明け方まで降っていた雨は上がりいい天気になった。
彼岸の中日、墓参りに郷へと車で出かけた。
途中、母の好物だった牡丹餅を買う。
道沿いに見える川は雨で水嵩を増している。
褐色の流れからはいつもの川の風情はない。
墓の周りの草取りをしていると、ホトトギスが鳴き始めた。
新米なのか、最初の「ホー」を長く伸ばせない。
口笛で伸びを教えてやるのだが、下手はなおらなかった。
手を合わせ教本を手にお経を読む。
父にはまだ及ばないが、母の年齢はこえてしまった。
お袋はどんな思いで手を合わす息子を見ているのだろうか。
帰り道、川端へと降りれる道に車を停め、しばらく川面を眺めた。
彼岸の中日、お袋と親父も見ていた景色を一人見る。