昨日6月14日の横浜・オリックス戦は、先発の横浜・山本とオリックス・寺原が、この春に交換トレードで移籍したばかりで、ある意味、因縁の対決だった。しかしフタを開けてみると9対0でオリックスが圧勝。寺原は8回104球無失点という圧巻のピッチングを見せて、古巣への強烈な「恩返し」となった。
寺原投手は、5月23日の巨人戦でも1失点の完投勝利を挙げた。この試合では、同点で迎えた9回の打席で、リリーフの越智を相手に、2アウト、ランナーなしから8球も粘ってフォアボールを選び、決勝点の切っ掛けを作った場面は印象的だった。
要するに、今、乗りに乗っているということだ。
横浜からすれば、見切りをつけて放出したピッチャーが、移籍後半年も経たないうちに別人のような活躍を見せて、すでに6勝を挙げているわけで、寺原を指導したチームのスタッフやトレードを進めた球団の編成は、もう情けなくなるほどの無能と言わざるを得ない。
かつて寺原とのトレードで、ソフトバンクに放出した多村といい、現場も球団も「プロ」という言葉を使えないほど低レベルな仕事っぷりだ。
しかも、相変わらず尾花監督は、昨日も初回から送りバントのガチガチ野球である。チーム防御率が12球団中最低なのに、なぜ投手戦モードの攻めにこだわるのか理解が出来ない。
ところで、寺原を完投させなかったのは、岡田監督の横浜への「配慮」という噂もあるが、そうだとしても、横浜からすれば「恥の上塗り」以外の何ものでもない。むしろ寺原に完封して頂いて、現場スタッフやフロントの責任をはっきりさせて、総入れ替えした方が有り難いというものだ。
本当の理由はよく分からないが、9回裏に投手を古川に代えたのは、「配慮」ではなく岡田流の「嫌み」だったんじゃなかろうか?(笑)
一方、巨人・ロッテ戦は、ラミレスの交代時期を誤ったことが巨人にとって痛かった。
同点で迎えた延長10回表、ロッテの先頭打者大松がレフト前ヒットで二塁まで進んだが、これは左翼ラミレスの緩慢な動きと弱い肩を計算に入れた、大松のファインプレーである。
大松はすぐに代走を出されたことからも分かるように、それほど足は速くない。レフトがラミレスでなければ、左に流して迷わず二塁まで走ろうとは思わなかったかもしれない。
ところが原監督は、今江の送りバントで代走南竜が三塁に進んでも、ラミレスを代えようとはしなかった。福浦が左打者で、レフト方向に打球が飛ぶ可能性は低いと見たのかもしれない。結果として、福浦はフォアボールを選び、ラミレスの守備とは関係なかったが、あまりに楽観的で危険な試合運びである。
結局、次の代打キム・テギュンに対して、アルバラデホの初球が頭上をかすめるボールとなった時点で、原監督はようやくレフトに矢野を入れ、ピッチャーも山口にスイッチした。
しかし、時すでに遅し。内角低めのストレートをキム・テギュンに上手くすくわれて、大きなセンターフライを打たれ、試合を決める1点がロッテに入ってしまった。
投高打低で試合が進む中、3時間30分の延長規定もあって、次の1点でほぼ勝負が決まるという展開。10回表の頭から、遅くとも大松の二塁打が出た時点で、守備に難のあるラミレスをベンチに下げて内外野の強化を図るのが普通の発想である。
しかも、今季コンバートの亀井に代えて三塁に脇谷を入れるのは良いとしても、ライトは亀井ではなく高橋由伸に守らせるのが間違いなくベストである。高橋の守備は相手チームの脅威で、この試合でも、4回表1アウト満塁の場面で、ライトフライを小刻みに前進しながら捕球して、三塁ランナーのタッチアップを断念させている。
勿論、10回表の守備に高橋は使えない。原監督が、9回裏フォアボールで出た高橋に、代走として脇谷を送ったからである。そして、これは明らかな「悪手」である。走塁面でも、その後の守備面でも、チームにとってマイナスにしかならない。また、10回あるいは11回の攻撃での戦力ダウンから、ラミレスの交代を難しくした一因でもある。
さらに、ピッチャーの交代も遅かった。大松のヒットでノーアウト二塁となった時点で、バント処理に不安のあるアルバラデホを降板させるべきだろう。今江はバットコントロールの上手い選手なので、フィールディングのよいピッチャーをぶつけてプレッシャーを掛けなければ、1アウト三塁を阻止するのは難しい。
しかし、投手交代はなく、制球にも苦しんでいたアルバラデホがそのまま続投。今江は落ち着いてバントを決め、南竜は余裕を持って三塁に進んでしまった。
昨日の試合に限れば、巨人とロッテの戦力はほぼ互角だった。しかし、9回裏の高橋由伸への代走、10回表の守備固めと投手交代の遅れで、勝利の女神がロッテに微笑んだ。
監督の采配が勝敗に響くことは意外に少ないと言うが、昨日の巨人・ロッテ戦はその珍しいケースの一つだったのかもしれない。
<関連ブログ>
ちょっと野球の話 ~ 阿部慎之介の配球とか原監督の代走起用とか (2011/06/13)
ブラゼル二塁打のビデオ判定は「賢明」な対応 (2011/05/25)
ちょっと野球の話 ~ 原監督の強攻策とかハーパーの守備とか (2011/05/23)
寺原投手は、5月23日の巨人戦でも1失点の完投勝利を挙げた。この試合では、同点で迎えた9回の打席で、リリーフの越智を相手に、2アウト、ランナーなしから8球も粘ってフォアボールを選び、決勝点の切っ掛けを作った場面は印象的だった。
要するに、今、乗りに乗っているということだ。
横浜からすれば、見切りをつけて放出したピッチャーが、移籍後半年も経たないうちに別人のような活躍を見せて、すでに6勝を挙げているわけで、寺原を指導したチームのスタッフやトレードを進めた球団の編成は、もう情けなくなるほどの無能と言わざるを得ない。
かつて寺原とのトレードで、ソフトバンクに放出した多村といい、現場も球団も「プロ」という言葉を使えないほど低レベルな仕事っぷりだ。
しかも、相変わらず尾花監督は、昨日も初回から送りバントのガチガチ野球である。チーム防御率が12球団中最低なのに、なぜ投手戦モードの攻めにこだわるのか理解が出来ない。
ところで、寺原を完投させなかったのは、岡田監督の横浜への「配慮」という噂もあるが、そうだとしても、横浜からすれば「恥の上塗り」以外の何ものでもない。むしろ寺原に完封して頂いて、現場スタッフやフロントの責任をはっきりさせて、総入れ替えした方が有り難いというものだ。
本当の理由はよく分からないが、9回裏に投手を古川に代えたのは、「配慮」ではなく岡田流の「嫌み」だったんじゃなかろうか?(笑)
一方、巨人・ロッテ戦は、ラミレスの交代時期を誤ったことが巨人にとって痛かった。
同点で迎えた延長10回表、ロッテの先頭打者大松がレフト前ヒットで二塁まで進んだが、これは左翼ラミレスの緩慢な動きと弱い肩を計算に入れた、大松のファインプレーである。
大松はすぐに代走を出されたことからも分かるように、それほど足は速くない。レフトがラミレスでなければ、左に流して迷わず二塁まで走ろうとは思わなかったかもしれない。
ところが原監督は、今江の送りバントで代走南竜が三塁に進んでも、ラミレスを代えようとはしなかった。福浦が左打者で、レフト方向に打球が飛ぶ可能性は低いと見たのかもしれない。結果として、福浦はフォアボールを選び、ラミレスの守備とは関係なかったが、あまりに楽観的で危険な試合運びである。
結局、次の代打キム・テギュンに対して、アルバラデホの初球が頭上をかすめるボールとなった時点で、原監督はようやくレフトに矢野を入れ、ピッチャーも山口にスイッチした。
しかし、時すでに遅し。内角低めのストレートをキム・テギュンに上手くすくわれて、大きなセンターフライを打たれ、試合を決める1点がロッテに入ってしまった。
投高打低で試合が進む中、3時間30分の延長規定もあって、次の1点でほぼ勝負が決まるという展開。10回表の頭から、遅くとも大松の二塁打が出た時点で、守備に難のあるラミレスをベンチに下げて内外野の強化を図るのが普通の発想である。
しかも、今季コンバートの亀井に代えて三塁に脇谷を入れるのは良いとしても、ライトは亀井ではなく高橋由伸に守らせるのが間違いなくベストである。高橋の守備は相手チームの脅威で、この試合でも、4回表1アウト満塁の場面で、ライトフライを小刻みに前進しながら捕球して、三塁ランナーのタッチアップを断念させている。
勿論、10回表の守備に高橋は使えない。原監督が、9回裏フォアボールで出た高橋に、代走として脇谷を送ったからである。そして、これは明らかな「悪手」である。走塁面でも、その後の守備面でも、チームにとってマイナスにしかならない。また、10回あるいは11回の攻撃での戦力ダウンから、ラミレスの交代を難しくした一因でもある。
さらに、ピッチャーの交代も遅かった。大松のヒットでノーアウト二塁となった時点で、バント処理に不安のあるアルバラデホを降板させるべきだろう。今江はバットコントロールの上手い選手なので、フィールディングのよいピッチャーをぶつけてプレッシャーを掛けなければ、1アウト三塁を阻止するのは難しい。
しかし、投手交代はなく、制球にも苦しんでいたアルバラデホがそのまま続投。今江は落ち着いてバントを決め、南竜は余裕を持って三塁に進んでしまった。
昨日の試合に限れば、巨人とロッテの戦力はほぼ互角だった。しかし、9回裏の高橋由伸への代走、10回表の守備固めと投手交代の遅れで、勝利の女神がロッテに微笑んだ。
監督の采配が勝敗に響くことは意外に少ないと言うが、昨日の巨人・ロッテ戦はその珍しいケースの一つだったのかもしれない。
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