NTTドコモやKDDIなど通信各社は、携帯電話の主力機種をスマートフォンにシフトする。今年度発売する機種の半分以上をスマートフォンとする。
来年度には台数でも5割超とし、従来型携帯電話と置き換えていく。
日本独自の従来型携帯と異なり、スマートフオンは基本ソフト(OS)など仕様が世界共通。製造コストが下がりやすく、端末の低価格化にもつながりそう。
●増加ペース加速も
シャープのほかNEC系、富士通などの携帯電話メーカーも、スマートフォンで世界市場への再進出を狙っている。
通信会社がスマートフォンに軸足を移せば、メーカーにとっても独自仕様の従来型携帯電話を製造する負担の軽減が期待できる。従来型携帯電話は半導体などで特注品を多く使うため、震災の影響で調達が遅れる可能性がある。
業界の予想では、今年度の携帯電話の国内出荷台数は3800万台前後。このうち、スマートフォンが約40%を占めるとみられているが、この割合の増加ペースが速まる可能性が高い。
ドコモは、2011年度の出荷台数の3分の1にあたる約600万台、12年度には、過半の約1000万台をスマートフォンとする計画。
また、通信速度が現行の5倍以上の高速携帯電話サービス「LTE」に対応した端末を発売。
現在はパソコンなどに差し込むカード型端末のみだが、今秋に富士通製のタブレット(多機能携帯)端末、冬には韓国サムスン電子製のスマートフォンを投入する。
今夏には、ワイヤレス充電できるシャープ製スマートフォンも出す。
KDDlは11年度、通信速度が現行の5倍の「WiMAX」技術を搭載したスマートフオンを3機種以上投入する。30~40機種の新製品の半分以上をスマートフォンとする。
ソフトバンクモバイルは、今秋にも米アップルの「iPhone」の新型機を発売。米グーグルのOS「アンドロイド」を採用したスマートフォンも増やす。
2~3年以内に、新機種のすべてをスマートフォンとする方針。
●通信収入の底上げ
スマートフォンは、パソコンのような使い勝手で「アプリ」と呼ばれる応用ソフトで機能を拡張でき、データ通信量が大量になる。
通信各社はスマートフォン拡充で利用者がLTEやWiMAXなどの高速サービスに移行する契機にする考え。1契約あたりの通信収入の底上げにもつなげる。
総務省はスマートフオンなどの普及により、17年にはデータ通信量が現在の200倍に拡大すると試算している。
【記事引用】 「日本経済新聞/2011年5月7日(土)/11面」