気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

大腸の内視鏡検査Ⅱ

2011-10-12 19:34:02 | イラスト
 長いファイバースコープ(内視鏡)がいきなり私のお尻に挿入された。透視台の周りの動きが「わさわさして」落ち着かなかった。腸に空気を送り込む者、私のお腹を抑える者、内視鏡を操作する者、いったい何人立ち会っていたのだろうか。内視鏡が大腸の内壁にぶつかりながら、奥へ奥へと突き進む様子が私のお腹から伝わった。鈍痛に堪えきれず呻き声をもらすと、看護婦が「がんばってください。」と励ましてくれた。                                                               密室の格闘技は30分ほどで終了した。「終わりました。お疲れさまです。」の声を聞いて緊張が解け、どっと疲れがでた。
 透視台から車椅子に乗せられ、検査室の隣りにある休息室へ移動した。そこにはサウナの休憩室に置いてあるようなリクライニング式の肘掛ソファと足のせ用のスツールが3組置かれていた。ソファとソファの間はカーテンで仕切られていた。私は真ん中のソファに座らされたが、穴あきパンツの下に紙のパッドがおねしょシーツのように敷かれたのが気になった。
 「麻酔が完全に覚めるまで安静にしていてください。」
 私のお腹は空気でパンパンに張っていた。ガスが出ると楽になる、お腹の中は空っぽだからガスが出ても大丈夫と看護婦は言うが、オナラを出す勇気がなかった。安静よりもトイレに行きたかった。左隣のカーテンの向こうでは私の前に検査を終えた70代の女性が鼾をかいて寝ており、ときどき豪快なオナラを出していた。
 「すみません、待合室に読みかけの本を置いてるのですが、読んでもいいですか。」と看護婦に甘えると快く取ってきてくれた。
 今日の検査が一日がかりになることを考えて、妻が薦めてくれた単行本を持参していた。
 「『アルジャーノンに花束を』ですか。私も読みました。」看護婦が嬉しそうに言った。
 安静タイムが終わり、検査着を着替えるように言われたので、まずトイレに入った。病院に来てから7回目だが、下剤と潤滑剤が少し出ただけで、肝心のガスが出ない。
 着替えが終わって暫くして内科医から検査結果の説明があった。カルテに腸内の画像が添付されていた。
 「ポリープが見つかりました。組織検査に出しましたので、来週また来てください。」
 見つかってよかったのかどうか判らないが、安心できるのはまだ早いようだ。
 
 下剤が効きすぎたようで、帰宅して寝るまでにトイレに5回通った。組織を取った時の傷が原因と思われる下血もあった。なんとか大変な一日が終わったが、トイレの回数が一日に14回という結果に驚くとともに、ウオッシュレットのありがたみをヒシと感じた。