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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

チャイナ・フリーか、ブランドか ~ 決まるのは、今だ

2008-02-16 14:53:50 | 政治
警察の鑑定によると、中毒を起こした冷凍餃子のメタミドホスは、国内で流通する精製度の高いものではなく、不純物の混ざった、純度の低いものだと判明した。

メタミドホスが、穴の開いていない袋の内側から、検出されたことと合わせると、これで、天洋食品の工場で、混入したことは、ほぼ間違いなくなった。

ところが、中国側は、会社も、当局も、「製造過程に問題はない」「製品から、農薬は検出されていない」などと、繰り返すばかりである。

会社に不満を持つ作業員が、故意に混入させた、という説以外にも、清掃作業やネズミ駆除の際に、誤って袋に付着した可能性など、調べることは山ほどあるはずだ。

出入りの業者が、メタミドホスを使っていたのなら、天洋食品の薬品リストに、名前が出ていなくとも、不思議はない。そもそも、禁止薬物なのだから、どの業者のリストにも、載っていないだろう(笑)。

だが、今になっても、工場の清掃方法や、防虫殺鼠方法など、詳しい情報は、何一つ出てこない。

こういった中国側の態度には、問題を曖昧にして、誰も責任を取ることなく、このまま切り抜けたいという意図が、見え隠れしている。非を認めたら終わり、という信念である。

しかし、それこそ最大の勘違いだ。

食品工場で、万全の衛生管理を行うのは、並大抵のことではない。大変な努力が必要である。それでも、思わぬところで、問題が発生することはある。人間なのだから、100%はあり得ない。

重要なのは、その後の対応である。

速やかに問題点を見つけ出して、それを公にして、同じことが起こらないよう、抜本的な改善をはかる。そのことによって、以前より、さらに高いレベルの安全性が確保され、やがて、消費者の信頼も、取り戻すことが出来る。

日本をはじめ、先進国の企業は、問題を起こして、厳しい批判にさらされ、それを正面から克服することで、世界の消費者の信頼を勝ち取り、製品のブランド化に成功してきた。

しかし、問題をうやむやにしたままでは、永久に、信頼回復の機会はない。

近年、中国製品の質は、格段に上がって来ている。「安かろう、悪かろう」ではない、という認識が、消費者の間に生まれつつあった。

今回の事件も、天洋食品や、政府当局が、しかるべき対応を取れば、中国製品に対する信頼を、さらにアップする、絶好のチャンスになるだろう。だが、残念ながら、彼らは、そのチャンスを、無駄にしているように見える。

中国は、三権分立が不十分で、民事訴訟を起こせない。さらに、厳しい検閲のため、言論の自由がなく、マスコミが機能していない。そういった社会では、記者会見で、社長や、当局の人間が、「冷凍餃子」の安全性をいくら訴えても、信じろという方が、無理である。

つまり、中国は、その政治体制のために、自国製品への信頼獲得に対して、大きなハンディキャップを背負っている。それを乗り越えて、メイド・イン・チャイナが、世界ブランドに発展するのか、それとも、チャイナ・フリーで終わるのか。

今回の、メタミドホス事件への対応こそ、その分岐点である。

かつて中国は、水泳選手の、禁止薬物の組織的使用で、国際水泳から、完全に閉め出された時期があった。そのときも、ドーピング検査の結果に、執拗に反発して、連盟の怒りを買ってしまった。もし、薬物の使用を、もっと早く認めていたなら、あれほどの厳しい処分は、免れたかもしれない。

あれから、何年も経っている。同じ過ちを繰り返さないことを、祈るばかりである。

それは、何よりも、中国自身の利益にならない。

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