あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦2022年師走蝶人映画劇場その7

2022-12-31 10:21:48 | Weblog

 


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3138~47

 

1)アダム・マッケイ監督の「バイス」

「アメリカ史上最強最凶の副大統領」、デイク・チェイニーの2018年の伝記映画だが、かのトランプといい勝負だ。

 

2)ディート・モンディエル監督の「陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル」

ジュリエット・ピノシュとアル・パチーノがちょびっと出ているだけの見どころなしの下らない2010年の警察犯罪映画です。

 

3)ジョン・ウー監督の「The Crossing ザ・クロッシング Part I」

国民党時代から共産党躍進時代の中国を舞台に、日本国籍の台湾人の金城武が主演する2017年の歴史大河映画。戦闘シーンはリキが入るが、世話物の描写が冗長で見るに堪えない。長澤まさみの影の薄いいことよ。

 

4)ジョン・ウー監督のThe Crossing ザ・クロッシング Part 2

前作の2018年の続編。大陸から台湾へ脱出しようとする客船大平輪が転覆、沈没するシーンが見所だが、チャン・ツィイーも金城武もなんだか漫画の主人公のように見えてしまうのは、やはり下手糞なウーの下手糞な演出のせいだろう。

 

5)イ・ジェギュ監督の「完璧な他人」

イタリアの「大人の事情」を2018年にリメイクした韓国のブラックコメデイ映画。仲良し夫婦も一皮めくれば赤の他人、という秘密の領域を抉るが、ラストで突然ハッピーエンドになるのは不可解。

 

6)ナ・ホンジン監督の「哀しき獣」

延辺朝鮮族自治州に生きる少数民族を主人公にした、文句なしに面白く刺激的な2011年のサスペンスアクションドラマなりい。

 

7)白石和彌監督の「彼女がその名を知らない鳥たち」

2017年のなかなおもろい映画。蒼井優を文字通り命懸けで愛した阿部サダオの物語だが、ラストで鳥を飛ばさなくてもいいんじゃないの。

 

8)錦織良成監督の「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」

中井貴一が副題の主人公を演じる、愛と感動?の2010年の自己実現物語。大手家電メーカーの取締役候補が、少年時代の夢に立ち返る、これぞ本当の夢物語ずら。

 

9)蔵方政俊監督の「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」

「RAILWAYSシリーズ」の続編で、三浦友和が主演するが、ちと暗すぎるなあ。富山電鉄を舞台にした2011年の製作なり。

 

10)前田哲監督の「こんな夜更けにバナナかよ」

筋ジスで身動きできなくなった「英雄的な」患者、大泉洋を巡る24時間ボランテイアの悲喜こもごもの戦い。高畑充希が好演。

 

   いつの日か突如絶たれる1本の細く拗りし灰色の線 蝶人

 

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ギョウ・フジカワ作・二宮由紀子訳「こどものじかん はるなつあきふゆ」を読んで

2022-12-30 12:56:45 | Weblog

 

照る日曇る日 第1840回

 

タイトルが示しているように、子供のライフスタイルのあれやこれやを、盛りだくさんい全面展開した絵本だが、主題が絞り切れず、あまりにも総花的で、あれやこれやの素材をそのまま放り出してあるので、散漫な印象を与え、きびしくいうと絵本の体をなしていない。

 

翻訳も、例えば6pに「ママ、ママ たいへん! ぼくの おなかが 「もっと パンケーキが たべたい」って」とあるのは、原文に忠実に訳したのだろうが、へんてこりんな日本語なり。「ママ、ママ ぼく もっと パンケーキ たべたい!」とすべきだろう。

 

       谷戸毎に寺ある里を鎌倉と呼ぶ 蝶人

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西暦2022年師走蝶人映画劇場その6

2022-12-29 09:57:15 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3128~37

 

1)ダニー・ボイル監督の「12トレインスポッテイング」

ドラッグ中毒の阿呆莫迦な仲間たちの2017年の暴力的青春群像映画だが、ある種のファッション性があるずら。

 

2)カルラ・シモン監督の「悲しみに、こんにちは」

2017年のスペイン映画で、両親を亡くして叔父さんちに預けられた少女の回想録ずら。まぎらわしい題名だ。

 

3)バネデク・フリーガオフ監督の「愛を複製する女」

2010年の桁糞悪いSFずら。

 

4)アクアン・アリム・クバト監督の「明りを灯す人」

珍しやキルギスを舞台にした2010年の映画で、しがない電気工事屋を主人公に同国の近代化の矛盾や葛藤を描く。

 

5)トム・ヴォーン監督の「ベガスの恋に勝つルール」

キャメロン・ディアス主演の2008年のハリウッド製阿呆莫迦映画ずら。

 

6)ウニー・ルコント監督の「めぐりあう日」

ヒロインの捨て故のセリーヌ・サレットが30年ぶりに実の母アンヌ・ブノワと巡り合うまでの涙涙のお噺だが、この母子があまるにも似ていないので真実味がない2016年の人情もの映画ずら。

 

7)ヘンリー・キング監督の「地獄への道」

弟のジェシー・ジェイムズをタイロン・パワー、兄のフランクをヘンリー・フォンダで北軍支配層、鉄道資本家と結託した権力者に銀行強盗で立ち向かうが、賞金に目が眩んだ仲間に撃ち殺されるまで。1930年の製作だが、部分的に彩色されている。

 

8)ミア・ハンセン=ラブ監督の「未来よこんにちは」

2016年のイザベル・ユペール主演の人世ドラマ。夫から突然離婚を告げられ、介護していた母親に死なれ、お一人様で第2の人世に挑む中年女性を応援したくなる。

 

9)ジュリアン・シュナーベル監督の「永遠の門」

2018年製作。ウィレム・デフォーが画家ゴッホの生涯を熱演するが、子供たちの投石で殺害されるというラストではいただけない。

 

10)アラン・レネ監督の「愛して飲んで歌って」

2014年に亡くなった名監督の遺作コメデイ。死を目前した友人夫婦たちの騒動を楽しげに描きながらこの世に別れを告げた。

 

  真珠湾で騙し討ちした国だから広島長崎も已む無しと米国 蝶人

 

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本間正義聞き書き「平櫛田中回顧談」を読んで

2022-12-28 13:56:27 | Weblog

照る日曇る日 第1839回

 

彫刻家というより伝統的な木彫家、平櫛田中の代表作は、国立劇場の六代目尾上菊五郎の鏡獅子だろうか。今も半蔵門の国立劇場の真正面で頑張っている。

 

鏡獅子より田中らしいと思うのは、東京藝大の中に安置してある岡倉天心像で、これを見た人はみなこれぞ天心だと頷くらしい。強烈な実在感のある木彫である。

 

本書を読めば、2児を失た悲劇の人、田中の人となりをつぶさに知ることができるが、いちばん面白いのはやはり逸話、それも天心に関するそれである。

 

例えば、下村観山が岡倉天心が宮島の岩惣という旅館に泊まった待ったとき、浴衣を着せる女中が、天心のおちんちんピンと弾いたので、天心は「これは、これは、というた」とか。

 

京のはたごの女将と出来ていた天心が、弟子の観山が邪魔なので、「どこか遊びにイケイケ」というのだが、そんな事情を知らない観山は、かえって師匠の天心に密着して最後まで離れなかった、とか。

 

天心がボストン医行っていた間に、その奥さんと横山大観ができてしまったと疑った天心は、ピストルを持って大観を追っかけたので、納屋に隠れて難を逃れた。とか愉快な噺が多い。

 

けれども、饅頭が大好きでよく胃痙攣をおこしていた狩野芳崖が、神田の樫村病院を呼んだが、いつもの先生が留守で、その弟子が打った注射の量が多くて亡くなってしまったという噺などは、哀しい。

 

   妹の香典返しのトースター形見のごとくそこに在るなり 蝶人

 

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西暦2022年師走蝶人映画劇場その5

2022-12-27 10:50:30 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3118~27

 

1)ポール・マクギガン監督の「リヴァプール最後の恋」

往年の聖林の大スタア、グロリア・グレアムの最後の恋を描いた2017年のどうということもない映画ずら。

 

2)スジート監督の「サーホー」

2019年製作の面白くてアチャメチャに楽しいインド産猛烈アタロ―的超快速サスペンス映画ずら。

 

3)ソン・ジェゴン監督の「シークレット・ジョブ」

つぶれかかった動物園を立て直そうとする奇想天外な2010年の韓国映画。

 

4)ニキータ・ミハルコフ監督の「戦火のナージャ」

1940年代、独軍の侵略と戦うスターリン独裁下の旧ソ連の実情を描くじつに興味深い戦争映画。ウクライナを侵略するプーチン独裁下のロシアを念頭におきつつ鑑賞したい2010年の映画ずら。

 

5)瀬々敬久監督の「64 ロクヨン」

ドラマよりも警察の内部の組織や権力事情のほうに気がとられる。普通の企業でも広報室なんて等閑視されているのに、まして警察におけるをや。それなのに大活躍する佐藤浩一はたいしたもんだとリーマン時代を振り返って思ってしまう。見事に役者が揃った2016年の力作。

 

6)ジャン=マルク・ヴァレ監督の「雨の日は会えない。晴れた日は君を想う」

58歳で死んだヴァレの2016年の最後の作品。現代苦、世界苦の悩む主人公が試行錯誤しながら賦活していくまでを切れ味鋭く描くが、監督自身はうまく乗り切れなかったようだ。

 

7)オダギリ・ジョー監督の「ある船頭の話」

ジョーが柄本明をはじめ有名役者を総動員して2019年につくった映画だが、さっぱり面白くない。

 

8)大友啓史監督の「ハゲタカ」

日本を代表する自動車メーカーを狙う中国の国家企業と戦う大森南朋。2009年ならともかく、いまなら誰も中国に立ち向かうことはできないだろう。

 

9)行定勲監督の「クローズド・ノート」

いまは亡き竹内結子、いまはどこかに消えてしまった沼尻エリカ、伊勢谷友介が絡むメロドラマだが、あとの2人の演技が酷いこと。まるで中学の学芸会だ。2007年製作。

 

10)ファイト・ヘルヌー監督の「ブラ!ブラ!ブラ!」

2018年のドイツ・アゼルバイジャンの合作映画。しがない貨物列車の運転手が、機関車に引っかかった青色のブラの持ち主を尋ね歩くというかなりシュールなコメデイの秀作。

 

   30年使い続けたトースター今年最後のゴミに出すなり 蝶人

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山口勇子原作・沼田曜一語り・四国五郎絵「おこりじぞう」読んで

2022-12-26 10:22:24 | Weblog

 

照る日曇る日 第1838回

 

のどかな広島の町に突然襲い掛かった原子爆弾。それはいつもに柔和な温顔のお地蔵様の表情を怒りで一変させ、本編のヒロインを含めた大勢の人々惨たらしく傷つけ、苦痛に満ち満ちた死に追いやった。

 

突然の死を悲しみ、悪魔の様な敵国のこの世の地獄の様な非人間的人道的な無差別攻撃と大殺戮に怒り狂うおじぞうさまに我々は共感する。

 

が、同時に、そもそもどちらがこの戦争を始めたのか、その戦争において我々は一方的な被害者であったのか、を頭の片方で考えながらこの地獄絵図を見つめなければならないだろう。

 

寄付と言わず「クラウド・ファンディング」を募れば巨費が集まる奇妙な国だよ 蝶人

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西暦2022年師走蝶人映画劇場その4

2022-12-25 10:44:39 | Weblog

西暦2022年師走蝶人映画劇場その4


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3108~17

 

1)ロマン・ポランスキー監督の「水の中のナイフ」

1962年のポーランドには彼らのようなプチブル階級が存在していた。

はじめは中性的だった妻が、髪の毛をおろすと女らしくなって、遂には正体不明の若者と寝てしまう。嫉妬に駆られて若者を殺そうとする冷酷な夫。若者が去り、止まったままの車の中の夫婦はこれからどうなるのか?

 

2)ロマン・ポランスキー監督の「反撥」

カトリーヌ・ドヌーヴの魅力を最大限に発揮させたポラ選手の1965年の傑作ホラー。

 

3)ロマン・ポランスキー監督の「袋小路」

1966年の英国製サイコホラー映画であるが、なんというても25歳で夭折したフランソワーズ・ドルレアックの奔放さに圧倒されえる。生きていれば妹のカトリーヌ・ドヌーヴ以上の活躍をしていたものを。

 

4)オリヴァー・ストーン監督の「野蛮なやつら」

2012年の阿呆莫迦映画。オリヴァー・ストーンともあろうものが、下らない映画を撮ったものだ。

 

5)ミシェル・ドビル監督の「読書する女」

ミユウミュウが次々にいろんな人物のところを訪れて、いろんな本を読んであげると、いろんな事件が起こるという仕掛けだが、面白くも「おかしくもない1989年のおふらんす映画ずら。

 

6)中西健二監督の「花のあと」

藤沢周二の原作を女剣士役の北川景子主演で2010年に映画化。悪役を成敗してからの後始末をどうつけたのかいささか心配ずら。

 

7)吉田大八監督の「羊の木」

2018年公開のサスペンス映画。元殺人犯の再生を援助する市職員という山上たつひこの原作を吉田大八がうまく絵にしていて配役もよろしい。

 

8)ホン・サンス監督の「夜の浜辺でひとり」

2017年3月に公開されたキム・ミニの魅力?全開

 

9)ホン・サンス監督の「正しい日 間違えた日」

2015年の洒落た恋愛劇。一度やり損ねた出会いを映像でもういちどやり直す試みは、映画ならでは。ヒロインのキム・ミニがよい。

 

10)ホン・サンス監督の「クレアのカメラ」

2017年、カンヌにおけるキム・ミニとイザベル・ユペールの出会い! 素晴らしい。

 

  アキレスがもうすぐ亀に追いつくぞ世界の終りはあと100秒 蝶人

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ロバート・ブラウニング詩・ケート・グリーナウェイ絵・矢川澄子訳「ハメルンの笛ふき」を読んで

2022-12-24 14:03:01 | Weblog

ロバート・ブラウニング詩・ケート・グリーナウェイ絵・矢川澄子訳「ハメルンの笛ふき」を読んで

 

照る日曇る日 第1837回

 

詩文は英国ヴィクトリア調詩壇の代表選手、

絵はジョン・ラスキンが激賞した英国芸術絵本の泰斗、

翻訳はご存じ本邦を代表する詩人、作家、翻訳家。

お話はこれまた有名な「ハメルンの笛ふき」とくるずら。

 

これ以上のキャストが考えられるだろうか!

最高のキャストが繰り広げる、最高の絵本の至純の世界に酔ひ給えな!

W杯のグランプリに輝いたメッシの腕のあざとい刺青 蝶人

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え片山令子 銅版画 広瀬ひかり「マルマくんかえるになる」を読んで

2022-12-23 16:26:46 | Weblog

照る日曇る日 第1836回

 

オタマジャクシから孵ったばかりなのに、仲間から虐められているマルマ君など3人が、がま先生の励ましで一人前のかえるに成長していくまでを描きます。

 

かえるの生育史を楽しく学び、弱者への差別を戒める内容ですが、緑と青を基調とした銅版画が、とてもやさしく綺麗です。

 

 横須賀の溝板通りで目立つのはカレー、スカジャン、刺青の店 蝶人

 

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ヤノーシュさく・やがわ・すみこやく「おばけリンゴ」を読んで

2022-12-22 09:56:29 | Weblog

 

照る日曇る日 第1835回

 

貧乏人のワルターが祈りに祈ってとうとう花が咲き、みのったのは巨大なおばけリンゴでした。

 

大きすぎて誰も買い手がつかなかったおばけリンゴは、突然現れて人々を恐怖のどん底につきおとしましたが、おばけリンゴを喉に詰まらせて死んでしまいました。

 

めでたし、めでたし。

 

んでもってワルターは、今度は小さいリンゴを2個下さいと祈るところでお話が終わるのですが、じつはワルターはリンゴが嫌いとだというのが、どうにも不可解なり。

 

さりながら、、さすがに矢川澄選手の訳文は流麗で、朗読に適す。

 

「敵基地攻撃」なんてその嘘ホント?青島が国会で決めたの? 蝶人

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クセノフォン著・相澤康隆訳「ソクラテスの思い出」を読んで

2022-12-21 10:09:45 | Weblog

 

照る日曇る日 第1834回

 

岩亜美文庫版がどこかに眠っているので、最近出たばかりの光文社文庫版に手を出す。

プラトンの対話編とは一味違うもう一人により、もう一つの対話編である。

 

解説を読むと、クセノフォンがソクラテスに親炙したのはごく僅かな期間だし、プラトンはク選手のことなぞ、ひとことも論評していないから、本書の内容自体あんまり信用できないそうだ。

 

が、そうなると、どこのどの部分だけ本当で、偽物はどこどこか、というあらさがしになってくるので、つまらないよね。

 

でも、そういう学問的論議では、プラトン選手の対話編だって、初期のものしか信用できない、というんだから、もはや何をかいわんやだ。

 

でもでも、読んでみると、たちまちにして、「説教泥棒」というか「折伏おじさん」みたいなソクラテス居士の、あの懐かしい面影がよみがえってきて、これぞ「自分哲学」の原点という思いがするのです。

 

でもでもでも、第4巻第4章の「出来の悪い子供を作ること以上に大きな罰をこうむることがあるだろうか?」という独断と偏見は、それが親子の近親相姦が悪事である理由になっていることを含めて、大いなる誤謬だと、おらっちは思うのだ。

 

それはこの文庫本の最後の但し書きにも述べてある如く、健常にあらざる障害児を否定する優性思想であり、人間の平等を真っ向から否定する差別思想であるからだ。

 

なーんてことを最近の北海道の福祉施設の障害者不妊処理問題とからめつついろいろ考えさせられたずら。

 

ソ、ソ、ソクラテスがナチやトランプや植松某なぞの原初思想家であったとは、これいかに! 蝶人

 

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ロバート・E・ウェルズ 作 せなあいこ訳「シロナガスクジラより大きいものっているの?」を読んで

2022-12-20 09:08:08 | Weblog

ロバート・E・ウェルズ 作 せなあいこ訳「シロナガスクジラより大きいものっているの?」を読んで

 

照る日曇る日 第1833回

 

げんざいの地球でシナガスクジラほど巨大な生物はいないが、おっとどっこい、地球外ではもっともっと大きなものが存在することをできるだけわかりやすく具体的に説明しようとする面白くてとても為になる絵本です。

 

たかが「絵本というなかれ。宇宙が考えも及ばないほど広大であることを、これくらいリアルに語りかける書物はないだろう。

 

   鎌倉を1,2m掘れば出てきます7、800年前の鎌倉が 蝶人

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松野正子 文 二俣英五郎 画「こぎつねコンとこだぬきポン」を読んで

2022-12-19 10:55:58 | Weblog

松野正子 文 二俣英五郎 画「こぎつねコンとこだぬきポン」を読んで

 

照る日曇る日 第1832回

 

深い谷間と川を挟んで2つの山に住んでいるきつねとたぬきの一家。

 

ところがふとしたことから、こぎつねコンとこだぬきポンは、かけがえのない友達になってしましました。

 

さて、どうなるのか?

 

浄瑠璃や歌舞伎で有名な、「妹背山婦女庭訓」の3段目を思わせるよう素晴らしい展開ですね。

 

  久しぶりに狭心症の発作あり舌下にニトロを入れて安らう 蝶人

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西暦2022年師走蝶人映画劇場その3

2022-12-18 09:24:35 | Weblog

西暦2022年師走蝶人映画劇場その3

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3098~3107 

 

1)カーティス・ハンソン監督の「LAコンフィデンシャル」

1997年の警察醜聞内幕物。撃ち殺されたはずの刑事が生き延びたりして粗い粗筋だがベイシンジャーがえろっぽい。LA警察はよく映画やテレビに登場して酷い内情が描かれるが、本当なんだろうか?

 

2)ウィリアム・ディターレ監督の「ジェニーの肖像」

ジェニファー・ジョーンズとジョセフ・コットンの不滅のラブストーリー。最後にジェニーの肖像画がカラーになるところが、なかなかよろしい。

 

3)マノエル・ド・オリヴェイラ監督の「アンジェリカの微笑み」

ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラが2010年に撮った世にも不思議な恋の物語。

 

4)ニウ・チェンザー監督の「軍中楽園」

台湾軍の内部にあった「慰安所」で働く男女にハイライトを照てた超珍しい2014年の作品。長年に亘って秘密にされていた「娼館」の実態がこの映画に拠って初めて明るみに出されたという・

 

5)スティーヴ・マックイーン監督の「シェイム」

妹との複雑怪奇なトラウマを抱えた兄の葛藤を描いた2011年のどうでもいいイギリス映画ずら。

 

6)サミュエル・ベンシェトリ監督の「アスファルト」

2015年のおふらんす人情映画。イザベル・ユペールも売れない女優役で出ているが、なんというても突如マンションの屋上に着地してしまった宇宙旅行士とアルジェリア生まれのおばあさんとの絡み愛が絶妙で素晴らしい。

 

7)アレクサンドル・コット監督の「草原の実験」

全篇にわたって科白と音楽がない2014年のユニークなロシア映画。素晴らしいヒロインを軸にした草原での朴訥な暮らしが核実験によってねこぎにされるが、その衝撃的なラストがなくても見事な傑作である。

 

8)クリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」

マット・デイモンも出る2014年のSF映画。科学技術の蹉跌が描かれていて貴重。

 

9)ウオシャウスキー兄弟監督の「マトリックス」

シリーズ第1作からして詰まらん。キンチョウ蚊取り線香のCMのほうが遥かにマシである。じつに詰まらん1999年のSF映画。

 

10)マイク・ニコルズ監督の「心の旅」

1991年の人世映画。この頃のハリソン・フォードは良かった。この映画に、過酷なビジネス世界に嫌悪してスーツを焼き棄てるシーンがあるはずと思ってみていたが、なかった。あれはどの映画だったのだろう?

 

  5年間で15倍の43兆円世界4位の軍事大国ニッポン誕生! 蝶人

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マリー・ホール・エッツ作・絵・松岡享子訳「ペニーさん」を読んで

2022-12-17 09:12:05 | Weblog

マリー・ホール・エッツ作・絵・松岡享子訳「ペニーさん」を読んで

 

照る日曇る日 第1831回

 

貧乏でボロボロの小屋に住んでいるひとりぼっちの年寄りのぺニーさんは、たうさんの動物たちと暮らしています。

 

ところがその動物たちがお隣さんに悪さをしたので、弁償しなければならなくなりました。

 

さあどうしたものだろう。お金もないし、朝から晩まで工場で働いているから何も出来ないのに。

 

ところがところが、悪戯者のウシやメウシや、女山羊や、鶏たちは、ペニーさんの大ピンチを、それぞれの得意技を生かして救っただけでなく、町で一番幸せな一家に変えてしまったのでしたあ。

 

メデタシ、メデタシ。

 

  交尾する一部始終を見られたりあな恥ずかしやリーリーとシンシン 蝶人

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