新勝庵

元サラリーマン、映画・読書・芸術好き。
おんとし 92歳 です。

夢 (Ⅰ)

2015-02-01 14:42:05 | 映画

私の大好きな、且つ、スティーブン・スピルバークやコッポラが師匠

と仰ぐ、世界の巨匠「アカデミー特別名誉賞」受賞の、  黒沢 明。

数多くの作品の中で、意外に知られてない作品に 「夢」 がある。

これは昭和65年作で、 八つの話が オムニパス 風に語られている。

従って 物語は八つあるが、 私は 「天気雨」 と 「トンネル」 の二

つが大好きで、      また見たくなったので INでDVDを買った。

黒沢 明作 「夢」 の中の 第四話 「トンネル」 私の一番歓迎した、

好きな作品。   昭和21~22年頃の、 ある田舎道の夕暮れ時 ・・・

・ 一人の復員将校(寺尾 聡)がとぼとぼと歩いて帰ってくる  ・・・・・・

・  やがて大きな  トンネル に差し掛かる。 何だか!背筋に冷気の様な

ものをかんじる ! ・・・・・・・

・ トンネルの中で、 突然 軍用犬 が出てきて、 激しく吠えたてる ・・・

・ やっと、 長いトンネルを抜けると、 もう既に日は暮れ掛かっていて薄暗い

・ すると、 トンネルの中から何か? 軍靴の足音の様な響きが聞こえて来る?

・ 少尉・・・(小隊長)を先頭に 一小隊の兵隊が歩調を正して進んで来る?

・ やがて 小隊は目前に  ・・・・・・・

・ 少尉の ・・・ 「小隊止まれ」 の号令で 全員停止して、銃を下ろす!

・ やがて 「中隊長殿に敬礼 ― 捧げつつ」 の号令で 一斉に 捧げ銃

をする ・・・・・・・

・ 「 第三小隊 只今帰りました、 全員異常なし ・・・」 小隊長の報告 ・・

         ・・・・・・   やがて  ・・・・・・

・ 中隊長 (大尉か中尉) が、  声を絞って 語りだす !

         ” 聞いてくれ ” 

お前達の気持ちはよく分かる。  しかし  第三小隊は全滅したのだ。

   すまん! 生き残った わしは、合わせる顔がない。

                お前達を全滅させたのは わしの責任だ。   

 わしは、 全ての責任を 「戦争の不条理」 と 「軍律の非人間性」に転化

して、 自分の無定見と過ちを認めぬ様な卑怯者ではない

 しかし、 生ながらえて 捕虜となったわしは、 その抑留生活で、死ぬ

苦しみを味わった。  そして また今、お前達を見て 同じ苦しみをなめ

ている。

 いや、 お前達は自分達の苦しみに比べれば、そんな苦しみは 何だ

と言うだろう。

 しかし 正直に言う、  わしはお前達と一緒に死にたかった。   

この気持ちを信じてくれ!  お前達の無念な気持ちはよく分かる。

   戦死とは言っても  犬死だ !

       しかし、 その様に この世を さまよって 何になる。  

  

  頼む 帰れ ・・ 帰ってくれ   帰って静かに眠ってくれ ・・・・

   中隊長は ・・・ 不動の姿勢(きおつけ)を取って

  第三小隊  廻れ右  前へ 進め の 号令をかける  ・・・・・

・ 第三小隊は廻れ右をして、 歩調を取って トンネルの奧へ目指して

     行進して行った ・・・・・・ 帰って行った ・・・・・・

・   その時 ・・・ 葬送ラッパ がなり続ける  ・・・・・・

 

 

・ 中隊長はその場に 泣き崩れて 第三小隊(死者)の消えて行く姿 ・・・

    に 「南無阿弥陀仏」 と唱えたのではなかろうか??  ・・・・・

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 ドラマであれ、映画であれ、 その善し悪しを決定付ける 要因の一つに

「時代考証」の可否がある。 ・・・ らしさ (嘘っぽい?)の中にコスチューム

とか動作とか ・・・ 戦後70年立つから仕方がないが、   軍隊・戦中物に

見るに堪えない物が多い ・・・ だがこの映画は 服装・軍装・所持物・動作

はほぼ100% 寸分の間違いがない! 。 軍隊を思い出す感激のドラマ!

                                      終わり 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


夢 Ⅱ

2015-02-01 12:51:26 | 映画

 黒沢 明 作 「夢」 八話の中の一つ目。

 

「天気雨」 私も子供の頃から、お天気雨は狐の嫁入り、と聞かされ

ていた。

・ 時は江戸か明治?可成大きな家の子供に 凛として 母が, 今日は

お天気なのに雨が降るから、こんな時はきっと 狐の嫁入りがあるから、 

狐はそれを見られるのを とても嫌うので、 外に出ては行けません。

 家にいらっしゃい!  と、 きつく言いつける ・・・・・

ところが、 子供はそう云われると 逆に一いっそう見たくなって、そっと

抜け出して裏山深く入って行く ・・・・・・ 

・ 街道並木の陰にひそんでいると、 小雨の中、 狐の行列がやって

来る  ・・・・・

・ その行列は、 静かで 厳かで  とても四方に気を配りながら、しず

静 とやって来た ・・・・・

・ 数歩行っては、 全員が 一斉に右を見る!  ・・・・・

・ また 数歩行ったら、 全員一斉に左を見る  ・・・・・・・

 ・ 子供は 隠れているが、 この時しっかり見られている  ・・・・

・ 行列の中心、  狐の花婿と花嫁  ・・・・・・・

・ お供達は、 また数歩行っては左を見る  ・・・・・・

この狐達の 多彩な衣装や 顔の作り 仕草が とても幻想的で面白い!

・ 狐の行列が通り過ぎたので、 子供は急いで帰って来る ・・・・・

・ そこには、 厳しい顔をした母親が待っている ・・・・・・・

・ あれほど言ったのに、 お前は母の言うことを聞かずに 見に行ったで

しょう!  さっき狐が来てこれを 置いて行きましたよ! ・・・・・・

・ さあ 狐が置いて行った短刀で腹を切りなさい!

お前が 腹を切る勇気が無ければ、 この短刀を持って 狐の所へ行って

謝って来なさい!  

狐も 並大抵の事では許してくれまいが、 必死で真心から謝るのですよ、

 

・ こんなときにはきっと虹が出るはずだから、 その虹の根元が 狐のお家

のはずだから、 さがしなさい ・・・・・・

・ 門を締められて、  子供は短刀を持って狐の家を探しに行く 

狐の行列と拍子木入の音楽と、 狐の仕草が面白い!!!

まさに 夢 ゆめのはなし   ・・・・・           終わり。