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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

N氏が夢見たエネルギーハウス ~ 解答編

2011-05-17 01:04:04 | Weblog
N氏とエレベーター籠を合わせた重量は70kg。5mの高さから降下して、その位置エネルギーの80%が電気になるので、一回に得られる電気量をAジュールとすれば

A = 70(kg) * 9.8(m/s^2) * 5(m) * 0.8 = 2744 J

100Wのテレビならば、30秒くらい見られる電気量である。これをワット時に直してBワット時とすれば

B = A(J) / 3600(J/wh) = 0.762… wh

一日に必要な電気量は10 kWh なので、必要な回数は

10000(wh) / B(wh) = 13119.53…

よって正解は1万3120回

もし1回に掛かる時間が10分だとすれば、N氏が不眠不休で動いて3ヶ月ほど。しかも運動によるダイエット効果でN氏の体重はどんどん落ちていくので、さらに必要回数は増えていく。残念なお知らせだ(笑)。

ところで、違った観点で考えると、このエレベーター発電が厳しいのがすぐに分かる。

普通の成人男性が一日に摂取するカロリーは2000kcalほど。これをワット時で表現すると2.3kWhになる。つまり、N氏は2.3kWhのエネルギーしか補給しないのに、10kWhの仕事を迫られているわけで、さすがに無理というものである。

ちなみに10kWhはカロリーで表すと8600kcal。確かに、これくらいなら飲み食いする人は稀にいるが、摂取カロリーのうちATPのような有効な生体エネルギーに変えられるのは、せいぜい数十パーセント。しかもその大半が体や脳を維持する基礎代謝に使われる。

また、体を動かす際は、鼓動が速くなったり、発汗したりという部分に大きなエネルギーが使われる上に、筋肉を収縮させるにも、エネルギーロスがある。結局、階段を上るというような外部への力学的エネルギーに変換できるのは、食べたエネルギーのごく僅かでしかない。従って、一日で10kWhの仕事をするのは、どんな人間にとっても、夢のまた夢と言えるだろう。

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