闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1361、62,63,64,65
1)宮崎駿監督の「ハウルの動く城」
この映画をみていると、アニメーションでは、実写では不可能な、より美しくリアルな世界を描くことができることがわかる。タイトルは宮崎が固執した「ハウルの蠢く城」のほうが内容に合致しており、糸井重里が作ったとかいうキャッチフレーズ「ふたりが暮らした。」は何のことやらさっぱり訳がわからない。
2)平山秀幸監督の「しゃべれどもしゃべれども」
まったく期待せずに見たが、なかなか面白かった。役者とはいえ伊東四朗、國分太一、森永悠希、香里奈の落語に感心。八千草薫、松重豊がいい味を出している。しかし香里奈はなんで恥部丸出しのあんな阿呆なことをしたんだろうなあ。
3)黒沢清監督の「岸辺の旅」
死者たちはいつも我々のすぐ近くにいて我々をじっと見守っている。のだろうか。しかし果して死者とうまく交合できるのだろうか。見るほどに謎は尽きない。
しかし壺を外した妙な音楽が場違いに鳴っているし、役者、特に浅野忠信の台詞が聞き取りにくいのは困る。
しかし、ラストの「また会おうね」には泣けます。
4)米林宏昌監督の「借りぐらしのアリエッティ」
人間の住まいのすぐ隣に住んでいる小人たちとは、何者か。村上春樹の小説でもお馴染みのそれは、身近にいる小さな生き物たちの比喩であり、私たちの分身でもあるようだ。この映画に登場する自然や人物の映像の美しさは驚くベきものがある。
5)是枝祐和「海街ダイアリー」
鎌倉を舞台にした個性豊かな4姉妹の物語であるが、ラストの、ちょっと長すぎる海辺のシーンなど、人気女優が大勢出ている鎌倉の観光映画のような印象がある。
どうせ鎌倉で撮影するなら、せんだって忽然と姿を消した荏柄天神脇の宏壮な名建築、清水家、あるいはたった今破壊されつつある置石(段葛)の「峰犬猫病院」でやってほしかった。
しかし主演の綾瀬はるかの演技力はそれなりの進歩を遂げており、あの「おっぱいバレー」と同一人物とはとても思えない。
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中原の中也が好きなチャイコフスキーの「舟歌」をくちずさむ水無月 蝶人