笹子トンネルで9人が死亡した天井版崩落事故から1年が経ちました。
先日の新聞で 「土木学会が コンクリートにボルトを接着剤などで留める工法に
よる重量物のつり下げを原則禁止する方針を固めた」 との記事がありました。
年度内にも業界として始めてつくる同工法の統一指針に盛り込むようです。
国土交通省が同工法に疑問符をつけ 接着剤を使う工法による重量物吊り下げ
のみを禁じる通達を出したのは事故から半年たった今年5月。
更に時間が経過し 土木学会が今回の方針を出すのに約1年かかりました。
権威ある専門家が方針を決め お上のお墨付きをもらうと検討作業は完全ストップ。
後は業界一丸となってただひたすらに走り続ける。
その悪しき事例は残念ながら沢山あります。
血液製剤問題・石綿問題・・・・・・・・
外国では問題発生後直ちに調査検討が行われ 公表され 解決策が実施されます。
日本では問題が発生しても業界はすぐにはその非を認めず・・・・・・・多くの犠牲者が
出てからやっとお上が動く。
しかし権威ある専門家は頑固に非を認めず沈黙のまま他界する。
「ケミカルアンカーは一度差したら絶対抜けない」 1972年笹子トンネル着工を控えた
山梨県内の旧道路公団事務所での学習会・・・参加者は専門家の言葉を信じました。
ケミカルアンカーは欧州生まれで新工法のカタログには 「変質・老化の心配はない」と
謳われていました。・・・・・・・・・・・・業界・お上は疑いを持ちませんでした。・・・・・・・
国内製造は1969年に始まったばかりで長期耐久性は証明されていませんがとにかく
言い切ったようです。
ロシアンルーレットの様な危険を伴うトンネルの誕生はそうして始まりました。
今回の人災による事故は巨大な業界や複雑なお上の世界が絡み合い 責任者なし
加害者不明で終わりそうです。
「ケミカルアンカーは一度差したら絶対抜けない」 と言い切った人は反省!・・・・・
人間が作ったものは 何であれ いずれ壊れます。