私の大好きな、且つ、スティーブン・スピルバークやコッポラが師匠
と仰ぐ、世界の巨匠「アカデミー特別名誉賞」受賞の、 黒沢 明。
数多くの作品の中で、意外に知られてない作品に 「夢」 がある。
これは昭和65年作で、 八つの話が オムニパス 風に語られている。
従って 物語は八つあるが、 私は 「天気雨」 と 「トンネル」 の二
つが大好きで、 また見たくなったので INでDVDを買った。
黒沢 明作 「夢」 の中の 第四話 「トンネル」 私の一番歓迎した、
好きな作品。 昭和21~22年頃の、 ある田舎道の夕暮れ時 ・・・
・ 一人の復員将校(寺尾 聡)がとぼとぼと歩いて帰ってくる ・・・・・・
・ やがて大きな トンネル に差し掛かる。 何だか!背筋に冷気の様な
ものをかんじる ! ・・・・・・・
・ トンネルの中で、 突然 軍用犬 が出てきて、 激しく吠えたてる ・・・
・ やっと、 長いトンネルを抜けると、 もう既に日は暮れ掛かっていて薄暗い
・ すると、 トンネルの中から何か? 軍靴の足音の様な響きが聞こえて来る?
・ 少尉・・・(小隊長)を先頭に 一小隊の兵隊が歩調を正して進んで来る?
・ やがて 小隊は目前に ・・・・・・・
・ 少尉の ・・・ 「小隊止まれ」 の号令で 全員停止して、銃を下ろす!
・ やがて 「中隊長殿に敬礼 ― 捧げつつ」 の号令で 一斉に 捧げ銃
をする ・・・・・・・
・ 「 第三小隊 只今帰りました、 全員異常なし ・・・」 小隊長の報告 ・・
・・・・・・ やがて ・・・・・・
・ 中隊長 (大尉か中尉) が、 声を絞って 語りだす !
” 聞いてくれ ”
お前達の気持ちはよく分かる。 しかし 第三小隊は全滅したのだ。
すまん! 生き残った わしは、合わせる顔がない。
お前達を全滅させたのは わしの責任だ。
わしは、 全ての責任を 「戦争の不条理」 と 「軍律の非人間性」に転化
して、 自分の無定見と過ちを認めぬ様な卑怯者ではない!
しかし、 生ながらえて 捕虜となったわしは、 その抑留生活で、死ぬ
苦しみを味わった。 そして また今、お前達を見て 同じ苦しみをなめ
ている。
いや、 お前達は自分達の苦しみに比べれば、そんな苦しみは 何だ
と言うだろう。
しかし 正直に言う、 わしはお前達と一緒に死にたかった。
この気持ちを信じてくれ! お前達の無念な気持ちはよく分かる。
戦死とは言っても 犬死だ !
しかし、 その様に この世を さまよって 何になる。
頼む 帰れ ・・ 帰ってくれ 帰って静かに眠ってくれ ・・・・
中隊長は ・・・ 不動の姿勢(きおつけ)を取って
第三小隊 廻れ右 前へ 進め の 号令をかける ・・・・・
・ 第三小隊は廻れ右をして、 歩調を取って トンネルの奧へ目指して
行進して行った ・・・・・・ 帰って行った ・・・・・・
・ その時 ・・・ 葬送ラッパ がなり続ける ・・・・・・
・ 中隊長はその場に 泣き崩れて 第三小隊(死者)の消えて行く姿 ・・・
に 「南無阿弥陀仏」 と唱えたのではなかろうか?? ・・・・・
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ドラマであれ、映画であれ、 その善し悪しを決定付ける 要因の一つに
「時代考証」の可否がある。 ・・・ らしさ (嘘っぽい?)の中にコスチューム
とか動作とか ・・・ 戦後70年立つから仕方がないが、 軍隊・戦中物に
見るに堪えない物が多い ・・・ だがこの映画は 服装・軍装・所持物・動作
はほぼ100% 寸分の間違いがない! 。 軍隊を思い出す感激のドラマ!
終わり