お世話になっていた方からの賀状がきていた。
転居を機に年賀状をやめてから、もう何年も経つ。それでも数枚の賀状が義理堅く届いている。申し訳ないなぁとの思いで読み終えたところへ、その方から賀状LINEが入ってきた。
「しぶとく生きています」と、らしいその文面に、あの頃が浮かんでくる。
公務に携わっておられ、とても一方ならぬお世話になった。出向いたとき部屋を訪ねると、いつも私の好みのウエッジウッドの紅茶が用意してあった。
あるとき、苦慮していることを知ってか、ランチを誘われたことがある。地下にある店ですき焼きランチを頬張りながら、ゆっくりな独特の口調で私に示唆するかのようなわずかな語りだった。
以後、その言葉はずっと心の隅にあった。そのお陰で迷うことなく最善の判断ができた。あの話のおかげで救われたことを、そしてこれまでのエピソードなどをLINEに返信した。
「政治や行政の力の劣化が著しく目を覆うばかりです」と嘆かれる文面からは、気骨で気概にあふれた姿が思い出される。
老当益壮、ますます盛んな気概を懐かしい賀状が運んでくれた。