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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

半蔵門の国立劇場にて歌舞伎「増補忠臣蔵」「梅雨小袖昔八丈」をみて

2018-03-11 10:57:12 | Weblog


蝶人物見遊山記 第275回



2本とも初めて見る作品でした。

前半の「増補忠臣蔵」は本篇の忠臣蔵の番外編ですが、まあ中級の佳作というところですかな。最後の主君桃井若狭之助(中村鴈次郎)と忠義の武士、加古川本蔵(片岡亀蔵)の男涙の別れの場が延々と続いて、これではかえってシラケます。次回からは演出に一考願いたし。

次の「梅雨小袖昔八丈」は、ヤクザな小悪党の髪結新三が、元気溌剌&気力充実の尾上菊之助なので、もう見物しているだけでウキウキ楽しくなります。

そのうえ、金持ちの白子屋の番頭をかつあげして、恋人の箱入り娘を誘拐した新三と、長屋の家主の長兵衛(片岡亀蔵)の落語さながらの掛け合いが、明石家さんまのトークより面白い。

侠客の市川團蔵が持ってきた身代金の10両を突き返した新三も、軟硬を自在に使い分ける海千山千の元侠客には赤子のようにあしらわれ、30両を半分に値切られ、あまつさえ旬の初鰹まで半分持ち去られてしまう踏んだり蹴ったりの結末に、満場笑いの渦でした。

こんな思いがけない儲けものの喜劇も、河竹黙阿弥は書いていたんですね。


  フランス語の「鍵」は女性名詞なりき男性名詞と思い込んでたが 蝶人