平成22年6月12日(土)奥秩父の名峰甲武信岳に友人の希夷斎氏と、西沢渓谷入口より日帰りで行ってきました。
登山口からの標高差約1,400m。登りおよそ6時間。日帰りにしてはチト無謀な気もしますが、果たして「ヘタレ山歩きスト」の私は無事登頂できたのでしょうか。
当日は川越の自宅を午前3時45分に車で出発、途中で希夷斎氏を乗せて一路雁坂トンネルを目指します。雁坂トンネルを抜けるともうそこは三富。午前6時半に西沢渓谷入口駐車場に到着、準備をして歩き出します。実は当日、甲武信岳山頂にはちょっとした「楽しみ」が待っていたのですが、それは後述します。
登山口の公衆トイレ
近丸新道登山口
西沢渓谷入口から木賊山を経て甲武信岳に至る戸渡尾根は、途中の1869m分岐まで登山道が2本あります。尾根通しの「徳ちゃん新道」と、途中でヌク沢を渡って尾根を詰め上げる「近丸新道」と。
この日は行きに近丸新道、帰りに徳ちゃん新道を通ることにして近丸新道登山口よりいよいよ甲武信岳に取り付きます。
森林軌道跡
しばらく進むと森林軌道の跡がありました。この沢の上流部では以前「珪石」を採取しており、その搬出のために戦後軌道が引かれ、昭和40年代半ばまで稼動していたとの事です。珪石は石灰岩に少量を混ぜてセメントの原料にするらしいです。
このような沢沿いの軌道跡って廃線や廃村と通じるノスタルジーを感じさせますね。
崩落した斜面
近丸新道を行く
ちなみに写っているのは私ではありません。友人の希夷斎氏です。
ブナの大木と
これは私です(笑)
ヌク沢を渡る
ヌク沢を渡るといよいよ戸渡尾根への急登に取り付きます。相当な傾斜の登りでした。
近丸新道を行く
ヤシオツツジ
徳ちゃん新道分岐点
ここが1869m分岐です。ここまで約2時間半の登り、尾根に詰め上げる急登はかなりキツかったです。ここから木賊山(2468m)までもあと2時間半。はやくも先が思いやられます…
この辺りから石楠花が見られるようになります。
石楠花
先週行った唐松尾山や笠取山ではほんの少しだけ早かったようですが、今日は満開のようです!
原生林の真っ只中を行きます
素晴しい原生林です。所々道が狭まって原生林の回廊のような所もあります。
木賊山手前の崩落斜面
奥秩父主脈尾根上の道標
木賊山への登り
木賊山山頂(2468.6m)
原生林に囲まれた山頂は展望皆無!到着時間は午前11時半、ぴったり標準コースタイム(昭文社 山と高原地図より)通りです。ヘタレにしては悪くないようです(笑)
甲武信岳を望む
ここまで5時間を要して歩いてきてさらに前方にこのようなピラミダルな姿を見せてくれると、「まだあんなに登るのか!」と気持ちが萎えそうになります…(笑)
甲武信小屋
まだお昼前ですが、山頂は登山者で溢れかえっているとの情報もあり、ここで昼食をとることにします。いつものごとくお湯を沸かしてカップ麺。大休止ののち、甲武信山頂を目指して歩き始めます。
甲武信岳への登り
標高2000mを超えるとやっぱり空気が薄いことを実感します。ちょっとした登りでもすぐに息が切れて心拍数がガンガン上がります。普段トレーニングで走っている飯能アルプス(標高300~400m位)辺りだとスイスイ登っていける程度の傾斜でも、この高度ではカメの歩み。少しづつ着実に歩を進めます。
昨年秋に雲取山に行きまして、同じように空気が薄くて苦しみました。その後、これじゃイカンと禁煙し、ロードランや山ランで多少はトレーニングをしてきましたので少しは心肺機能も向上したようで、ゆっくりながら確実に登って行けました。多分1年前だったら苦しくて歩けなかったかも…
ガレ場を行く
甲武信岳への最後の登り
甲武信岳山頂(2475m)
なんとか午後1時前に山頂に到達することが出来ました!ツィッターで「甲武信山頂なう」の報告をしたかったのですが、AU携帯が圏外で出来ず…
山頂は霧であまり展望が楽しめなかったのが少し残念ではありますが、西沢渓谷入口を出発しておよそ6時間半。よくもここまで辿り着いたものです!
西沢渓谷を見下ろす
国師岳方面を望む
一泊山行の予定であればここでノンビリ過ごすのですが、なにせ日帰りなもんであまりゆっくりしているわけにも行きません。帰路も約4時間ほどかかりそうなので午後1時過ぎには山頂を辞して下山開始です。
一旦甲武信小屋まで下り、木賊山は北面を巻いて肩に出て、そのまま戸渡尾根を徳ちゃん新道で下ります。
甲武信岳を下る
残雪
北側斜面にはまだ残雪がありました。所々凍結してアイスバーンになっておりました。もう6月も中旬だというのに…
この辺りも原生林が素晴しいです。
原生林
木賊山の肩への登り
木賊山の肩
ようやくここまで辿り着きました。あとはひたすら戸渡尾根を下るだけ!といってもまだ3時間程かかります。
戸渡尾根を下る
近丸新道分岐を過ぎて徳ちゃん新道に入ると、石楠花とヤシオツツジが見事に咲いています。
石楠花
ヤシオツツジ
見事に咲いていますよね~!
カラマツ林
不思議な大木
徳ちゃん新道を下る
徳ちゃん新道登山口
午後4時20分、ようやく下山口である徳ちゃん新道登山口に下りてこられました。あと20分ほど歩くと西沢渓谷入口駐車場です。ようやく10時間に及んだ甲武信岳日帰り山行は終わりを告げました。お疲れ様でした… (イヤ、本当に疲れました)
やっぱり2500m近い山に日帰りとは相当キツかったですね。昨年の雲取山や、前週の唐松尾山・笠取山縦走と比べても相当キツかった印象でした。もう日帰りエリアの限界でしょう。泊まりならば山頂や山小屋で夕方はノンビリできるのですけどね…
でもやっぱり山は良いです!口ではキツイ、キツイと言ってますが、満開の石楠花やヤシオツツジの花、悠久の昔から変わらないであろう苔むした原生林はやはり苦労して標高2000m辺りまで登って来ないと見ることは出来ません。大多数の人がこの光景を見ずに生涯を終えるのだろうと思えば、多少の疲れもまた良しとしましょう!
で、冒頭に書いた「甲武信山頂での楽しみ」とは何だったのでしょうか?
私はツイッターをやっているのですが、日頃ツイートのやり取りをしている人の中にこの週の金~日を甲武信岳で過ごす方がいらっしゃることが分かりまして、運が良ければその方と甲武信山頂でバッタリ!何て事があるのかなと。見ず知らずの方と、いついつどこぞの山に登りますよなんてツイッターで告知して、実際に会うことが出来たら面白いですよね!
この日はその事もひとつの楽しみではあったのですが、残念な事に私のAU携帯が道中全く繋がりません。携帯電話がネットに繋がってさえくれれば、ツイッターのやり取りで私が今どこにいて、相手の方がどこにいるのかが分かりますし、何時何分に山頂で会いましょうなんて約束も出来るのですが、携帯電話が圏外であればそれが全く不可能に。相手の方がどこにいるのかも分からなければ、私がどこにいるのかを伝える術もありません。結局この日はその方とお会いすることはかないませんでした。あとから分かったことでは、私が甲武信岳山頂を辞してから10分ほど後にその方も山頂に来られたようでした。全くもって残念でした…
前週の唐松尾山から笠取山の稜線上ではほぼAU携帯は繋がっていたので、甲武信岳でも繋がると思い込んでいましたが、実際には全く駄目でした。携帯電話キャリアーごとにどこの山なら電波が繋がるのかが分かると面白いんですけどね…
初夏の奥秩父、甲武信岳。確かにキツイ日帰り山行ではありましたが、何とか天気にも恵まれて素晴しい一日となりました。針葉樹の原生林、ヤシオツツジや石楠花の花、そして残雪。平地や近所の山では決して見ることの出来ない風景を目の当たりにすることができました。
徳ちゃん新道を下山中、希夷斎氏と「ここを20kgの荷物を背負って登るなんて、金貰ってもヤリたくねーな!」なんて話していましたが、下山して3日も経つとタダでもまた登ってみたくなってきました(笑) もっとも20kgは無理だと思いますが…
このときの写真をフォトアルバム甲武信岳にアップしてあります。ブログには載せきれない写真が満載ですので是非ご覧下さい。
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これはこれは地元の同好のお方でしたか。世代も同じで。トップページにも同じ川越人の方がお見えになられました。
甲武信岳は日帰り圏内では限界ですね。いやいや、キツかったです。コースは同じ西沢渓谷からですか?千曲川源流からだともう少し楽だと聞いてます。でも登山口まで行くのが大変ですね。
当方、ヘタレ山歩きストですので暑い夏は山はお休みです。秋になったら奥武蔵や奥多摩に出没予定です。
では!
拙者も先日、日帰りで甲武信ヶ岳登って来ました。
おっしゃられる通り結構大変ですね。
ちなみに拙者も同じ川越在住の40過ぎのおっさんです。
登り口が案外急登だったので軌道跡を見つけた時はビックリしました。かなり荒れていましたから、随分土砂崩れの被害を受けているようです。
ちなみにここの軌道は、林業用ではなく珪石搬出用だったとのことです。
荒川源流の入川と滝川にも軌道跡がありますが、入川のトロッコは馬が引き、滝川のはガソリン車が引いたとのことです。こちらは林業用だったみたいですね。
西沢渓谷入口からだとタップリ1日コース、前夜車中泊すれば多少余裕あるかも。同行者が幼馴染で前夜泊だと話が弾んでまず間違いなく寝れませんので早朝立ちとなりました(笑)
石楠花ですけど、前週の唐松尾山~笠取山でまだホンの少し早い感じでしたが今回はジャスト満開でした!ただし2000mを超えるあたりではまだ咲いていませんでしたね。
標高が200mほどの差で開花状態が随分違っていますから、やはり八ヶ岳は寒いんでしょう。
八ヶ岳はもとより南北・中央アルプスなどスケールの大きい山はいくらでもありますが、なかなか私はそこまで本格的には行きませんな。せいぜい飯能アルプスで…(笑)
やっぱり西沢渓谷から往復だと長いですね。
次は荒川源流を見に行こうと思ってますが、いつになるやら・・。
しかし石楠花が咲いていたとは・・いい時期に行きましたね!
前週の八ヶ岳は中腹でもつぼみは硬かったです。
種類が微妙に違うのかな・・?
山はいいッス!以前は山が気になりながらも川に入り浸りでしたが、今は川が気になりながらも山を歩いたり走ったり。
甲武信岳の下りは本当にエゲツないんですが、ここを大荷物背負って平然と登ってくる登山者多数。こういう人達を本当の「健脚」というんでしょうな。
ところで最近どうも川が気になってます。もしかしたら1回くらい行ってしまうかも。その時はよろしくです(笑)
ではまた!
その健脚、素晴らしい。
これからも色々な山へ出かける際には、良い写真をよろしくです。
(行った気になれますw)
お疲れ様でした。
このコースは素人が手を出してはいけませんでした(笑)
でもやっぱり針葉樹の原生林や石楠花の花はある程度の標高を登らないと見られないんですよね。本当、別世界ですよ!
山歩きにしろ山走りにしろ、ヘロヘロに疲れながらも結局はまた行ってしまう。止められない(笑)
まあ健康的な病気でよろしいんじゃないですか?(笑)
甲武信岳に日帰りとはすごいですね。
1日10時間も歩いたことがありません。
でも、花を見たり、自然林の中を歩くのは
いいですね。
疲れてもやっぱりまた登りたくなりますよね。ある意味病気かも(笑