散文的で抒情的な、わたくしの意見

大河ドラマ、歴史小説、戦国時代のお話が中心です。

固有の領土、を英訳するとどうなるか。

2017年03月18日 | 日記
初めに書いておくと、私は領土問題にさほど興味はないし、「領土でエキサイトする」ような人間ではありません。

「固有の領土」

よく聞く言葉ですが、不思議な日本語です。どういう英訳になるのだろうと思って検索しても、なかなかヒットしません。

でやっと見つけたのがこの言葉。「外務省はこう英訳している」とのことです。

an integral part of Japan's sovereign territory

「主権国家である日本にとってなくてはらないパート」「日本の主権が及ぶテリトリーのうち、なくてはならない一部」

英語が苦手な私にはちゃんと訳せませんが、そんな感じでしょう。

「固有の」という言葉の主な英訳は、endemic; indigenousですが、そんな文字は使われていません。

なぜなら「固有の領土」という概念が、世界にはほとんどないからです。

北方領土は我が国固有の領土です、という言葉を少し詳しく訳すと、

日本は17世紀の初めぐらいから、あの辺に島があることを認識していました。正式に領土として認識したのは1855年の日ロ和親条約ぐらいからです。

とでもなるのでしょう。

征夷大将軍の「夷」は蝦夷地(北海道)だからもっと昔、なんて言うとややこしくなります。「夷」は蝦夷地ではなく、蝦夷(えみし)です。彼らは主に東北地方の人々ですが、大和朝廷への帰属を拒みました。固有の領土というなら、大和朝廷ではなく、蝦夷の固有の領土だ、というややこしい問題になってしまいます。仮に日本政府と大和朝廷に「連続性がある」とすると、「固有の領土ではなく、蝦夷の領土だった」という逆の結論が出てしまうのです。蝦夷も今は日本人だから同じこと、まあ、そうなるかは難しいところです。

などと言っても、先に述べたように、私は領土問題にはあまり興味がありません。

興味があるのは「固有の領土」という不思議な日本語表現です。

固有の、と聞くと神代の昔から、みたいですが、せいぜい遡っても江戸時代ですし、近代的領土観念から言えば、19世紀です。

領土問題にこだわるのは人々の自由で、それにとやかくは言いませんが、もっと正確な表現を使うべきだと思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿