not simple

漫画。
分厚い。
ネットで途中から読み始めたけどよく分からなかった。
プロローグで解決。
そういうお話だったのか。
謎だらけの話、だと思っていたけど、
最初から読んでいたら、どんどん明かされるディテールってところ。
だけど、読後感は、なんて言っていいのか。
希望はなくはないのに、主人公たちの周りにだけ、ない。
なんで、こんなにしてまで、人間は、生きているんだろう。
ポップな絵、さらっとしたストーリー展開。
なのに、重い。
ただ、イアンにスーツを買った女性のことを考えると、
世の中捨てたものではない、とも思う。

麦の穂をゆらす風

ケン・ローチ監督。
アイルランド紛争を描く。時代は、1920年。
人間同士の争いは、いつになってもなくならないのか。
英国軍が、アイルランドを治めるため、逆らうものを殺す。
日本軍とか新撰組とか舞台としては、似たようなものなのかな。
どの立場のものが主人公になるか。
主人公、デミアンは、アイルランド義勇軍で戦っていた。
英国軍VS義勇軍は、わかりやすくていい。
休戦になり、協定が結ばれた。北アイルランドは、英国領の自治区となる。
義勇軍のうちで、内部紛争が起きる・・・
兄テディは、得た自由を大切にしようとする。
弟は、あと1インチを求めて、自治政府に、以前の仲間に逆らう。
イノセント・ヴォイスとは違う、ハッピーエンドでないラスト・・・。

砂漠で溺れるわけにはいかない

ドン・ウィンズロウ、創元推理文庫。
ニール・ケアリー（ストリート・キッズ）シリーズ最終巻。
翻訳完結まで10年近い年月が流れ。
おとぼけコメディというか、ギャグ？
86歳のじいさん、ナッティ・シルバーのギャグが、もう意味不明。
ニールは辛抱効かない（笑）。
このじいさんを家につれ戻す、という簡単な任務が果たせず、何度も逃げられる。
じいさんが家に帰りたがらない理由とは。
ストーリーははちゃめちゃ。
でも。ニールの、暗い過去とかそういう部分は変わらない。
父親不在という過去を受け入れ、消化することで、やっと、
ニールは、父親になれるのだ。
それにはもう少し時間がかかるようだ。

フラッシュ

カールハイアセン。理論社。
動物愛護というか自然保護系の作家といっていいのか。
でも、出てくるキャラたちが、愛護やってる、ということ自体を
笑い飛ばすかのような、ぶっ飛びぶり。
主人公のお父さんは、カジノ船から汚水を垂れ流しているのが
許せなくて、船を沈め、留置所に入れられる。
っていう始まりからして、ハイアセン節。
結局悪事はばれる。
船のトイレに、赤い色素をFLUSH!
主人公の兄妹は、子どもだけで、証拠を押さえる。
悪いやつは、すぐに解放されてしまうけど。
離婚寸前になって持ち直した家族を、ラスト、GREEN　FLASHが・・・
おもしろいんですけど、職業上、笑えないようなことも。

ひとがた流し

北村薫。朝日新聞社。
「月の砂漠をさばさばと・・・」の、さきちゃんが大きくなってたよ。
私はこの作品（さばさば）が一番好きだ。
で、今回のは、さきちゃんのおかあさんの親友の話。といっていいのか。
相変わらず、女性ばかり登場する。
類さんや鴨脚樹屋さんも出てくるけどね。そしていい人だらけ。
女性同士の友情、というのが結構自然に描かれている。
ホントの友情かどうかは知らないよ。おっさんが書いてんだし。
石川さんがトムさんになったり、カレーライフとか店務工カナシイとか
言葉遊びもいつも通りだ。
特別、大事件が起こるでもなく、静かに、日常生活の一環として、
千波と、牧子と美々の40代女性たちの生き方が描かれる。
願いを込めて流される、千波の地方のひとがた流し。
人生の伴侶という水を得て、千波は浮かび、ともに海へと流れていく・・・。