架空庭園の書

音楽への"homage"を主題として、思いつくまま気侭に書き連ねています。ブログ名はアルノルト・シェーンベルクの歌曲から

アンサンブル・チェトラ 第25回定期演奏会

2008-02-09 | 音楽

2008年2月7日(金) 
府中の森芸術劇場ウィーンホール
アンサンブル・チェトラ

B.ブリテン:シンプル・シンフォニー 作品4
M.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
A.ドヴォジャーク:弦楽四重奏第12番ヘ長調 作品96《アメリカ》
A.ヴィヴァルディ:「調和の霊感」第10番 ロ短調
バルトーク・ベーラ:ルーマニア民族舞曲 Sz.68
E.グリーグ:組曲《ホルベアの時代から》作品40
G.ホルスト:センチポール組曲 作品29の2
A.ドヴォジャーク:弦楽のためのセレナーデ ホ長調 作品22

このホールはいつ来ても気持ちがいい。
紀尾井ホールのような豪華さはないものの、木目調の壁やステージにあるパイプオルガンといったホール内部からホワイエでのコーヒーなどのサーブ、さらには、ホールの外、並木道、駅までの距離感、周辺の町並み(渋谷のようながさつさもなく)。それらがすべて音楽を聴く楽しさを増幅させる。

よく知られた曲ではあるが、演奏会で取り上げられることが少ないプログラムが聴けるということで、出かけた。演奏は、若者らしく、素直な、ほのぼのとしたもので、心地よい一夜であった。

シンプル・シンフォニー
ブリテン20歳の時の作品。今夜の演奏者たちとほぼ同年代のころの曲、ヴァイオリンパートが2人ずつ、6名の編成。この重ねた部分にやや無理(音程において)があるかもしれない。

亡き王女のためのパヴァーヌ
弦楽五重奏に編曲。アンサンブルとして、どこか頼りないのではあるが、それでも、各パートがお互いに目や、身体を使って合わせて曲を進めるなかで、音楽的な瞬間が生まれていた。

アメリカ
やや線が細めではあったが、明るい演奏であった。

調和の霊感
8名での演奏。ヴィヴァルディらしい、のびのびと、さわやかな演奏。

ルーマニア民族舞曲
黒の衣装。女子は赤い髪飾りを付けていた。
磨きこまれていない、ややザラっとしたアンサンブル。しかし、それが、この曲の感じ、土の匂いといったもの、特に終曲に似合っていた。

ホルベルク組曲
躍動感のある前奏曲から終曲まで、豊かな音量と推進力のある演奏。
そしてdivされた弦楽器の多層的な響きが楽しめた。

セントポール組曲
今日の目的の一つ。これまでリチャード・ヒコックスの演奏(CHANDOS)で聴いてきた曲を実際に聴くことができる。終曲に出てくる《グリーンスリーブス》の旋律がもう少し大きくても良かったのではないだろうか?

弦楽のためのセレナーデ
本日のプログラムでは、一番大きな編成。ドヴォジャーク(このブログでは、ドヴォルザークやドヴォルジャークではなく、ドヴォジャークと書いている)の交響曲でいえば4番と5番の間、ドヴォジャークの個性がより表現されだした33歳の若々しい作品。
大好きな曲であり、今日の聴き所である。どこか懐かしさを感じる旋律を豊かに歌われた。

アンコールはO.レスピーギ「リュートのための古い舞曲とアリア」第3番から《シチリアーナ》。

====================================================================
プログラム全体は、よく知られた曲で構成され、これらの曲に出会った頃を思い出しながら聴けた。

どの曲も指揮者なしの演奏である。これは指導されるトレーナーの考え(各自で音を聴き合うためのの訓練)もあるのだろか?
「指揮者なし」というと、オルフェウス室内管弦楽団を連想する。この団体の場合、アンサンブルの精度の高さの割りに、時として音楽がつまらないことがあるのだが、今日は(アンサンブルの精度は別として)強弱の変化などもきっちりと付いて、曲想がよく表現されていた。

男子と後方のプルトの奏者の姿勢が硬直している。「もっと身体全身で、音楽を表現してください」といったのは"ミルヒー"こと指揮者"シュトレーゼマン"であるが、音楽の流れにのれば(「没頭?」)、自然に身体も従うようになるのではないだろうか?
これは、ただ動かせばよいということではない。今日の演奏だけを見ても、メンバーのなかで、上手そうな子は、自然に身体が動いていることからも理解できるだろう。

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 川久保賜紀 ヴァイオリン・リ... | TOP | 東京藝大チェンバーオーケス... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 音楽