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国内携帯電話メーカー各社、開発体制をスマートフォンに特化 成長分野で攻勢、海外でも出荷拡大

2012-01-04 | 端末メーカー/日本



 国内携帯電話メーカー各社は、スマートフォンに特化した開発体制に移行する。

 富士通は2012年から新規開発をスマートフォンに集中するほか、NECカシオモバイルコミュニケーションズも新機能の搭載をスマートフォンに絞る。成長するスマートフォン分野で攻勢をかけ海外でも出荷拡大を狙う。

 機器に組み込む電子部品の高機能化も加速しそう。


●従来型の新規開発中止

 富士通は従来型携帯電話では新規開発を中止し、デザイン変更や既存技術を活用した機種の販売にとどめる。音声認識技術など新技術は高速通信に対応した新型スマートフォンや高齢者向け携帯に搭載する。

 従来のNTTドコモ向けに加え、携帯事業を統合した東芝と取引があったKDDIや海外通信会社への納入を拡大する。今年度は前年度比4%増の700万台の出荷を目指す。

 NECカシオはスマートフォンの機種を前年度の1機種から6機種に拡充、開発陣の3分の2を振り向けた。高性能カメラなど新機能もスマートフォン用に開発する。

 欧米で販売を拡大し、今年度の出荷を47%増の650万台、12年度には1200万台を目指す。

 パナソニックモバイルモバイルコミュニケーションズも開発予算や人員の9割を移す。12年春にスマートフォンで欧州市場に再参入。15年度には1500万台の総出荷の6割を海外で販売する目標を掲げる。

 シャープは従来型携帯の開発サイクルを現在の半年から1年に延長し、国内外で同時販売できるスマートフォンの開発に力を注ぐ。

 携帯電話メーカー各社はかつて海外市場で従来型の携帯電話を販売してきたが、価格競争の激化と仕様の違いなどから撤退した。

 しかし、基本ソフト(OS)など仕様が世界共通のスマートフォンを主力製品にすれば国内外で同一の製品を展開しやすくなるメリットがある。


●高機能部品開発に力

 スマートフォンシフトで電子部品メーカーも高機能部品の開発に力を入れる。スマートフォンは、従来型携帯に比べ高い部品集積度が求められる。

 ロームは、昨年10月に表面積が0.3mm×0.15mmと従来の最小品よりさらに4割小さくした超小型のチップ抵抗器を開発した。

 TDKは、電子部品を載せる基板の内部にもICを実装できる技術を開発。国内外の機器メーカーに同技術を使った薄型基板の納入を始めた。

 今後主流になる高速携帯サービスに対応したスマートフォンでは部品の集積度がさらに高まる見通しで、「スマートフォンが電子部品の進化を加速させている」(TDKの上釜健宏社長)。

 MM総研の調べによると、11年度の携帯電話総出荷4160万台のうちスマートフォンが5割強を占める。15年度には7割以上に拡大するとみている。




【記事引用】 「日本経済新聞/2012年1月3日(火)/7面」


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