高校の頃、物理の教師に付けられるポピュラーなあだ名は「ベクトル」ですね。頭髪が心もとなければ「はげベクトル」などと相手の了解も得ずに失礼なあだ名をつけていたりするものです。東進などで教鞭をふるう苑田氏などは「髭ベクトル」ってところでしょうか・・・
それだけ物理学を学ぶ上でベクトルの話は避けて通ることが出来ません。もちろん物理学の一分野である電気の理論もベクトルというものをつかんでおくのとそうでないのとでは電磁気学などで理解に圧倒的な差が出てしまいます。
電験では複素ベクトル図が出てきますが、物理学でいうベクトルとは何かと言いますと・・・
スカラー・・・・・大きさだけを持つ物理量(速さ、エネルギー、電位など)
ベクトル・・・・・大きさ・方向・向きを持つ物理量(速度・力・電磁界・電流ばど)
ということになります。
本来数学とは物理学とは全く独自の深遠なる世界が広がっています。数学的に最も一般化(よりどんな場合にも当てはまる表現の仕方、ただし一般化されるほど表現方法は抽象的になっていきます)されたベクトルの表し方とは・・・
写真のように一行もしくは一列に複数の要素が並んでいるものをベクトルと言います。ちなみにこの手のベクトルやマトリクスの演算は電験1種でも取ろうなどと言う乱心でも起こさない限り学ぶ必要はありません。現代制御とか状態空間法とか呼ばれる手法ですが、電験2種などでそんな問題が出たら迷わず電磁機器の問題を選択するべきでしょう。他に対象座標法による短絡・地絡の故障電流の計算などがありますがこれも間があればおいおいってところです。電験3種に至ってはガン無視で差し支えありません。
で、物理量を表すときに一番使うのは空間ベクトルで、
空間に縦横高さ、xyzの成分をもつものです。
座標軸上の演算は電験3種ではあまり深く考えないで大丈夫です。あとで説明しますがベクトルの足し算、引き算、2種類の掛け算をイメージして理論の電磁気は作図とハッタリで乗り切れます。
ただし、3種にとどめるならそれでいいですが、気をよくして2種に進もうとなると座標軸上の精密な計算を出来ないままにしておくとみっちりツケを支払うことになるので早いうちに学んだほうがいいと思います。
ここで、ある程度電験を俯瞰された方からはあれ?ベクトル図は?ってことになりますが、これは空間ベクトルと違って実部、虚部の2成分の矢印です。ってことで、次回は複素数について述べることにします。