
照る日曇る日 第1041回
トルストイ翁が精力的に描きつくす登場人物のたたずまいと生活と思潮は、そのどこのページをとっても、ほとんど余人の筆を以てなすあたわざる域に達しており、たとえばアンナの良人カレーニンが、懊悩の果てに彼女を許す心境を描いた個所などは、ほとんど神業としか思えません。
恋と不倫だけではありません。当時のロシアにおける政治経済社会の諸問題、貴族や軍人、農奴たちの生態を、これくらいいきいきと表現した小説はないのではないでしょうか。
この本を読みながら、エフゲニア・メドベージェワの氷上の舞をテレビで見物していました。彼女は不倫の果てに鉄道自殺する悲劇のヒロインを踊っていたのです。
そしてその限りない美しさと激しさは、そのままこの小説の主人公の慕わしい面影に重なっていくようでした。
神々よ我らから災いを取り除き給えトランププーチン安倍蚤糞 蝶人