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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

内閣不信任案は無責任政治の再臨界

2011-06-01 09:47:27 | 原発事故
海水注入の中断問題では「可能性はゼロではない」=「事実上ゼロ」という班目委員長のウルトラCが物議をかもした。

しかし、多くの専門家の話を聞いていると、福島第一原発では、どうやら今でも再臨界の「可能性はゼロではない」ようだ。

燃料棒の間に制御棒が入ると、多量の中性子を介した連鎖的な核分裂反応は停止して、後は核崩壊による崩壊熱だけが問題となる。反応停止は燃料棒の形や相互の距離といった空間的な要因に負うところが大きい。

しかし、福島の事故のように、核燃料が溶け落ちて圧力容器や格納容器の底に不定形の塊となって存在している場合は、核分裂の連鎖を抑制する原子の空間配置が失われるので、話は違ってくる。とくに核燃料が高温で液化していると、原子の動きはさらに自由度を増すので、局所的で小規模な連鎖核分裂が今現在起こっている可能性も否定できない。

さらに、もし何かのはずみで溶融した核燃料の形が急激に変わると、大規模な連鎖核分裂、つまり再臨界が起こる可能性もゼロではないらしい。

例えば、3号機原子炉は、プルトニウムを混ぜた核燃料で発熱量が大きく、未だに相当な高温状態が続いている。つい最近も炉内温度が300度近くまで上昇したというニュースが流れた。その後、100度台まで下がったそうだが、安心できる状況からはほど遠い。

原発事故発生から二ヶ月半。事故処理は順調に進み、危機的状況は脱したという雰囲気が日本を覆いつつある。危機感の欠如は、とくに中央の政治家たちに著しい。その好例が、菅政権への内閣不信任案提出である。

しかし、大きな問題がないように見えるのは、東京電力が大きな問題を見せないからに過ぎない。溢れかえる高濃度汚染水や「可能性はゼロではない」再臨界など、事故の状況は予断を許さない。

もし解散総選挙や内閣総辞職となって、連立だ、新党だと騒いでいるときに、福島第一原発で再臨界が起り、水蒸気爆発によって原子炉が吹き飛んで、広範囲に放射性物質が降り注ぐことになったら、一体誰が事態収拾に当たるのだろうか?

また、東電や保安院が汚染水の一部海洋投棄を画策し始めたら、誰がそれを抑えて、周辺国や国際機関の懸念を払拭するのだろうか?

尖閣諸島の中国船による領海侵犯事件は、鳩山首相退陣表明後の民主党代表選挙という政治空白期間に起こり、政府は素早い対応が取れず、その後日本は外交上厳しい立場に立たされた。

イラ菅だ、指導力不足だ、市民運動家だと、与野党で政治ごっこをしているだけならまだ害は少ないが、不信任案可決という不要不急の政治空白を作って、再び日本を危機に晒すことは許されない。

福島第一原発の再臨界と同様、不信任案可決も「可能性はゼロではない」らしいが、後者は容易に防ぐことができる。国会議員は、それがもたらす破壊力を十分に考えて行動すべきである。

<関連ブログ>
事故処理が破綻しつつある ~ 溢れかえる放射性汚染水 (2011/05/31)

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