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総合型地域SCについて17 【J特】

2012-11-12 00:10:05 | 総合型地域SC・地域振興

 セミナーレポです。
 昨日、きよね夢てらすで開催された、総合型地域スポーツクラブ「きよねスポーツくらぶ」10周年記念事業に参加してきました。
 まずは開会式。ファジ木村社長からの祝電が読み上げられて、一緒に参加したベガサポくに氏と思わず顔を見合わせる。ファジはNPO時代に、清音の河川敷グランドで練習を行っていて、地元の子ども相手にサッカー教室を実施したとか。4名の高齢者メンバーが表彰されました。表彰状の贈呈者は地元中学校のテニス女子部員の子ども達。続いて、傍士理事の講演会が行われましたが、気に留まった部分をピックアップして紹介します。
   
 傍士理事は、2004年に日本政策投資銀行岡山事務所長として赴任。通常はどこかのJクラブで開催されているJリーグアカデミーの会議を、きよね夢テラスでの開催を提案され、それが縁で現在まで顧問に務めておられます。施設内にある川淵キャプテンの色紙の横に当時の写真が掲示されています。
 きよね夢てらす(きよねスポーツくらぶ)はtoto助成制度の第1号(大勢のJリーグ関係者が視察に来所)であり、2002年7月に設立。2004年にNPO法人認可。この建物は総社市から指定管理者の指定を受けてNPO法人きよねスポーツくらぶが管理。2005年の洪水、2006年の大雨により清音河川敷グラウンドが冠水した時に芝生の上に土砂が乗り上げ、地域住民みんな(400人)で芝張りを行い、その芝のグラウンドはこのクラブのシンボルになっています。
   
 総合型地域スポーツクラブ作りはコミュニティづくり。総合型地域スポーツクラブを取り巻く環境の中で、現在三つの節目を迎えている。一つは環境問題。ドイツなどに象徴される。二つ目は女性の進出。なでしこジャパンしかり、一時、Jリーグの試合もなでしこリーグと時期が重なって大丈夫かと言われりしたとか。三つ目は同じでの地域の自立。地域の課題を地域で解決する。補助金頼り体質から脱却し、地方分権を前進させた形で、地域主権と言えるもの。

 地域を盛り上げるためには、地元にお金が落ちる仕組みが大事。誘致も含めて全国チェーンが地域に進出してきても、結局は本社とか地域外にお金がまわる。本当の地方分権社会の実現が問われている。仙台や新潟で起きていることに注目して欲しい。スポーツで地元の再発見して欲しい。「清音村」の名前をいかに残すか。「村」まで地名を残す事が大事。原付バイクプレートは、いくつ作っても良く、一切東京に伺う事がなく自由。清音バージョンはどうか。
 「企業市民」をもっと強調すべき。本社所在地をもっと外でPRして欲しい。「はた」の活用はどうか。昔ながらの地元(地元領主の紋所等)紋章の活用。合併とともに捨てていないか。外国では合併しても旧地域の紋章を大事に扱っている。グッズで売ってはどうか。首長が紋章の入ったグッズを外で配るとか。いつまで経っても清音は清音。
    
今回、伝えたい事は三つ。
一つ目は地域意識の表現力。ご当地ナンバーなど住んでいる地域を誇りに持てる仕組み作りが必要。車のご当地プレートを提唱したが、現在原付バイクのご当地プレートを提唱している。(小平市はFC東京マスコットを採用)
二つ目は小さい範囲から始める事。住所表記など国から県と、大きいものが先の傾向がある。順番は地元が先であるべき。海外は逆に小さいものが先になっている事が多い。お酒でも小さい単位からメニューを書くべき。(浅口市鴨方町の地酒「竹林」の名前登場!)
三つ目は「つながる」。まずは「個」の存在ありき。小さな「個」から始まっていき、その個をユニット的に一緒になってやればいい。個が弱い例としては、チーム名は言えるけど、選手の名前が言えないチームは強くなれないというものがある(これはどこかで聞いた話ですね)。これからはそういう時代。バイエルンミュンヘンは、3人からスタートし、自分たちがやるためにクラブを作った。
 「健康寿命」がこれからの大事なキーワード。ゴールデンプランの目的の一つで、J2松本がある松本市の政策の中にあり、注目すべき内容である。
   
 第2部として傍士理事も顧問として加わった「みんなの座談会」が開催されました。座長は大橋岡大名誉教授。パネリストは、片岡総社市長、越川岡山県立大准教授、山陽新聞・窪田副部長、高岡岡大助教、岡山県体協・野上氏、傍士きよね夢てらす顧問、江口きよねスポーツくらぶGMでした。意見交換の要旨を紹介させていただきます。

 県内 27市町村のうち20市町で設立。種目数はバラバラ。総社市(清音地区)の特徴は、一番に村民間スポーツ意識的が高い事。自然発生的で、一番会員数が多い。人口5,000人くらいの村で800~900人で入会率が極めて高い。種目の数も群を抜いて多い。この清音に浸透する理念は、昭和23年に栄養改善標準指定村に指定された事から、「村民皆スポーツ」という風土が生き続けてきた事。ただし、支部(現在6支部)としての広がりが少ないというクラブの課題も見られる。支部はできても、スポーツクラブの理念が体協に移行するのが少なかったとか。ただ、スポーツと文化と音楽の街づくりは、試行錯誤の連続だったそうだが、他に例を見ない素晴らしいもの。クラブ開設10年で、50種目は全国に例がなく多い。勝つことではなく、好きになる事が主流になり、ブレは今も若干見られる。
 傍士顧問の意見としては、自由が大きく、始めに自由の精神があるのが重要。予算獲得ありきではない。夢てらすは隣が小学校であり、子供に近いところに作っているのが良いと。この後には、ヒト・モノ・カネのテーマ別に意見交換。
 
ヒト:
  この地区はボランティア意識が高く、お願いしたら応えてくれる。多様でいい(ブツブツ言わない)人材が集まった。地域と人材が重なっている。今後はこのいい形をいかに世代交代させるかが課題。ボランティア精神に溢れた村民を江口村長が育てた。村長は幼稚園の跡地に、夢てらすを建設するにあたり、村内をまわって、「子ども達のために助けて欲しい」と声かけをして回られた。体協がまず引っ張って行った。育成ではなく、普及から入った。こういう公共施設でお酒が飲めるというのは本来難しいが、可能にしているところが素晴らしい。
モノ:
 外溝工事費は余りかからなかった。ほとんどが手弁当。村民みんなに呼び掛けて、3年で1万平米を手で芝張りを実施した。溜まり場つくりとして実施され、学校との接点が大きく、不登校児童も顔を出す。葬式以外のすべての行事をやっている地域拠点。正式には市の施設であり、NPO法人が指定管理している。
 クラブハウスについては、ドイツではクラブは社会の一員で同好会というカラーがある。カフェに集まってクラブを作り、その拠点としてクラブハウスがある。かつてドイツで実施された「ゴールデンプラン」は整備対象でコミュニティつくりに力を入れた。スポーツ以外のパーティーも行われている。公共性で制約があり、やりにくいとされる中、クラブハウス持っているのは清音のみ。
カネ:
 2段階の年会費。2,200円の会費を集金するのが最初は難しかった。スポーツ嫌いの人も入っている。財を求めていくのが課題。自立するためには1,000人で200万円。予算は1,000万以上で補助金頼りな面はある。総社市は2,550万円の委託管理費を出していて、他の地域では難しいのかもしれない。 総社市長いわく予算は減らないとか。
清音のこれから。
 勝利思考に走っている面がある。財の生み方が今後のテーマ。総合型地域スポーツクラブの世界では、清音は名前が浸透しているが、地元地域内ではまだ浸透しきれていない面がある。
傍士顧問の提言:
1)ピラミッドの上を作るべき。勝ちにこだわる形。
2)地域の誇りを外に発信すべき。クラブとしての交流。マスコット、グッズ、ペナントを例えば市長が外へ持参してはどうか。
3)フローからストックへ。外に出ている人にも応援してもらうべき。寄付金の非課税化など。
山陽新聞の紹介記事:
 江口氏は「スポーツを好きになるきっかけづくりや健康維持といった設立当初の理念を堅持したい」と強調。他のパネリストからは「クラブへの参加で、スポーツのよき理解者を増やして欲しい」「クラブの運営は人々の絆を育み、地域づくりに貢献している」「スポーツの裾野が広がれば競技力向上にもつながる」といった意見。

   
 個人的には、もっぱら傍士理事の発言に注目し、吸収していました。当ブログの師匠は傍士理事ですが、傍士理事に師匠の存在がおられるそうです。中谷健太郎という方で調べてみると、映画人で湯布院地区の活性化に尽力された方です。パンフレットの講演会要旨に、次の3つの中谷さんの言葉を傍士理事が載せておられます。
①小さいから、身近に暖かい関係が生まれる   ②小さいから、個性的な価値を生み出せる   ③小さいから、大きな資本を必要としない

 また、9月にJリーグ準加盟規定の改定が行われていますが、傍士理事が担当だそうです。これは思うに、Jリーグが唱える「全国100クラブ構想」につなげていくアクションではないかと。という事は、Jリーグが地域から生まれていった記録資料とか必要になってくるのでは。
 いつもは、カンスタで挨拶程度ですが、今回親しくお話させていただきました。そして・・・宿題をいただいてしまいました(大汗)。面白いが大変そう・・・ 

 最後に、職員の方に「祝電が来ていますが、今のファジとの関係は?」と聞くと、現在「何もない」そうです・・・ toto助成第一号の施設で、Jリーグ理事が顧問の先進的な総合型地域スポーツクラブ、川淵チェアマン(当時)の色紙も飾られているところと、地元Jリーグクラブの関わり度が0%というのは、個人的にとても残念でした。仮に後援会組織があれば、総社支部は当然ここにあるんだろなと個人的に思いにふけってみたり・・・ 読者の皆さんもぜひきよね夢てらすに遊びに行ってみて下さい。
傍士理事コラム「百年構想がある風景」:http://www.j-league.or.jp/document/hoji/
きよね夢てらす公式HP:http://www17.ocn.ne.jp/~yumetera/

きよね夢てらす関連②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20121104
   〃        ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20070121

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