遥か若かった昔、尊敬と憧れで輝いたロシア文学作品群。
中でも ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」は、読ん
だ様な、途中で投げ出した様な定かではない?筋を覚え
ていないから完読していなかっただろう ・・・
1969年ソ連版、イワンブイりェフ監督の映画「Ⅰ部・Ⅱ部
・Ⅲ部」をDVDに撮って、繰り返し2度見た。
素晴らしいの一言に尽きる! 誠に奥深い、死生観・宗教
問題から愛と憎しみ、階級問題 ・・・ etc ・・ その内容の
複雑さ、多様さ奥の深さは今更言う事でもないが ・・・
話は、ロシア正教会のミサ後の 長老神父を交えての 別室
での トーク 場面から始まる ・・・・
カラマーゾフ家の父親と三人の息子の物語だが ・・ この
四人の異常とも思える個性思考の違い、 老神父の前で父
と長男の親子喧嘩となり、 深く神父を悲しませるが・・・
神父は親子喧嘩よりむしろ次男の思想に将来の危惧を感
じる
カラマーゾフ家の当主地主、父 〝 フヨードルカラマーゾフ ”
強欲で異常なほどの好色家で、 独善的 ・・・ 誰かに
殺害され金をとられる ・・・・・
退役将校の長男 〝 ミーチャ ” 直情型で放埓な生活
美女 〝 グルシェーニカ ” を父と取り合う ・・ 善人だ
が最後は父親殺しの犯人としてシベリア送りとなる ・・・
次男 〝 イワン ” 冷徹で、知性的な無神論者、 彼の
思考言動がこの物語の全貌を覗かせるようにおもえる。
彼の苦悩が人間の苦悩の様にも思える? ・・・
父の死を巡り 自己懐疑に陥り 錯乱状態になる ・・・・・
三男 〝 アリヨーシカ ” 敬虔な修道者であるが ・・・・
親 兄弟の言行の狭間で苦悩する ・・・ 遂には 神の
存在を疑い 還俗する
〝 カチェリーナ ” ミーチャの上官の娘。 高慢で
自尊心が強い
父と長男が取り合う妖艶な美人 〝 グルシェーニカ ”
親子を憎しみと疑心暗鬼に捲き込む 中心人物 ・・・・
だが、最後は長男ミーチャを愛していたことに気付き、
彼を追ってシベリアに向け旅立って行く ・・・・・
本当の犯人は 使用人の自殺で分からないまま ・・
この映画を見て、何故か私は、あの芥川の「藪の中」
=映画「羅生門」を思い出した! この世は嘘の固まり
・・ どの嘘が本当の嘘か? 人は嘘をつくもの、 嘘
をつくから人間。 嘘こそ人間の本質か、だから人間
はかわいい ・・・ かな? この映画でこんなことを思
うのは私だけだろう! ・・・