明日は明日の風が吹く

明日の事を今日悩んだって何にも解決しない
まぁ何とかなるさ!

最後の繁栄!・・・しかし・・・

2011-07-02 21:52:26 | 歴史


アレクシオス1世による治世は野蛮な十字軍を呼び込んだものの、地方貴族の領有と徴税を認め、コスト高な中央官僚に対する給与体系を大幅にリセットをかけることで、行政をスリムにして再生の芽を出させることが出来た。

続くヨハネス2世の治世においても優れた統治が行われ、バシレイオス2世には及ばないものの、ビザンツ帝国は再び地中海世界の強国として繁栄を手にすることが出来た。

古代ローマ帝国から見ていくならば、共和制のもとで国家を拡大させたローマは第一市民という事実上の君主が統治する名目上の共和制によってパクスロマーナを実現させた。この成功モデルの崩壊後に軍人皇帝たちによる動乱の時代を迎え、国家を安定させるために専制君主制へとスライドさせる。つかの間の繁栄の後にローマは東西に別れるが、ユスティニアヌス帝による再征服によって領土を回復させる。が、これによって疲弊した国家はローマの象徴であったパンとサーカスを終焉させ寄生虫の如き市民を駆逐することで専制性のもとで国民が負担しあう形で身の丈に合った繁栄モデルを構築する。

そして、その成功モデルが崩れたときに地方貴族達に権力を分散させ、元老院を地方貴族のサロンにして皇帝を貴族の第一人者へと変化させることで各地方の貴族に責任を分担させ中央の機構をスリム化することで封建制に近い成功モデルを構築する。

また、後に述べることになるが、地方分権が国家そのものを生き延びさせるファクターとして働くのである。

よくよく政治を語る上では歴史から学ぶことが求められるが、現代日本の肥大化した中央官僚機構にどう対峙すべきかというテーマになると、アレクシオス1世によるビザンツ帝国の成功モデルから学ぶべき点が多いのではないだろうか。


さて、こうした成功モデルを引き継いだマヌエル1世であったが、国力を回復させたところで、ユスティニアヌスの再征服の再現を目論んだ。

しかーし!

今度はゴート族に荒らされたユスティニアヌス帝当時のイタリアと違い前期ルネサンスへと差し掛かったイタリアはもはやビザンツ軍に充分対抗できる力をつけていた。

かくしてマヌエル1世率いるビザンツ軍はほうほうのていで引き上げることになる。

そして、ユスティニアヌス帝による再征服後に帝国の疲弊が顕になったのと同じように、マヌエル1世の死後に帝国は衰退する。そして、今度の疲弊は更に深刻であった。
この後、十字軍によるコンスタンティノープル占領、後に首都回復するものの最終的には滅亡に至るレールが遂に敷設されてしまったと言えよう。
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皮肉な話

2011-07-02 20:38:42 | 地球と物理
未だ福島第一原電の事故は収束の様子を見せることも無く、避難区域に住まう方々の心痛いかばかりかと心よりお見舞い申し上げる。

で、その影で実は一つの証明された事実があるのである。

あの巨大地震とそれに伴う大津波は東北太平洋側沿岸を呑み尽くした訳であるが、想定外の規模の震災に対して宮城県女川原電は正常に炉心を停止させたのである。当然津波は施設に入り込み、配管などには見直すべき点も多かった。また、津波の引きに対して恐らく復水器の取水口は完全に干上がったものと思われる。この場合、BWRではスチームブロワによって熱を放出させると言う手段は使えない。

が、「やることをやっておけば想定外の地震と津波に対して日本はBWRを安全に停止させる技術を持ち合わせている」ということを証明しているのである。一つは原子炉建屋の高さが海抜に対してそれなりに高かったことがある。

やるべきことをはしょったから福島第一原電は取り返しの付かない事態に陥ったのである。だから多くの人の東電への怒りは増幅されていると言える。また、かかる事故の影で想定外の地震・津波に対して日本がBWRを安全に停止させる技術を持ち合わせていることが証明されても、かかる事故によって日本の原子力の安全神話(本来もともとそのようなものは存在していなかったにもかかわらず私達が存在しているように思い込んでいただけなのであるが・・・)は完全に崩壊したものと看做されるのは当然である。

現在点検中の原電の運転再開に地元の理解がなかなか得られないのも、リスクの説明を恐れてしてこなかったツケといえよう。もちろん、反原発を訴える団体が微細な事故でもヒステリックに騒ぎ立て朝日新聞のようなろくでもないダメディアが不安を煽ってきたことなどから、一定の同情の余地はあるものの、原子力がクリーンなエネルギーでないことはほんの少しでも原子力についてかじったことがあれば分かりきった話しのはずなのである。

ダメディアについて言えば、今度は朝日新聞と逆の立場を取る読売・産経が原子力政策の継続を訴えている。もちろん反原発が時流となっている中で、エネルギー源のカードの多様性とベース電力源として有効な原電の継続を訴えたい気持ちは分かる。

が、今までリスクに関する指摘を軽視する風説を垂れ流してきた過去の論調にオトシマエをつけるでもなく、今までのリスクに長年手を打ってこなかった原子力行政をろくろく批判せず、誕生して年数の浅い現政権与党への批判ばかりに血道をあげる読売・産経もまた信用に値しないダメディアなのである。

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