メディカルツーリズム、世界の現状と我が国の課題

2010-12-26 09:41:57 | Weblog
メディカルツーリズム
世界の現状と我が国の課題

直近の海外ニュースを見ると、シンガポールでの「メディカルツーリズム収入」は、対前年比55%増加であった。
アジアでのメディカルツーリズムは、正に激増の一途と言う感じである。
この成長を日本にも呼び込みたいが、シンガポールの病院は、アジアの各国・各地にも病院(出張所)を設けて、そこを集客拠点としても利用する動きが活発らしい。
一方、タイでは、バンコク病院が多数のセールスマンを世界各地に派遣して集客に努めていることが知られています。
以上の、シンガポール方式、タイ方式のうちどちらが良いかについては、市場対象となる各国の現地に直接医師を派遣するタイプの病院施設建設の方が、市場への密着度が高く、継続的な広告効果も大きいことから、集客の効果もより大きいものと考えます。
我が国でもそうした観点から、メディカルツーリズム集客作戦としては、医師を各国に派遣して日本の医療の優れた点などをプレゼンテーション、PRに努力するのも一つの方法でしょうが、根本的には、医療施設等の海外展開へと動く病院を政府が支援することが望ましいでしょう。
こうした意味からも、国際化に積極的に取り組む病院施設を財政的にも経営面でも支援する政府の支援体制の創設や拡充が喫緊の課題として浮かび上がってきている今日です。

平成22年12月26日 日曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎


資料(1)
シンガポール・ニュース(2010年12月24日 07:03 )

シンガポールを訪問した外国人入国者が1~9月に落としたお金は137億Sドル(約8,746億円)で、前年同期比47%増加した。カジノ総合リゾート(IR)、医療観光が増加に最も貢献した。

政府観光局(STB)は、通年目標(175億~185億Sドル、約1兆1,172億~1兆1,181億円)の達成は可能との見通しを示した。10~12月は1年のうちで最も観光収入が多い。
STBは観光収入を6つに分類し、増加率を示した。観光・娯楽(IRでの収入を含む)部門が前年の13倍。ショッピング部門収入は30%、宿泊は24%、飲食施設は28%、医療は55%、それぞれ増加した。IRだけの収入実績は示されなかった。

観光・娯楽を除いた観光収入のうち、国別で最も支出額が多かったのはインドネシア人で20億7,000万Sドル(約1,321億円)。中国人が12億4,000万Sドル(約792億円)、インド人が7億5,300万Sドル(約481億円)、豪州人が7億5,200万Sドル(約480億円)、マレーシア人が5億6,200万Sドル(約359億円)だった。

STBの最新統計によると、10月の外国人入国者数は前年同月比15.8%増の97万8,000人で、11ヵ月連続して各月の過去最多を更新した。11月は入国者が多い上位国のうち、豪州、英国以外は前年同月を上回った。

資料(2)
2010年06月10日 シンガポール発
 治療目的で渡航するメディカルツーリズム市場がアジアで拡大している。当地の病院経営会社はメディカルツーリストを誘致するだけでなく、質の高い医療ニーズが高まるアジア諸国に直接、病院を設置するなど海外展開も積極化させている。一方で、病院経営会社に対する投資熱が高まっており、国内最大手の病院経営会社パークウェイホールディングスに対する買収合戦の行方に注目が集まっている。
通商弘報 4c0f5cd67fee0