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絵話塾だより

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2025年2月15日(土)文章たっぷりコース第6期・第6回目の授業内容/高科正信先生

2025-02-16 20:58:36 | 文章たっぷりコース

この日は、神戸市在住の絵本作家・山本孝さんのお話から。
山本さんは、高科先生が専門学校で絵本の授業をしておられた時の生徒さんで、後に絵本作家になられました。
当時から面白い絵を描いていたので、今も新刊が出ると先生はチェックしておられるとか。
山本さんは、前回 みやもとかずあき さんのデビュー作『あおくん ふくちゃん』(講談社) を紹介してくださる時も話に出た
「行事絵本」をたくさん出版しておられるそうです。絵本にもいろんなジャンルがあるのですね。

さて、授業の方はテキスト『「書く力」私たちはこうして文章を磨いた』(池上彰・竹内政明 著/朝日新書) 第二章 本当に伝わる「表現」とは の続きを皆で読んでいきました。
・短文の効用
・とにかく「削る」を練習する
・簡潔であることの強み
・「誰に読んでもらうか」を意識する
・好きな表現は「使ってはいけない表現」?

文章を書いていると、どうしても長くなってしまいます。が、一文の長さは40〜50字程度が読みやすいです。
それ以上長くなると分かりにくいし、リズムもつかみにくくなります。
そして、一段落は5〜6行から7〜8行程度とし、改行して次の段落に続いていきます。
その程度が読み手が読みやすい目安になると覚えておきましょう。

文章の書き方の基本として「5W1H」がありますが、必ずしも全部が必要なわけではなく、
なくても伝わる場合はなくても良いということです。(その分短くできる)

簡潔な文章とは、これ以上削ることができなくて、強く心に刻まれます。
そのような文章を書くためには、削る練習をすることが重要です。
毎日書いては削る練習をして、名人を目指してください。

ここで生徒さんから
「絵本なら対象年齢を考えながら書けますが、エッセイの場合は対象はどんな読者を想定すれば良いのですか?」という質問が。
エッセイの場合は、自分が書こうと思ったことを普遍化させる必要があります。
始めは身のまわりのことを書いていても、徐々に一般的な読み手に共感を得られるように進化させてください。
そのためには、エッセイの達人の文章を読んで、これは良いなと思うことをどんどん試してみてください、とのことでした。
先生お薦めのエッセイストは、幸田文とかだそうです。

そして、以前のクラスで教科書にも使われた辰濃和男の『文章のみがき方』(岩波新書)から
1.書き直す
2.削る の箇所を見ていきました。
「1.」では辰濃さん自身が書き直すための心得が①〜㉒まで挙げてあり、どれも納得できるものでした。
「2.」には、井伏鱒二が『山椒魚』を自選全集に収めるために、発表から60年以上の時を経て最後の500字を削ったというエピソードが書かれていました。
作家というのは、それほどまでに自分の文章について考え、より良くするために推敲を繰り返すものなのですね。

 

「推敲」について、先生はまず「時間を置いて読み直す」のが基本だとおっしゃいます。
文章を書いたら、必ず「、」「。」で区切って音読し、耳触りやリズムが気持ちよく流れているかチェックします。(慣れてくると黙読でも分かるようになる)
そのうえで迷ったら削る、困ったら改行することを心がけましょう。(ごく稀に文章を足す場合もあるのはある)
違う意図であると取られないように、違う意味と思われないように、できるだけ正確に伝えるために、視覚や聴覚に訴えるような文章を書くようにしてください。

町田康は『オレの文章修行』(幻冬舎)の中で、昔話の「ちからたろう」を1000回読んだと言っており、そこから文章の原型を学んでいったそうです。
これは極端かもしれませんが、先人から学ぶのも役に立ちます。

 

推敲にまつわるお話として、高科先生ご自身が『オレのゆうやけ(フレーベル館)を書いたとき、E.L.カニグズバーグの『クローディアの秘密』(松永ふみ子 訳/岩波少年文庫)のような、誰も書いたことがない家出のお話を書こうとしたのだそうです。
そして、ラストにストーリーとは関係ないシーンを入れようとしたのですが、編集者にそこをまるごと削らされたとか。
作家はエンディングを重視しがちですが、個人の好みの問題もあり、必要不可欠なエンディングのボーダーライン(あっさり or くどくど)を決めるのも難しいものです。

先生の持論によれば、
大人の文学は問いを発するもの(愛とは?人生とは?幸せとは?=不条理、読後に余韻を持たせられるもの )であるのに対して、
子どもの文学は答えを表すもの(愛とは○○・人生とは○○幸せとは○○=条理、めでたしめでたしで終わるものが多い)である とか。
エンディングを考える時の参考になるかもしれません。

 

最後に、詩人・長田弘の『小道の収集』(講談社)から、散文詩「最初の質問」「ふりだしに戻る」を読んでいきました。
「最初の質問」には、簡単なものから深いものまで、たくさんの質問が書いてありました。
「ふりだしに戻る」には、タイトルのような “考える言葉 “ について書かれていました。「おいしい」とか「かわいい」のような “考えない言葉“ ではなく、時代とともに移り変わる生活に根ざした“考える言葉 “ を使うと、文章に奥行きが出ると言うのです。
デジタルで文章を書くのが主流になっている今も、自分の胸の内にある辞書に “考える言葉 “  を豊かに持つことが、人生の豊かさにつながる、と。
言葉を一番信じている詩人の長田さんの文章には、引きつけられるものがあります。

教室にあった『森の絵本』(講談社)は、長田さんの文章に荒井良二さんが絵を付けたもので、先生が読み聞かせてくれました。

「言葉を信じる」ということは、「言葉のもつ力を信じる」とも言えます。
言葉は人の心を動かすことができるのです。
いまの世界では、別の意味で言葉の力を持つ人が多くなっていますが、それに抗えるのもまた言葉(の力)なのです。

今回の課題は、長田さんの「最初の質問」に答える、というものです。
どの質問にどんなふうに答えるかは自由です。(基本は一問一答)
YES/NOよりは少し長めに。そして、文体も元の問いに近いものにしてください。
たくさんの質問の中から、自分の意引き寄せられるものを選んで答えてください。

提出は次回3月1日(土)の授業の時です。よろしくお願いいたします。

 

 


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