メディカルツーリズムでの医療通訳者の責任

2010-12-08 21:09:42 | Weblog
メディカルツーリズムでの医療通訳の責任

皆様のご清栄をお慶び致します。
ところで、メディカルツーリズムの準備や実施が各地で盛んに進んでいる今日ですが、残念なことに、健康診断に於いてすら、十分な医療知識や通訳技能を欠いた医療通訳者であったことが原因で医療トラブルが発生したとの声を、大手の旅行業者さんからも大手の病院さんからも聞くことがあります。
原因も結果も様々でしょうが、誰よりも、医療通訳の難しさや責任の重大さを軽視して、無資格で安易に通訳を引き受けた医療通訳者自体の責任を免れないでしょう。
そこで、私ども東京通訳アカデミーでは、このような非難されるべき事態のこれ以上の発生や広がりを決して無視することはできません。
医療通訳のお仕事に際しては、必ず医療知識や通訳技能の十分な習得を終えてから現場に立つようにして下さることを皆様にお願いします。そうでなければ、迷惑をかけた患者や病院に対する重大な責任発生のみならず、ミスを犯した通訳者自身も一生の悔いと償いを求められる不幸に陥るでしょう。
当アカデミーでは、健康診断レベルの通訳・翻訳技能習得に於いてすら、48時間の講義と厳格な医療通訳士技能検定試験(2級)を用意しています。
更に、病気治療レベルの通訳には、100時間に及ぶ講義とハイレベルの医療通訳士技能検定試験(1級)を用意しています。
それのみならず、通訳過誤トラブルを避けるための徹底的な予防策や万一の場合の善後策を講じています。その根幹を為すのは、先ずは「医療通訳の手引き」(編著:東京通訳アカデミー)であり、予防策決定打としての「医療通訳業務のカルテ」、そして善後措置としての司法通訳士の利用制度です。
通訳過誤トラブル回避へのこうした徹底的な策を講じて、始めて、医療通訳士は、安全でかつ安心しての医療現場に臨むことができるのです。
国民も政府も期待の折角のメディカルツーリズム推進の動きに水を掛け、潰すことがないように、医療通訳士養成への皆さまのご理解とご協力とをお願いします。

平成22年12月8日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
一般社団法人日本メディカルツーリズム協会・副理事長
特定非営利活動法人 日本通訳案内士連合 理事長