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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

本当に故意なのか? ~ 農薬冷凍餃子の話

2008-02-07 16:34:36 | 政治
メタミドホス混入の中国製輸入餃子について、誰かが故意に混入した、との見方が、ちらほら出てきた。しかし、汚染のされ方が、ばらばらで統一感のないことを考えると、故意というのは、もっとも最後に考えるべき可能性である。今の時期に、こういう見方が表に出てくるのは、不可解だ。

まず検討すべきは、工場を大規模に消毒したとき、誤って汚染してしまった可能性だと思う。

昔は、一般家庭でも、数年に一回くらい、ゴキブリ駆除のため、バルサンをたいて、家全体を消毒することがあった。この際、食べ物は勿論、食器なども外に出さなければ、バルサンまみれになって、その後、洗うのが大変になる。

天洋食品のような、大きな食品工場であれば、ネズミ、ゴキブリ、虫などが、間違いなく発生するはずで、かなりの頻度、しかも強い薬品で、消毒しなければ、駆除できないだろう。何年か前、日本でも、工場で作った食品に、虫などの異物混入が相次いで見つかったのは記憶に新しい。

しかし、消毒のために、すべての食品や機械類を、外に出すのは、大変な作業である。加えて、生産ラインが止まって、損金が発生する可能性がある。経営者としては、出来るだけ、搬出を小規模にして、ラインを止めないまま、消毒したい気持ちになるのは、当然である。

従って、その消毒の際に、食品が汚染される危険性は、少なくないと思う。とくに、今回の件では、餃子そのものよりも、包装の汚染が多いのは、気になる点である。餃子の具材や皮には注意が行き届いていたが、包装は見過ごしていた、という可能性もある。

さらに、消毒後の清掃が不十分であれば、ラインを再稼働したとき、床やテーブルに残った消毒薬で、汚染される可能性もある。また、井戸水のような、安価な水で、この清掃を行うと、井戸水からの汚染も考えられる。

故意云々の前に、まず、工場消毒の実態把握。これが順序だろう。

食品工場の衛生管理は、非常に難しい。やればやるほど、お金がかかるが、消費者はさほど褒めてくれない。しかし、やらなければ、すぐ不衛生になる。天洋食品の社長や中国当局は、100%安全な食品を作る工場だと言わんばかりだが、そんな工場があり得ないのは、先進国の消費者なら、たいてい知っている。優れた工場でも、薬物汚染、異物混入、製造日及び内容物偽装などと、常に、紙一重のところにいるはずだ。

今回の件では、汚染商品が少数で、汚染場所がばらばら、包装の外側のみの汚染もあるし、製造日もまちまちである。故意とするには、不思議な部分が多い。犯行を自供した人物がいるならともかく、まずは、衛生管理の手落ちという線を、徹底的に調べるべきだ。

中国食品局の責任者は、「日中友好発展に不満を持つ、一部の分子が、極端な行動に出た」可能性に、言及したそうだ。故意に誰かがやった、しかも、日本側で、というのが、自分の首が安泰な、都合の良いシナリオなのだろう。保身のために、官僚が、事実をねじ曲げようとするのは、どこの国でも同じということだ(笑)。

しかし、そんな政治教育的我希望的観測では(笑)、どの国の消費者も納得しない。求められているのは、科学的な調査に基づいた原因究明と、それに対する、有効な対処策である。日中両政府は、そのことを忘れてはいけない。

官僚のメンツや業者の利害を考えて、事実を曖昧にしたまま、最後は政治決着。

それでは、世界の消費者が、許さないだろう。

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