河村官房長官によると、政府は、北朝鮮が発射した「飛翔体」を、今後は「ミサイル」と呼ぶことにしたそうである。
その根拠として、予告発射時刻と実際の発射時刻の違い、人工衛星が確認出来ない、ロケットとミサイルの技術は同一、国会決議で「ミサイル」という言葉が使われた、などを挙げた。
意味不明である。
これでは、打ち上げに失敗したロケットは、日本の国会で決議すれば、すべてミサイルになってしまう(笑)。
本当のところは、迎撃命令まで出して、あれだけ派手に騒いだのだから、今さら、やっぱりロケットでしたとは、言い出せないということだろう。
詳細な検討は、防衛省による軌道解析を待つとしているが、飛んだコースとして、ミサイルか、人工衛星ロケットか、すでに結論は出ている筈だ。
軌道だけを見れば、このロケットは、人工衛星打ち上げ軌道に沿って、飛ばされた可能性が、極めて濃厚である。
弾道ミサイルならば、はるか上空、場合によっては1千km近くまで上昇して、再び地上に落ちてくるが、今回の高度は、それほど高くないようだ。
もちろん、実際に、人工衛星を積んでいたかどうかは不明である。
しかし、国際機関に人工衛星打ち上げの事前通告があって、なおかつ、その予告通り、ロケットが人工衛星打ち上げとおぼしき軌道を、飛んだのだとすれば、それを「ミサイル」実験と呼ぶのは、国際常識から外れている。
一番の問題は、麻生政権が、今回の打ち上げは、北朝鮮国内の引き締めが最大の目的であるという、金正日政権の意図を、見抜けなかったことである。
わざわざ事前通告して、世界が監視する中で打ち上げるのだから、弾道ミサイルの軌道を取って、さらなる制裁決議を招くようなことをする筈がない。
金正日総書記は、長年の国際的孤立による政権基盤の弱体化に加えて、健康上も重大な問題を抱えている。これ以上の国際的プレッシャーは、何としてでも避けたいのが本音だろう。
しかも、人工衛星ロケットとミサイルの技術は、表裏一体である。人工衛星として打ち上げるだけで、十分に、軍事目的は達成出来る。
実際、イスラエルやイランが「人工衛星」を打ち上げて、周回軌道に載せているが、それが軍事的成果であることは、全世界が承知している。
麻生政権は、北朝鮮の政治的現状を分析せず、ロケット発射を、日本への軍事的脅迫という文脈だけで捉えてしまった。
加えて、北が強行発射すれば、国際世論は、雪崩を打って日本に味方して、国連安保理で新決議を出せるだろうという、根拠のない、甘い見通しを持っていただけで、緻密な外交戦略を描いてなかった。
中国やロシアが一番怖れるのは、金正日政権の崩壊であり、それに続く、北朝鮮の混乱である。倒れてようやく復帰してきた金正日に、お灸をすえるようなことは、余程のことがない限り、避けたいと思うのが普通である。
今回の「ミサイル」騒動、麻生政権は、国際政治への認識不足を露呈して、外交的敗北を喫したと言わざるを得ない。
軌道分析に言及しないで、「飛翔体 = ミサイル」と断定するのは、国連での新決議実現がほぼ不可能になっている中、焦った日本政府による、恥の上塗りである。
麻生首相は、自衛隊を動かす前に、外務省を、もっと動かすべきだった。
事前の根回しをして、ロケット発射後、すぐに安保理を開催、北朝鮮に考える暇を与えず、即座に議長声明を発表。
それが出来ていれば、十分な外交的成果であり、次の発射への抑止力になっただろう。
イエローカードは、毅然とした態度で、即座に出してこそ、効果がある。
激怒して、出そうとしたレッドカードを周りの審判に止められて、すったもんだの末に、しぶしぶイエローカードを出しても、効き目は薄い。
その根拠として、予告発射時刻と実際の発射時刻の違い、人工衛星が確認出来ない、ロケットとミサイルの技術は同一、国会決議で「ミサイル」という言葉が使われた、などを挙げた。
意味不明である。
これでは、打ち上げに失敗したロケットは、日本の国会で決議すれば、すべてミサイルになってしまう(笑)。
本当のところは、迎撃命令まで出して、あれだけ派手に騒いだのだから、今さら、やっぱりロケットでしたとは、言い出せないということだろう。
詳細な検討は、防衛省による軌道解析を待つとしているが、飛んだコースとして、ミサイルか、人工衛星ロケットか、すでに結論は出ている筈だ。
軌道だけを見れば、このロケットは、人工衛星打ち上げ軌道に沿って、飛ばされた可能性が、極めて濃厚である。
弾道ミサイルならば、はるか上空、場合によっては1千km近くまで上昇して、再び地上に落ちてくるが、今回の高度は、それほど高くないようだ。
もちろん、実際に、人工衛星を積んでいたかどうかは不明である。
しかし、国際機関に人工衛星打ち上げの事前通告があって、なおかつ、その予告通り、ロケットが人工衛星打ち上げとおぼしき軌道を、飛んだのだとすれば、それを「ミサイル」実験と呼ぶのは、国際常識から外れている。
一番の問題は、麻生政権が、今回の打ち上げは、北朝鮮国内の引き締めが最大の目的であるという、金正日政権の意図を、見抜けなかったことである。
わざわざ事前通告して、世界が監視する中で打ち上げるのだから、弾道ミサイルの軌道を取って、さらなる制裁決議を招くようなことをする筈がない。
金正日総書記は、長年の国際的孤立による政権基盤の弱体化に加えて、健康上も重大な問題を抱えている。これ以上の国際的プレッシャーは、何としてでも避けたいのが本音だろう。
しかも、人工衛星ロケットとミサイルの技術は、表裏一体である。人工衛星として打ち上げるだけで、十分に、軍事目的は達成出来る。
実際、イスラエルやイランが「人工衛星」を打ち上げて、周回軌道に載せているが、それが軍事的成果であることは、全世界が承知している。
麻生政権は、北朝鮮の政治的現状を分析せず、ロケット発射を、日本への軍事的脅迫という文脈だけで捉えてしまった。
加えて、北が強行発射すれば、国際世論は、雪崩を打って日本に味方して、国連安保理で新決議を出せるだろうという、根拠のない、甘い見通しを持っていただけで、緻密な外交戦略を描いてなかった。
中国やロシアが一番怖れるのは、金正日政権の崩壊であり、それに続く、北朝鮮の混乱である。倒れてようやく復帰してきた金正日に、お灸をすえるようなことは、余程のことがない限り、避けたいと思うのが普通である。
今回の「ミサイル」騒動、麻生政権は、国際政治への認識不足を露呈して、外交的敗北を喫したと言わざるを得ない。
軌道分析に言及しないで、「飛翔体 = ミサイル」と断定するのは、国連での新決議実現がほぼ不可能になっている中、焦った日本政府による、恥の上塗りである。
麻生首相は、自衛隊を動かす前に、外務省を、もっと動かすべきだった。
事前の根回しをして、ロケット発射後、すぐに安保理を開催、北朝鮮に考える暇を与えず、即座に議長声明を発表。
それが出来ていれば、十分な外交的成果であり、次の発射への抑止力になっただろう。
イエローカードは、毅然とした態度で、即座に出してこそ、効果がある。
激怒して、出そうとしたレッドカードを周りの審判に止められて、すったもんだの末に、しぶしぶイエローカードを出しても、効き目は薄い。