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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ヘレンカーチス第2液

2025-03-31 12:11:53 | Weblog

ヘレンカーチス第2液

 

これでも詩かよ 第341回

 

修飾転向してとりあえず入った会社の寮は、京王線の千歳烏山にあった。

 

千歳烏山にはすぐ近所に、先輩のタダさんチがあったので、毎晩のように徹マンをしに行く。

 

タダさんとタダさんの気違い兄さんと俺は、常連の3莫迦面子だが、残る一人は風来坊の誰かさん。この家は昔の言葉でいう梁山泊なので、極左から極右、乞食、頭のおかしい連中が連日連夜たむろしていた。

 

それを鴎外、鉄幹、晶子などが創刊した「スバル」の発行編集人をしているお袋さんが、いつもニコニコ黙って眺めていて、ときおりおいしい炒飯などを作ってくれた。

 

タダさんは蝶とシュイクスピアをこよなく愛するスピード狂だが、そのお兄さんのどこが気違いかというと、マージャンでは常に役満を目指していて、あと1ぱいのリーチを掛けたところで、弟のタダさんがパタッと牌を倒しながら「はいピンフみの、1000点」というたりすると、直ちに怒り狂って、ちゃぶ台をひっくり返すからなのだ。

 

その日はいつものように夜遅くまでタダさんチでマージャンをしていたので、俺が目覚めた頃には日が高く昇って、寮には誰も居なかった。

 

それで元セヴィリアの理髪師の管理人のおじさんに「口髭がはえてきたところなので、これに合わせてパーマをかけてくれないか」と頼むと、2つ返事で引き受けてくれた。

 

おじさんは、おれの体全体にふんわり白布を掛けながら、♪ふぃがろお、フィガロオ、ふぃがろお、と歌いはじめた。

 

俺の伸び放題の髪の毛に、まずはぬるいお湯を掛けて柔らかくしてから、ヘレンカーチス第1液を掛けながらチョキチョキ鋏で毛を切って、要所要所にヘレンカーチス第2液を掛けてクリップしていく。鏡に映った俺は、まるでサザエさんみたいだ。

 

パーマが仕上がるまでにはしばらく時間が掛かるので、サザエさんの俺はセヴィリアの理髪師と一緒に寮の集会所にいって、テレビをつけるとケン・ラッセル監督の初期の代表作「夏の歌」をやっていた。

 

「夏の歌」(原題は「ソング・オブ・サマー」)は、英国の独創的な作曲家フレデリック・ディーリアスの代表曲で、映画は頑なな生き方を貫く頑固爺さんのディーリアスと、その唯一無二の弟子エリク・フェンビーの無私の忠誠を描くドキュメンタリー風の音楽人世ドラマだ。

 

「夏の歌」の最後は、そのフェンビーが、ディーリアスの妻イェルカを訪ねるシーンであるが、ちょうどその時、BBC放送がオンエアされており、アナウンサーが「それでは亡くなった作曲家を悼んで、彼の「夏の歌」を聴きましょう」といい、その懐かしい序奏がはじまると同時にイェルカがヨヨと泣き崩れる姿をみて、サザエさんも、セヴィリアの理髪師も、思い切りもらい泣きをしたことだった。

 

                                                              大統領は内乱罪か冬の月 蝶人


第1小臼歯

2025-03-30 09:32:25 | Weblog

第1小臼歯

 

これでも詩かよ 第340回

 

こないだね、ついに歯を抜いて貰ったんだ。

第1臼歯、右の、下の方の。

 

ウィキで調べたらね、にんげんの大人の、親知らず4本を含めた、永久歯32本の歯には、ぜんぶ名前がついているんだって。

 

最前列が中切歯で、次が側切歯、その次が犬歯で、こんかい岸本先生に抜いて貰った4番目の歯が第1小臼歯だ。

 

この第一小臼歯の奥には、第2小臼歯、さらにその奥には3つの大臼歯があるのだが、私にはない。1本もない。

 

つまりとっくの昔に虫歯になって、それをいろんな歯医者で治してもらったが、おいつかずに4本全部が、次々に抜かれて、その代わりに、数珠つなぎになった入れ歯が、その代役をつとめてきたんだね。

 

今は亡き4本の臼歯についての記憶はないが、こんかいの第1小臼歯が、まず虫歯になって、それを岸本歯科で治してもらって、また虫歯が進んでひどくなって、また治してもらって、また虫歯が進んでひどくなって、また治してもらって………

 

それを繰り返しているあいだに、歯槽膿漏も、ガザ最深部やクリミヤに侵攻し、地の塩からはどんどん塩味が失われ、そのあいだ私は、それなりに苦しみ、ときには懊悩して、分厚い遺書なども書いているあいだに、とうとう我慢できずに、武装解除して全面降伏してしまったというわけだ。

 

けさ、第一小臼歯と共に生きた私の、失われた20年を振り返ろうとしたのだが、途中で横道にそれて、どうもうまく行かないようなので、あとはまたの機会ということにしたい。

 

    箆棒な一句詠みたき小正月 蝶人


ビジネスマンの星、イーロン・マスク

2025-03-29 08:59:00 | Weblog

ビジネスマンの星、イーロン・マスク

 

これでも詩かよ 第339回

 

「五億の星をどうしようというの?」

「五億百六十二万二千七百三十一だ。おれはちゃんとした人間だから、この数に間違いはない」

「そんなたくさんの星をどうするの?」

「どうするかって?」

「何もせんよ。持っているだけだ」

「星を持っているって?」

「そうだ」

「でも、ぼく、この前王様に会ってきたけど、あの人が………」

「王様は何も持っていない。『支配する』のが王様だ………えらい違いだぞ」

「星を持っていたらどんないいことがあるの?」

「金持ちになれる」

「金持ちになったらどんないいことがあるの?」

「誰かがもっと星を見つけたら、それが買えるじゃないか」

「どうすれば星が自分のものになるの?」

「星はいったい誰のものかね?」とビジネスマンは不機嫌にいい返した。

「知らない。誰のものでもないでしょ?」

「じゃあおれのものだ。だって、おれが一番先に星を持っていると考えたんだかからな」

――宝島社・サンテックス作・倉橋由美子訳「新訳星の王子さま」13より引用

 

龍一が璃来をぶん投げ世界一 蝶人


トランプ王

2025-03-28 11:27:27 | Weblog

 

 

これでも詩かよ 第338回

 

「陛下………お尋ねしたいのですが」と王子さまは思い切って訊いてみた。

「質問することを命ずる」と王様は急いでいった。

「陛下………陛下はいったい何を支配していらっしゃるんですか」

「すべてをだ」王様は単純明快にいった。

「すべてを?」

王様は控えめな身振りで自分の惑星とほかの惑星とその他の星を指差した。

「あれを全部?」

「そう、あれを全部だ………」と王様は答えた。王様は絶対的な君主であるばかりでなく、宇宙の君主でもあったのだ。

「それでは、星はすべて陛下に服従しているんですね?」

「いうまでもない。絶対に服従している。余は反抗など許さない」

すごい権力だと王子様は驚いた。

 

――宝島社・サンテックス作・倉橋由美子訳「新訳星の王子さま」10より引用

 

この世から消えれば少しはマシだろう諸悪の根源プーチン、トランプ 蝶人

 

 


西暦2025年弥生蝶人映画劇場その12

2025-03-27 18:26:28 | Weblog

西暦2025年弥生蝶人映画劇場その12

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.4002~6

 

1)ポール・ブリックマン監督の「卒業白書」

1983年のトム・クルーズの青春物語。

 

2)ジャン・ベッケル監督の「勝負をつけろ」

ピエール・ヴァアネックの妹、クリステイーネ・カウフマンを愛するベルモンドは前半はやたら恰好いいが、急に情けなくなり、最後は悲惨に終わる1962年のヤクザ物語。

 

3)リーザ・ブリュールマン監督の「ブルー・マインド」

2018年の現代のアンデルセン童話。

 

4)バラム・タヴァコリ監督の「ロスト・ストレイト」

イライラ戦争の血生臭い戦闘を描いた2018年のイラン映画。

 

5)アドルフォ・コルメラー監督の「カレンダー・キラー」

ドイツでは1/4の女性がDV被害にあっているというので製作された2025年のドイツ製ミステリーだが、最後の最後に阿呆らしいドンデンガエシがあって興醒める。

 

アメリカは黄金時代で結構ですがおかげで地球は暗黒時代 蝶人


ライプニッツ著・佐々木能章訳「形而上学叙説」を読んで

2025-03-26 11:24:27 | Weblog

ライプニッツ著・佐々木能章訳「形而上学叙説」を読んで

 

照る日曇る日 第2183回

 

「予定調和」なる学説を発明したことでも知られるライプニッツ(1646-1716)の翻訳が岩波文庫から出たので手に取ってみた。「モナド」などの主著が出る前の時期に書かれた「形而上学叙説」や「アルノー宛書簡」、そして論敵を論破せんとする「デカルト『哲学原理』評釈」などの論文であるが、スコラ学者のそれを思わせるその論旨の厳格さと執拗さに圧倒された。

 

「われ思う、ゆえにわれ在り」などと唱えて悦に入っていたデカルトなどは、その格好の餌食で、いきなり「われ様々なことを思う」と逆襲し、ここから私が存在するということに甘んじることなく、「私が様々な仕方で働きかけられている」と話柄を踊り場で転じ、話をアリストテレスがいう「目的因」の方向に話を引っ張っていたりする。

 

「デカルト『哲学原理』評釈」の「等しい2つの物体が衝突する場合の運動法則」では、得意の数式や難解な図表読み解きの泥沼に引き摺り込んだりするので、美しき一言居士のデカルトなんかは、「ライプニッツさんよ、議論はおらっちの専門の哲学だけにしといてくれよ」と泣き言をいうほかなかったんだろう。

 

さはさりながら、ライプニッツは「真なる命題において、述語の概念は常に主語に内属する」と何度も断定するのだが、私は、「述語はともすると主語をはみ出し、命題の概念自体を混乱させたり、顛倒することもあるのではないか」と、言いたくもなるのでした。

 

5万人を殺してもなお厭き足らず朝から晩までなお殺す奴 蝶人

 


西暦2025年弥生蝶人映画劇場その11

2025-03-25 09:36:34 | Weblog

西暦2025年弥生蝶人映画劇場その11

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3996~4001

 

1)シルヴィア・チャン監督の「妻の愛、娘の時」

亡き男性の妻ともう一人の妻の娘が墓地を巡って激しく争うが、お互いの立場を分かりあってから皮肉な結果になってしまう2017年の中国映画。

 

2)ヤロスワフ・ブラベツ監督の「愛の交響曲」

2015年製作のドボルザークの後半生の伝記映画。彼の生涯の「女神」が、妻の姉だったとは知らなんだ。

 

3)テレル・ラモント監督の「ハッシュ・マネー」

売れない絵描きが借金のかたに誘拐された娘を取り戻すために他人の娘を誘拐するが自滅していく2016年の哀れな物語ずら。

 

4)アルフレッド・ソール監督の「アリス・スウィート・アリス」

1976年のさっぱり訳の分からない不気味なホラー殺人映画。

 

5)ルネ・クレマン監督の「危険がいっぱい」

1960年に不朽の名作「太陽がいっぱい」をカラーで撮った男が、1964年にこんなつまらんモノクロ映画を撮るとは!

 

「ボナールの裸婦がいいね」と呟いたシオミ先生にミーツーと言えなかった中三のオレ 蝶人


パトリシア・ハイスミス著・小倉多加志訳「11の物語」を読んで

2025-03-24 10:52:23 | Weblog

パトリシア・ハイスミス著・小倉多加志訳「11の物語」を読んで

 

照る日曇る日 第2182回

 

世界文学広しといえども、この人くらい短編小説の上手な作家は、そうやねえ、まあアリス・マンローくらいのものじゃろう。

 

11の短編を並べた早川書房のこの文庫本を、一日一作ずつ、呑めないジャック・ダニエルをちびちびと舐めるように読んでいると、そのことが痛感されるのだが、マンローと違って、その夜の眠りは優勝決定戦で三度敗れた高安よりも、悲惨で残酷なものだ。

 

偏愛するかたつむりに殺されてしまう冒頭の「かたつむり観察者」や「クレイヴァリン教授の新発見」も然りだが、何ひとつ不満も不安もないはずの保母が、そのために、まさにその理由によって、あんのんなお屋敷に火をつけてしまう彼女の処女作「ヒロイン」を読むと、にんげん存在の不条理とおそろしさに、我知らず身の毛がよだつのを覚えるのである。

 

多喜二忌や昼なお暗き築地警察 蝶人


西暦2025年弥生蝶人映画劇場その10

2025-03-23 09:56:04 | Weblog

西暦2025年弥生蝶人映画劇場その10

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3991~95

 

1)スピルバーグ監督の「マイノリティー・リポート」

フィリップ・K・ディックの原作をトム・クルーズ主演で2002年に映画化したSFだが、殺人を予防するシステムなんてあり得ない。

 

2)ショーン・ベイカー監督の「レッド・ロケット」

無一文でロスからテキサスへ舞い戻った元ポルノ男優の悪あがきを描く2021年の秀作コメディ。ドーナツ店の17歳の店員スザンナ・サンがエロ可愛い。

 

3)ナイト・シャマラン監督の「アンブレイカブル」

ブルース・ウイルスが怪我をしない超能力の正義の味方になる2000年の心霊映画。

 

4)アルバート・リューイン監督の「パンドラ」

パンドラ神話と「さまよえるオランダ人」を合体したお噺を基にした1951年製作のエヴァ・ガードナー、ジェイームズ・メイスン主演のメロドラマ。

 

5)ノーラ・エフロン監督の「ユー・ガット・メール」

1940年のルビッチの「桃色の店」の1998年の再映画化。整形には失敗したが、整形前の可愛かった頃のメグ・ライアンとトム・ハンクスが共演する題名だけ良いハリウッド映画ずら。

 

勇退する選者を巡って大騒ぎンなこたあ「短歌」と関係ないぜよ 蝶人


ハン・ガン作・きむふな&斎藤真理子訳・詩集「引き出しに夕方をしまっておいた」を読んで

2025-03-22 08:58:19 | Weblog

ハン・ガン作・きむふな&斎藤真理子訳・詩集「引き出しに夕方をしまっておいた」を読んで

 

照る日曇る日 第2181回

 

著者はノーベル賞をとってから有名になった韓国の作家だが、その文学的出発は詩人として、だった。

 

翻訳を通じて接するその簡素な詩文は、平易な、しかしよく吟味された言葉がつかわれ、純乎とした抒情詩ということができるが、生きること自身が内蔵する傷や血や痛みや喪失感、自分という存在の本質を見つめる鋭い視線は、繊細でありながら、非情なまでに硬質であり、さながら婚約者を突き離して月世界へ帰って行ったかぐや姫を思わせる。

 

どこをとりあげてもいいが、とりあえず冒頭の作品の全文を引用しておこう。

 

「ある

夕方遅く 私は

白い茶碗に盛ったごはんから

湯気が上がるのを 見ていた

そのとき 気づいた

何かが永遠に過ぎ去ってしまったと

今も永遠に

過ぎ去っているところだと

 

ごはんを食べなくちゃ

 

私はごはんを食べた」  (「ある夕方遅く 私は」)

 

 

大相撲の醍醐味を知る高安が味わいながら取る大相撲 蝶人

 


よう知らんけど

2025-03-21 09:49:14 | Weblog

よう知らんけど

 

これでも詩かよ 第337回

 

わが国では日本固有種の絶滅危惧が心配されているようだが、その前に日本人が絶滅したそうだ。よう知らんけど

 

わいらあ後期高齢者は、法令により今年から、冬季は冬眠を強制されることになったようだ。よう知らんけど。

 

世界中女権が拡張しすぎたので、これからは昔ながらの男根主義者が巻き返すそうだ。よう知らんけど。

 

片思いだったヨハンネスがとうとう想いを叶えた喜びが、1877年のあの幸福な第2交響曲や翌年のヴァイオリン協奏曲、第2ピアノ協奏曲の長調の調べに繋がったそうだ。よう知らんけど。

 

1966年5月18日、グレン・グールドは、トロントのテレビスタジオにメニューインを迎えてバッハのハ短調ソナタ、シェーンベルグの作品47のファンタジーとベートーヴェンのト長調のソナタを弾いたが、全部暗譜だった。よう知らんけど。

 

難病の特効薬ができて、パーキンソン病のキムラ君が劇的に快癒し、「ただごと歌」の奥村さんも、メグロさんとこも、奇跡的に回復したようだ。よう知らんけど。

 

こないだまで自由に散歩していたタタラが谷の入口に、「私有地につき立ち入り禁止」の柵があった。貴重な文化遺産があるのに、私有地だから禁止できるんだろうか。よう知らんけど。

 

今日は土曜日。図書館へ行く前に長男は彼の大事な10円玉を呉れたが、毎日新聞におらっちの短歌は載っていなかったので、残念ながらコピーはできなかった。それから東急ストアへ行ったが、いつものように6階の本屋にはいかず、本を買うのを我慢した。偉い!よう知らんけど。

 

もしかして、長男のコウ君は、父、すなわとおらっちを、それなりに愛しているんだろうか?よう知らんけど。

 

   おしゃべりでいちばん聞き苦しいのはあのあのを連発する人 蝶人


ゲルツェン著・金子幸彦・長縄光男訳「過去と思索6」を読んで

2025-03-20 13:28:16 | Weblog

ゲルツェン著・金子幸彦・長縄光男訳「過去と思索6」を読んで

 

照る日曇る日 第2180回

 

1848年の革命は全欧州に「諸国民の春」と呼ばれる自由と社会主義を含む民主化の嵐をもたらし、メッテルニヒのウイーン体制を崩壊させたが、多士済々のフォーティーエイターたちの大活躍もそこまで。1950年には元の黙阿弥の保守反動体制が復活し、ゲルツェンの居る倫敦には有名無名の亡命者で空虚な賑わいを見せた。

倫敦で自由露西亜の機関誌「コロコル」を発刊していたフォーティーエイターの先輩格の著者は、本巻でガリヴァルディ、マルクス、彼らの肖像をスケッチしているが、とりわけ武者小路実篤の先駆者のように帝都郊外に「新しき村」を作り、自給自足のコンミューンを持続させたロバート・オーウェンと、敵も味方も虜にした天衣無縫の永久革命家バクーニンの人となりは魅力的で、この悲劇的な亡命ロシア人の陰鬱な記録に、早春の丹波高原に差し入る一条の太陽光線のような輝きを与えている。

 

長男は父を愛しているのかな、ようしらんけど、それなりに 蝶人


西暦2025年弥生蝶人映画劇場その9

2025-03-19 11:47:55 | Weblog

西暦2025年弥生蝶人映画劇場その9

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3986~90

 

1)ユン・ジョンビン監督の「悪いやつら」

税関職員だった男が裏社会に飛び込んで大活躍する2013年のおもくろい韓国映画ずら。

 

2)アルフレッド・ヒッチコック監督の「ロープ」

J.スチュアートが謎解きをする1948年の殺人事件だが、優者は劣者を殺しても構わないというヒトラーの論理に閉口する。

 

3)ケネス・ブラナー監督の「エージェント:ライアン」

トム・クランシーの原作を、なんとブラナーが撮った2014年の対米ロシアのテロ・サスペンス。ケビン・コスナーとキーラ・ナイトレイも出るでよ。

 

4)ニマ監督の「ウォーデン 消えた死刑囚」

飛行場建設のために取り壊される刑務所から行方不明になった死刑囚を巡る2019年のミステリー。

 

5)マーク・シュミット監督の「ウォーキング・ウィズ・エネミー」

ナチスに占領されたハンガリーのユダヤ人が、ナチスに成りすまして多くの同胞を救った実話を2013年に映画化。

 

紅梅は思いのほかに赤き花血を流しつつ寒風に立つ 蝶人


西暦2025年弥生蝶人映画劇場その8

2025-03-18 10:29:53 | Weblog

西暦2025年弥生蝶人映画劇場その8

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3981~85

 

1)ウォルフガング・ペーターゼン監督の「エアフォース・ワン」

専用機をテロリストに乗っ取られたハリソン・フォード大統領が、獅子奮迅、神がかり的な大活躍でやつけるまでの1997年の漫画映画。

 

2)シノニエ・チュクウ監督の「ティル」

息子を白人に惨殺された黒人女性メイミー・ティルの戦いを描く2022年の公民権運動映画。

 

3)ジョン・ブラーム監督の「危険な女」

1946年、ロバート・ミッチャムなど3人の男を破滅させる美貌の女ラレイン・デイ。

 

4)武内英樹監督の「今夜、ロマンス劇場で」

綾瀬はるかと坂口健太郎による2017年製作の幻想的なラブストーリーで、加藤剛の遺作だが、どうも綾瀬はるかは苦手で。

 

5)北野武監督の「BROKEN RAGE」

「壊れた激怒?」なるお題だが、全体を2部制にして、いつものハードボイルドを後半のお笑いにしてナウイ活劇にしようとする試みは不発。空の空なる2025年の虚ろな映画。

 

「線香花火のように生きたいわ」と願いつついしだあゆみは逝きました 蝶人


西暦2025年弥生蝶人映画劇場その7

2025-03-17 14:11:50 | Weblog

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3976~80

 

1)ウォン・カーウァイ監督の「いますぐ抱きしめたい」

アンディ・ラウとマギー・チャン共演の1988年の香港ノワール。

 

2)ウォン・カーファイ監督の「欲望の翼」

1989年製作の香港サスペンスロマン映画の秀作。

 

3)サイード・ルスタイ監督の「ジャスト6.5」

麻薬王を追いつめ処刑するまでのイラン警察官の2019年の生々しいドキュメント。

 

4)クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」

崩壊していくハエ人間の1986年の恐怖。

 

5)ホ・ジョンホ監督の「カウントダウン」

ダウン症の息子を死なせた取り立て屋の男が肝臓がんに冒され、肝臓移植を求めて色々苦労する2011年のあれやこれやてんこ盛りの韓国映画。

 

阿呆莫迦の眼鏡男が味噌糞にウマイウマイと絶叫する番組 蝶人