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絵話塾だより

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2025年7月19日(土)文章たっぷりコース第6期・第16回目の授業内容/高科正信先生

2025-07-26 18:49:26 | 文章たっぷりコース

この日で、今期の文章たっぷりコースの授業は終わりです。
約一年間、高科先生も受講生の皆さんもお疲れさまでした…といいつつ、いつものように授業は先生のよもやま話から始まります。

先生が最近初めて知った言葉が二つあるそうです。
一つは、群発地震が相次ぐ「トカラ列島」の漢字表記が「吐噶喇(古くは『吐火羅』)列島」だということ。この辺りは昔から火山性の地震が多かったらしく、このような名前になったとか。
もう一つは「バッカンサナダ(麦稈真田)」。麦の茎を漂白して平たく潰し、真田紐のように編んだテープ状のもので、それをくるくるとミシンで縫い上げて麦わら帽子を作るのだそうです。

このように、いくつになっても新しい知識を得るのは楽しいものですね。
日々、心を開いてさまざまなことを自分の引き出しにしまっておき、必要な(文章を書く)ときに取り出して使えるようにすれば、豊かな文章が書けるようになるのかもしれません。毎日がインプットするチャンスなのですね。

前回までで今期のテキストは終わったので、この日は質問中心に授業を進めていきました。
受講生の皆さんは、たくさんの疑問・質問があったようです。

今までの授業で何度も出てきた、文章や段落の長さをどうしたらよいかについて。
結局は読み手が読みやすいかどうか考えて、1文は3行くらい、1段落は5〜6行を目安にします。
1文の中で主語や述語が複数出てくることはせず、1段落の中では時間経過をあまりしないことを心がけてください。
敢えて長い文章を書く人もいますが、その場合は「、」を用いたりして流れやリズムを作り、その文章の意味が分かるような塊を作ります。
文章の途中で会話が出てくる場合、日本語では改行するのが一般的です。(英語は続ける)

続いて、高科先生がどうして子どもの本の作家を目指すようになったのか。そのきっかけについて伺いました。

先生の子ども時代は本を読む習慣がなく、唯一小学校の時に課題図書で家族ロビンソン』を読んだことだけが印象に残っているそうです。
ある時、山中恒の『ぼくがぼくであること』(庭 絵/角川つばさ文庫) が子ども向けの本なのに、60〜70年代安保で学生運動をしていた若者たちの支持を受けていたり、灰谷健次郎の『兎の眼』(近藤勝也・YUME 絵/角川つばさ文庫) を読んで、「子どもの本ええやん」と思っていたところ、さねとうあきらの『おこんじょうるり』(井上洋介 絵/ 理論社) に出会って、「やっぱり子どもの本やで」となり、子どもの本の作家を目指そうと思ったのだそうです。

  

その後は、瀬田貞二の『幼い子の文学』(中公新書)や、脇明子の『物語が生きる力を育てる』(岩波書店)などを読み、子どもたちがどんなふうに物語世界に移動していくか、情動の体験をどんなふうに制御していくかを学んだそうです。

 

日本の児童翻訳文学創世記は、瀬田貞二の『指輪物語』『ホビットの冒険』『三びきのやぎのがらがらどん』、石井桃子の『うさこちゃん(ミッフィー)』『くまのプーさん』シリーズなどが有名で、よく読まれていました。
他の作家たちにも独自の世界があり、書き出しや終わり方に個性を出しています。(めでたしめでたし・とっぴんぱらりのぷう などもありますが)

神沢利子の『銀のほのおの国』(堀内誠一 絵/福音館書店) は、突然始まって一気に物語の世界に引き込まれますし、安房直子の『きつねの窓』(織茂恭子 絵/ポプラ社)『北風のわすれたハンカチ』(eto 絵/あすなろ書房) なども素晴らしいです。

  

ここで生徒さんからの、教室では原稿用紙に縦書きが基本ですが、横組みの絵本のテキストなども執筆時は縦書きですか?という質問が。
書く習慣を身につける時は、広く流通している様式や形式に則って書いていきましょうとのこと。(目安として原稿用紙○枚とか)
ちなみに文字組みは出版社によって違うそうです。日本語は縦横どちらの文字組みもできるのが良い反面、縦書きと横書きでは時間の流れの方向が違うので、翻訳ものは絵を反転させる必要が生じるそうです。
また、横書きだと短辺で綴じることによって画面の左右をワイドに使うことができ、いろいろ作れるので最近はそれが主流になっているとか。

そして、前回の課題「悩みの相談に答える」では、先生が全員の作品を読んでいきました。
みんなが真面目な回答をしている中、実際に新聞に載った政治学者の羌尚中氏の答えは、結構変化球でユニークなものでした。
高科先生は、中島らもが朝日新聞に連載していた『明るい悩みの相談室』が大好きで愛読していたそうですが、だんだんと普通の悩み相談ではなく、読者がらも氏に答えてもらいたい悩みを持ちかけて、らも氏は読者が喜ぶ答えを考える、というループでたいそう盛り上がったのだそうです。

  

そして、長田弘の『深呼吸の必要』(大橋歩 表紙絵/晶文社)から、「きみはいつおとなになったんだろう」「きみが生まれたとき」「なぜとかんがえることは」「鳩時計」の4編の詩を見ていき、先生が『おつきさまこっちむいて』(片山玲子 著・片山健 絵/福音館書店) を読み聞かせてくれました。
ヨシタケシンスケが集英社の「青春と読書」という小冊子の中で、「月がついてこなくなったら大人」と言っていて、高科先生はそのあたりのことにとても興味があるそうです。幼年期から、8〜10歳あたりで少年・少女期を迎え、そして青年期を迎える、そんなお話を書いてきたとおっしゃっていました。 

  

文章たっぷり第6期を通じて、さまざまなことを学んできた受講生たちは、この後各自が学んだ集大成と思う作品を選んで文集を制作し、修了作品展に出品します。
おそらく読み応えのあるものになるでしょうから、皆さん楽しみにしててくださいね。

高科先生、受講生の皆さん、ありがとうございました。
これからもどんどん文章を書いていってくださいね!

 


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