仕様を変更する大胆さ」(サムスン幹部)が奏功。2年で主力事業に育て、アップルと世界首位を競う。


●圧倒的有利な立場

 ただ、サムスンのような企業は稀。スマートフォンやタブレット端末といったアップルが導くデジタル製品の急速な転換は、世界の主要プレーヤーを次々に低収益に追いこんだ。ノキアしかり。韓国のLG電子も苦しむ。

 逆に、中国の中興通訳(ZTE)のようにスマートフォンの波に乗ろうとする新興メーカーもある。

 上位機がスマートフォンに切り替わる動きは先進国から新興国へと進み、既にスマートフォンでブランドカを固めたサムスンはノキアなどに対し、圧倒的に有利な立場にある。




【記事引用】 「日本経済新聞/2012年4月28日(土)/9面」


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