J OKAYAMA ~岡山スポーツの桃源郷へ

岡山トップスポーツファミリー(ファジアーノ等)、スポーツ文化情報リスペクトブログ(共同運営)。

下部組織について49

2016-06-16 00:01:11 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 リスペクト(事例紹介)コラムです。
 先日、サッカーキングに、「日本サッカー界の育成にメス!…欧州式の育成評価システムが“黒船”になる!?」というタイトルで、ダブルパス社による欧州型育成システムについて記事が出ていました。以下、抜粋して紹介。
          
 ベルギーのダブルパス社の育成システム「フットパス」は昨年秋から本格的に始動し、J1、J2各クラブのアカデミーに対する監査を開始。先日、同社より第一弾の評価を発表されたが、それが日本の育成を大きく変えるかもしれない内容。「フットパス」は、外部の第三者機関が各クラブから提出された資料の検証と訪問してのヒアリング、そして練習や試合の分析を通じてクラブの育成組織を評価するシステム。ベルギーのダブルパス社が独自に開発し、ドイツ・ブンデスリーガなどで広く採用された仕組みで、クラブの「フィロソフィー」や「カリキュラム」、「メソッド」、「ミーティング」、「選手評価」、「情報共有」などのシステムを上から下まで幅広く評価。
 Jリーグでは昨年秋から今年初頭にかけて、J1の7クラブ(浦和、FC東京、川崎、湘南、名古屋、G大阪、広島)を対象として最初の監査を実施。まずは膨大な資料提出を求められとにかく細かいことが特徴で、Jリーグの松永育成ダイレクター(前J1名古屋アカデミーダイレクター)は「300件くらい回答項目があって、本当に大変だった」とコメント。
 その上で実際にクラブを訪問してきた監査役がクラブの社長、GM、トップチーム監督、アカデミーのコーチやトレーナー等の他に、アカデミー出身のOB選手や現役選手からヒアリングを実施し、その上で練習と試合を視察し、さらに映像で複数試合も提供を受けてそれを分析。
 その監査役はJリーグのスタッフではなく、あくまでダブルパス社からの派遣。またクラブから提出される資料に関しては、Jリーグ関係者もアクセス不可能。守秘義務がある独立機関だからこそ、人事面などを含めたデリケートなデータも提供できるという考え方。ちなみに派遣されたダブルパス社のスタッフの中には、かつて横浜フリューゲルスや浦和などを率いたゲルト・エンゲルス氏も所属。

 このシステムの大きな狙いは「人が変わっても残る財産をクラブが保持。(指導法や全体の方針、選手の評価基準などを)言語化、システム化すること。監査後に行われるダブルパス社からのフィードバックは、客観的に、無感情で通達されるそうで、Jクラブのアカデミー全体として属人的という欠点が浮き彫りになった模様。
 会社組織でありがちだが、人が変わればやり方も変わり、しかも前任者が積み上げたものが残っていないケースはしばしば見られる。2、30年ずっと同じ指導者がいる高校、大学サッカーと比べて、人が頻繁に代わるJクラブでは致命的。試合の分析ツールなどもクラブ内で統一されず、各コーチが個別にソフトを導入し、情報や課題が共有化できていないような細かい点についても指摘。
 また、アカデミーとトップチームなど、カテゴリー間の連絡・連係を図るための仕組みがなく、指導者間の関係性に任されている点も問題視されたが、これもまた属人的な部分。

 そもそも「育成組織での指導者採用に基準があるのか」、「コーチをどう査定していて、どういう基準があるのか」という部分も問われたとか。人脈の中でで採用され、誰かのフィーリングで評価も決まってしまうようなクラブもあるような部分も疑問提起。
 同様に「会議」のあり方も指摘。カテゴリーを超越し、トップチームからアカデミーまでのスタッフが集まるような場がないこと、「一人の選手を上のカテゴリーに上げるかどうかといった重要なことを、誰がどういう責任を持って、どういう会議体で決定するのかも意外にちゃんと決まっていないという点も指摘。これはそもそも「どういう選手をどう評価するのか」という基準をクラブとして持っているのかという根本的問題にも繋がり、従来の「日本式」にメスが入った形。

  「フットパス」については各種報道で「採点」や「格付け」の部分が強調されてきたが、制度の肝は格付けそのものよりも、むしろフィードバックの部分。特に諸問題が指摘されることになるフィードバックの場に育成の担当者だけでなく、クラブの社長やGMも同席することに大きな意味が存在。
 監査での指導があった場合に、クラブ幹部がどう判断するのか。クラブの反応もまちまちであり、早くも指摘を反映して改革を実践し始めたクラブもあったとか。良くも悪くも外圧に弱い傾向があるのが日本人。そのメンタリティーを考えると、フィードバックの場にクラブ幹部が同席することは、意外に大きな効果を生み出していく事を今後期待。
 ドイツでも導入当初は反発が強かったが、ブラックボックス化されがちな育成組織の内部が外からの視線にさらされ、客観的評価を受けること自体は貴重な機会。
 今年3月から8月にかけて新たに16のクラブが、9月から来年1月にはさらに17のクラブが評価を受け、計40のJクラブが監査を受ける予定。最初の7クラブは経営規模が大きく、育成で伝統のあるクラブが中心だっただけに、この過程ではまた違った課題も見えてくる様子。
 肝心なのは監査そのものではなく、フィードバックを踏まえながらいかに各クラブの育成をより良くしていけるかという点。日本の育成に対する「危機感」が叫ばれる中で、日本の中・高校生年代のタレントの多くを預かっているJクラブの責任は重大。特に、育成の現場と縁遠くなりがちなクラブ幹部に対してアプローチする機会を得たことを、現場で格闘している指導者たちが前向きに利用していってくれればと思うと締めくくっています。

 という内容でした。来年1月までに40クラブが監査を受けるそうですが、J1とJ2を合わせてちょうど40クラブ。なので、地元岡山も受けるのでしょう。さて、どういう効果や反応が出るのでしょうか。個人的には、ぜひ育成力で一つ頭で抜けている某黄色いチームがどういう評価を受けるのか知りたいところです。あと、サテライトリーグやJ3へのセカンドチームの参入などはダブルパス社にはどう映っているのか気になります。
 今、アカデミーで頑張っている高校生世代の選手達がちょうど、2020年には東京五輪の主力になります。東京五輪でメダルを獲るために、ダブルパス社のみなさんには頑張って欲しいですね。
サッカーキング該当記事:http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20160519/444493.html
ダブルパス社関連②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160222
   〃       ③:
http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20151215

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする