事例紹介コラムです。
球春到来で、全国のスタジアムにもまた賑やかな歓声が響く日が近づいています。そんな中、札幌ドームの話題が「札幌ドームの売上高最高 16年3月期、4%の38億円」というタイトルで日経に出ていました。以下、抜粋して紹介。
【札幌ドームの黒字経営】
札幌ドームの業績が堅調。今年3月期は売上高と稼働率で過去最高を見込み、黒字経営が定着。稼いだ利益は設備更新に充てるなど、施設の魅力を高めることにも余念が無く、競技施設運営の成功例として、新国立競技場問題に揺れた東京等からも視察が来訪。
札幌ドームは札幌市の所有で、運営を第三セクターの札幌ドーム社に委託。世界でも珍しい野球とサッカーのグランドを兼ね備え、これにコンサートへの貸し出しを加えた「3本柱」が収益源。
今年3月期は売上高が前期比4%増の38億円で過去最高になる模様。プロ野球では日本ハムがCSに進出したことなどで公式戦が4試合増えたほか、J2札幌が2試合増。コンサートも2日増えて12日となり、年間の稼働日数が280日、稼働率が77%といずれも過去最高の見込み。
前期は8億円を投じて大型ビジョンを更新。大型設備は札幌市が投資する場合もあるが、「来場者の満足度を高められると判断し、あえて札幌ドームが資金を出して高性能なものを導入した」と長沼社長のコメント。その結果、前期は'01年の開業以来初の赤字決算となったが、今期の経常利益は3億円程度と例年の水準。
設備面では大型ビジョンのほか、トイレの9割洋式化を15年1月に完了。顧客の要望が多かったハンドドライヤーも設置。'17年の冬季アジア札幌大会までには公衆無線LANのWi―Fiを導入する計画。'14年からの10年間で90億円程度の改修費用が必要だが、その一部を黒字経営のドーム社が負担し、税金投入を抑制。
札幌ドームは'02年の日韓W杯を見据えて建てられた全国10カ所のスタジアムのうちの一つ。そのうち、経営が好調なのは札幌ドームのみとか。500億円超の巨額投資だったが、人工芝と天然芝がスイッチできるハード面の利点を最大限生かしつつ、来場者が多いドル箱のコンサートを積極誘致し、黒字経営の基盤を構築。
昨年12月に設計内容と整備事業者が決まった新国立競技場では、関係者の関心が東京五輪開催後の健全運営に移行。政府はイベント誘致などのノウハウのある民間企業に運営を託す方向で検討を進めており、「公設民営の札幌ドームには、関係者の視察が相次いでいる」と長沼社長のコメント。
今後の課題はフランチャイズ球団との連携強化。プロ野球・横浜が「横浜スタジアム」の買収に乗り出すなど、球団と球場の一体運営が主流。別運営の札幌ドームでは「経営的に色々な施策をとりたくても、ハード面での制約が多いという不満もあり、ドーム社はこうした声に耳を傾けつつ、多様な使用者と利害を調整し、利益を継続的に確保することが求められていると締めくくっています。
日経新聞該当ページ:http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLZO97064170Y6A200C1L41000/
知らなかったですが、札幌ドームはそんなに優等生だったのですね。確かに人工芝と天然芝、外と中で移動して入れ替わる、降雪地でありながら、屋内だから心配しなくていいなんて、素晴らしいスタジアムです。
そんな中、文科省新国立の後利用検討部会の記事が共同通信に出ていました。何となくわかっていた事ですが、以下抜粋して紹介。
【競技場の大半赤字運営の実態報告】
新国立競技場の大会後の利用や運営を検討する文部科学省の作業部会が10日、国内の主要スタジアムの大半が赤字運営となっている実態を報告。14年度の実績で、日韓W杯で使用された10競技場は、札幌ドームを除いて全て運営収支が赤字で、自治体からの指定管理料によって採算を調整。解体された旧国立競技場は’09~’13年の5年度のうち、3年度は赤字運営だったとか。
共同通信公式HP該当ページ:http://this.kiji.is/70085828410703874
確かに、赤字と思われるW杯スタジアムでまず頭に浮かぶのが宮城スタジアム。僻地で交通の便が悪く、W杯以降でJ1仙台がユアスタをホームスタジアムとして、全く使用していないと聞いていたので、そんなところだろうと思っていました。そもそもユアスタがあったのに、なぜ宮城スタジアムを建設したのかから始まるのではないでしょうか。札幌ドーム以外赤字経営という事だそうですが、ちょっと意外でした。他にも大分や豊田、新潟、静岡はそうだとして、鹿島や神戸、埼スタ、日産、長居も赤字だったのかと。
建物デザインでこれだけ揉めたのだから、’20年以降の使われ方も当然、チェックされる事でしょう。よく言われるのが、東京にメガクラブを作ってホームスタジアムで使用したらいいというもの。勝負がついてくるので、そんなに簡単に物事は運ばないでしょう。浦和さんもあれだけ苦労している訳ですから。今度、旧国立の跡地に行ってみようかな。