悲劇を乗り越える策

2009-02-10 22:09:08 | Weblog
悲劇を乗り越える策

平成21年2月10日 火曜日
日本通訳案内士連合/事務局・岡村寛三郎

昨日は、ショッキングな本を読みました。
いつも日本経済新聞の記事に首っ引きで、経済界の様子をウオッチングするのが私の趣味ですが、断片的な記事を読むことが中心になり勝ちなため、たまには内容が豊かで物事の本質を付いているような骨太の論文を読みたいと思い、寒風の中を自転車に乗って姫路の駅前のジュンク堂書店に走っていきました。
しかし、文学や法律には全く興味が無くて、やはり経済面の書籍にのみ興味があり、手に取ったのが船井幸雄さんの「2009年資本主義大崩壊!(いよいよ断末魔の最終章が始まった)」というタイトルのものです。
その本によれば、今年は、20年前に共産主義世界が突如として崩壊したのと同じように、資本主義体制が一挙に崩壊するのだそうです。なるほど、今日の欧米やそれに追随してきた国々の金融や産業・消費活動の極端な低下や悪化を見ていると、そういう論説にも納得する所が大いにあり全く暗い気分になってしまいました。
毎日の新聞の一面を覆うトヨタやパナソニック、ソニーや日立製作所などの大幅な赤字決算予想を見ていると、もう世界の経済成長の歯車は完全に逆回転を始めたという思いを強くしていただけに、この本の力説するポイントである「個人の自由を最優先し、その物欲を徹底的に追及することを持って第一義とする資本主義体制そのものが、永久には続かない欠陥を内包した政治経済社会システムであり、今日、その終焉を迎えたのである。」という要旨に全く同感です。
そこで、この行く先は、日経平均株価の5,000円割れや1ドル=50円割れの超悲惨な経済の実現であり、国債や商品価格・不動産価格の暴落に継ぐ暴落だそうです。
こうなると、ほとんどの全製品での輸出が難しくなり、輸入品価格の低下による多少の恩恵も吹っ飛んでしまう大きな災難が襲ってくるでしょう。
もちろん、通貨や国債の増発に継ぐ増発が、通貨や国債の信用力を落として悪循環を繰り返す生き地獄が待っているとの説明が行われています。
その兆候はもう今日の新聞記事になっています。今朝の日本経済新聞の一面には、欧米を主体に国債の利率が最近になって急速に大きくなってきている旨の記事が出ていました。この事実は、もう欧米の国々が発行する国債の元本保証性への信用が薄れ始め、金利を高く付けないと購入希望者がいないという証拠になります。
また、輸出が苦しくなるだけではなく、円高で訪問・滞在経費がうなぎ上りの訪日客の数もドンドン減ってきて、最近における日本を代表する最大手の三つのホテルにおける外国人客やビジネス客などの目を覆わんばかりの大きな減少率も、今日の特筆される新聞記事です。既に、JALや全日空路線における国際・国内利用客の大幅減少は、誰もが知っている有名な話になっています。
そこで、今後の私たちの生活内容は、大きくレベルダウンをせざるを得ないでしょう。
どこまでレベルダウンしなければならないのか? わらじを履いて、墨衣を着て馬の背に揺られて旅をする・・・といった元禄時代の芭蕉の「奥の細道」の旅同様というところまではダウンしないにしても、自動車の姿がめっきりと減り、原動機付二輪車や自転車が日常の交通機関の主体となる程度にまでは後退するでしょうか? これは、自然に優しいエコロジー社会の実現化で、地球の温暖化防止に大きく貢献するでしょうか?
問題は、このような後退の過程において、企業倒産や夜逃げ・自殺など多くの悲劇が繰り返されていくことの地獄を見ることでしょう。
最近も、その様な倒産や自殺の悲劇の防止に向かって懸命に救援活動をしておられる弁護士さんの仕事ぶりを特集しているテレビ番組が放映されました。その弁護士さんは、通訳案内士団体のJFGの創業者の瀬口寿一郎さんのご親戚の方です。
ところで、通訳案内士の場合、観光産業そのものの衰退の影響を厳しく受けざるを得ません。日本の自動車メーカー業界では、「ホンダ」のみが今期決算で黒字を維持しそうだと報道されていますが、その理由は、購入費や維持費の安い軽自動車やアジアの人々にとっての生活の必需品となっている原動機付二輪車などの生産に主力を置いているためとされています。
ここでは、値段が安いことと必需品であるという2つの商品特性が抽出されています。
となると、通訳案内士の観光案内業は「必需品性」が低い場合もあるため、なかなか利用されにくいでしょうか?
かように、自らが厳しい判定を下さざるを得ないことはとても残念ですが、これが現実でしょう。
となれば、新しく行きぬく道を探さなければなりません。今日のようなほぼ全産業が苦境に沈んでいる時代では、生き抜く道を探すことは容易ではありません。しかし、知恵を振り絞らなければなりません。
また、大勢の同志が協力の輪を作って助け合わなければなりません。
絶対的な「必需品」を探さなければなりません。しかも、通訳案内士等への「報酬を支払える」程度の余裕のあるリッチマンでなければなりません。
こういう観点から絞りを掛けると、どんな立場・状態の人達を顧客対象に選べば良いかの具体的な結論が見えてきますね。私の場合は、①病気療養を必要とする(必需性)②ある程度富裕な人達(支払い能力のあるリッチマン)をターゲットに選ぶべきだと考えています。そういう顧客層をターゲットにセールスを掛けられるビジネス・モデルを作りだし、その具体的実現に向かって協力し合いましょう。
そのビジネス・モデルの詳細な内容等は、2009年度新合格者研修会の場でお話したいと思います。よろしくお願いします。
以上

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