河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

ボート

2010-03-30 23:26:39 | 読書(小説)
ナム・リー、新潮クレストブックス。
海外の短編だなあ、という味わい深い掌編。
それだけだったら、普通すぎる。
しかし、面白いのは、オーストラリア出身のベトナム移民で、
まだ20代の時にアメリカに渡ってこれを書いたこと、
7つの短編のすべてが、国も舞台も時代も違うということ。
愛と名誉と憐れみと誇りと同情と犠牲、カルタヘナ、エリーゼに会う、
ハーフリード湾、ヒロシマ、テヘラン・コーリング、ボート。
最初と最後が、ベトナムのボートピープルが出てくる。
あとは、コロンビアだとかアメリカだとか日本やイランや。
最初の話が少し面白い。
小説家のくせに、文章で経験を記録することを否定した。
むかし、「ドラゴン号の航海」というボートの時代の小説を読んだ。
これでオーストラリアへ渡った子孫が、今、小説を書いてるんだなあ。
お話自体は、さほどやめられない!とかそんな面白さはないけど、
この経歴から、こんな小説が出てくるという意外なところが面白い。
ただ、経歴だけでおもしろがられているので、この先どうなるか。
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はむ・はたる

2010-03-24 23:08:48 | 読書(小説)
西條奈加、光文社。
フジモトマサルのイラストはいいが、
「はむ・はたる」の意味を知ると、
がんばって生きる孤児たちの姿とタイトルが不一致・・・
もっと色気のある女性を描かないといかんのでは、なんて。
身寄りのない子どもたちを主役に置くことで、
ちょっと臭いところはいっぱいある。
それに、子どもから見たという語り口は、
汚い大人の世界や男女のあれこれ、推理小説の仕掛けも含め、
見えないことにしてしまうので、ちょっとずるい。
なんかできすぎの柾(まさき)さんはきっと女性向け。
最初の3話の主人公は男だけど、語り口に違いを見いだせず、
同じ奴かと思ったが違った。
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DVD「時計仕掛けのオレンジ」

2010-03-22 22:14:49 | 映画
何みてんだろう・・・。
キューブリックの古い映画。
ってもあまり古さは感じないよ。
というか時代が追いついて、こういうクレイジーなやつ、
今はホントにうようよいるから怖い。
主人公は高校生くらいなんだろうけど、
常軌を逸したいたずらの数々を引き起こし、
とうとう殺人を犯してしまう。
自身もそんな自分をもてあましているのか、
最新治療を受けて、矯正実験を受けることに・・・
オチがそれかよ、って感じ。
映像が面白い。
動きがあって、映像だけで何かを語れそう。
ファッションもサイケすぎてて、古いけど面白い。
音楽もクラシック満載。チャイムもベートーヴェン。
だけど、危ない映画だから、親の前では見ちゃダメですよ。
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運命の騎士

2010-03-18 22:36:52 | 読書(小説)
ローズマリ・サトクリフ、岩波少年文庫。
ローマ・ブリテン三部作を制覇したので、次。
今度は、1090年代から1100年代にかけて、
ノルマン人がイギリスを征服しようとする時代。
犬飼いの孤児ランダルが、道化師に拾われ、
ディーンの騎士ダグイヨンの孫ベービスの小姓となる。
不幸な生い立ちから、逃げてばかりだったランダルは、
故郷のような土地、親友と主君を得、成長していく。
ランダルの成長と、滅びゆくサクソンが同時に描かれる。
ランダルとベービスの友情と別れや、ランダルの恋、
すねていた子ども時代から、たくさんのものを与えられ、
たくさんのものを守れる大人になっていく様子が、
不自然なところなく描かれていて、面白い。
まだまだこの人の本はたくさんあるからいろいろ読んでみよう。
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かのこちゃんとマドレーヌ夫人

2010-03-14 15:39:50 | 読書(小説)
万城目学、ちくまプリマー新書。
なぜか、新書。
しかも、子ども向け。
ホルモーとか鹿男、ぶっとんでて面白かったけど、
これは、もうちょっと普通の、猫と女の子の話。
小1のかのこちゃん。おませとはほど遠い。
犬の玄三郎を夫に持つ、アカトラ猫のマドレーヌ夫人。
とぼけた味のお話。猫又が出てくるようじゃ、普通ではないか。
4章に分かれているけど、第何話、というのではない。
トイレで見る茶柱ならぬ○柱、だのクスリと笑えるポイント多数。
でも、読み返したいとかは、ないな。
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