昨日5月24日に甲子園で行われた阪神・西武戦。4回裏、ノーアウト、ランナー1塁2塁で西武1点リードの場面、ブラゼルが放ったホームラン性の打球は、バックスクリーンすぐ左から跳ね返って外野に戻ってきた。
友寄二塁塁審は二塁打をコールしたが、ホームランではないのかと球場が騒然とし始めた。真弓監督も指を回しながらベンチでアピールしていた。
このとき、審判団はすぐに集まって協議し、友寄塁審がマイクを使ってビデオ判定を行うことを観客に知らせた。そして、ほどなくして戻ってきた友寄塁審は、打球がフェンス上部に当たっていたことを説明して、二塁打としてプレーを続けるけことを宣言した。
見事な対応である。
実際、この後、選手もベンチも観客も視聴者も、二塁打の判定問題に区切りをつけて、気持ちよく次のプレーに専念することが出来たと思う。ジャッジを出来るだけ正しいものに近づけたと同時に、プロ野球というショーを円滑に進めたという点でも、優れた「試合さばき」だった。
しかし、こういった対応は「当たり前」のことではない。
昨年2010年9月19日のソフトバンク・西武戦では、ファウルとコールされた小久保のホームラン性の打球について、秋山監督が数分間に渡って審判にビデオ判定を求め続けたが、認められなかった。
左翼ポールぎりぎりを通過した打球だったので、ホームランではないかと球場が騒然とする中、監督の要求を頑として受け入れない審判たちに、苛立ったコーチ陣が食って掛かる場面もあり、後味の悪いゲームとなった。
また、4月20日の阪神・巨人戦における脇谷選手の落球誤審では、真弓監督の懸命の抗議にもかかわらず、審判団が集まって協議することはなく、またアウトをコールした土山一塁塁審から観客への説明もなかった。
審判のこの対応がいかに拙いものだったかは、その後に起った騒動を見れば一目瞭然である。
ジャッジをコールした審判は、それが覆されることを怖れてビデオ判定をしたがらない。他の審判も、コールした本人が積極的に言い出さない限り、ビデオ判定を提案したり、自分の意見を述べたりは出来ない。そして、ミスジャッジを疑って騒然とする観客へのマイク説明は出来るだけ避けたい。
そういう風にしか見えない出来事が数多く発生している。
従って、今回の審判団の行動は高く評価されるべきである。確かに、昨日の試合でのブラゼルの打球は、比較的見やすい位置に飛んだので、友寄塁審もビデオ判定でジャッジが覆る可能性は低いと思っていたかもしれない。
しかし、こういった真摯な対応を賞賛する声が強くなっていけば、最初のジャッジへの自信の有り無しに関係なく、重要場面で疑義が生じた場合は、協議やビデオ判定を行うという雰囲気が審判団に生まれてくる可能性がある。
「審判のジャッジが最終判断」というルールを振りかざすのではなく、より真実に近いジャッジを追求して、観客には誠意を持って説明する。
ジャッジのあり方を、この「当たり前」の形に一歩でも近づけるためには、野球ファンが、昨夜のような審判の行動を優れた「賢明」なものとして、一つ一つ評価し続ける以外に道はないのかもしれない。
ところで、昨日の阪神・西武戦の主審は、脇谷選手の落球をアウトと誤審した土山審判だった。しかも、問題になったのは、あの時と同じブラゼルの打球で、同じ甲子園。もし、協議もビデオ判定も行わず、二塁打で押し通して、後で実はホームランだったと判明したら、土山審判は勿論のこと、プロ野球審判部そのものが完全に信頼を失うことになる。
そういった緊張感が、昨夜の試合で、審判団に迅速なビデオ判定を決意させたのかもしれない。
別の意味でも「賢明」な対応だったわけである(笑)。
<関連ブログ>
ちょっと野球の話 ~ 原監督の強攻策とかハーパーの守備とか (2011/05/23)
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見事な対応である。
実際、この後、選手もベンチも観客も視聴者も、二塁打の判定問題に区切りをつけて、気持ちよく次のプレーに専念することが出来たと思う。ジャッジを出来るだけ正しいものに近づけたと同時に、プロ野球というショーを円滑に進めたという点でも、優れた「試合さばき」だった。
しかし、こういった対応は「当たり前」のことではない。
昨年2010年9月19日のソフトバンク・西武戦では、ファウルとコールされた小久保のホームラン性の打球について、秋山監督が数分間に渡って審判にビデオ判定を求め続けたが、認められなかった。
左翼ポールぎりぎりを通過した打球だったので、ホームランではないかと球場が騒然とする中、監督の要求を頑として受け入れない審判たちに、苛立ったコーチ陣が食って掛かる場面もあり、後味の悪いゲームとなった。
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審判のこの対応がいかに拙いものだったかは、その後に起った騒動を見れば一目瞭然である。
ジャッジをコールした審判は、それが覆されることを怖れてビデオ判定をしたがらない。他の審判も、コールした本人が積極的に言い出さない限り、ビデオ判定を提案したり、自分の意見を述べたりは出来ない。そして、ミスジャッジを疑って騒然とする観客へのマイク説明は出来るだけ避けたい。
そういう風にしか見えない出来事が数多く発生している。
従って、今回の審判団の行動は高く評価されるべきである。確かに、昨日の試合でのブラゼルの打球は、比較的見やすい位置に飛んだので、友寄塁審もビデオ判定でジャッジが覆る可能性は低いと思っていたかもしれない。
しかし、こういった真摯な対応を賞賛する声が強くなっていけば、最初のジャッジへの自信の有り無しに関係なく、重要場面で疑義が生じた場合は、協議やビデオ判定を行うという雰囲気が審判団に生まれてくる可能性がある。
「審判のジャッジが最終判断」というルールを振りかざすのではなく、より真実に近いジャッジを追求して、観客には誠意を持って説明する。
ジャッジのあり方を、この「当たり前」の形に一歩でも近づけるためには、野球ファンが、昨夜のような審判の行動を優れた「賢明」なものとして、一つ一つ評価し続ける以外に道はないのかもしれない。
ところで、昨日の阪神・西武戦の主審は、脇谷選手の落球をアウトと誤審した土山審判だった。しかも、問題になったのは、あの時と同じブラゼルの打球で、同じ甲子園。もし、協議もビデオ判定も行わず、二塁打で押し通して、後で実はホームランだったと判明したら、土山審判は勿論のこと、プロ野球審判部そのものが完全に信頼を失うことになる。
そういった緊張感が、昨夜の試合で、審判団に迅速なビデオ判定を決意させたのかもしれない。
別の意味でも「賢明」な対応だったわけである(笑)。
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