風の声

想いつくまま

今、戦前を生きている

2023年01月14日 | 日記

君たちは、戦前を生きている。

若者たちにむけた「最後の講義」で、そう話しかけた映像作家の大林宣彦。「今」を「戦前」だと言い放したことにハッとした。

各界のスペシャリストが「もし今日が最後だとしたら何を語るか」というテーマのもと、学生たちに講義を行なう。映画づくりを志す若者たちへの大林監督の講義だ。亡くなる5年前に収録された番組が再び放映された。

「余命宣告3か月」から3年目の大林宣彦監督が教壇の椅子に腰をおろし、3時間にわたって語りかける。「母が自分を殺して、自殺を図ろうとした」戦時中の衝撃的な思い出を語る。そして「平和」への熱い思いを。

「映画とはフィロソフィーである」と繰り返した。

余命宣告を受けながら新たな作品に挑んだ凄まじさ。「反戦」というひとつのテーマを映像表現の世界に追い求めてきた生き様は、とてもやわらかな美しさを感じさせた。

「今、戦前を生きている」と、プーチンの侵略戦争を予言したかのようなメッセージだった。







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