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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

グロブリン肝炎汚染の読み方

2007-12-28 16:17:59 | 政治
今日の朝日新聞朝刊の1面と30面によると、77年に旧ミドリ十字社が製造した血液製剤「人免疫グロブリン」2本から、C型肝炎ウイルスが検出された。

この製剤は、遅くとも75年には、発売されていたそうで、92年にC型肝炎ウイルスの高精度検査法が導入されるまで、肝炎汚染を引き起こした可能性が出てきた。

まず注意が必要なのは、「肝炎ウイルスが検出された」ことと、「そのウイルスが感染力を持っている」ことは、別物である点だ。

今回の検出は、恐らく、PCR法を使って、ウイルスの遺伝子を調べたものだと思う。その結果、確かに、C型肝炎ウイルスは存在した。しかし、製造過程で、エタノール処理を行っているので、ウイルスの外被タンパク質が変性して、感染力を失っている可能性もある。

そうであれば、幸いなことに、フィブリノゲン製剤、血液凝固第9因子製剤に続く、第三の薬害C型肝炎は、存在しないことになる。

ただ、エタノール処理したからといって、すべてのタンパク質が変性して、失活するわけではない。現に、製剤の主成分である、免疫グロブリンは、エタノール沈殿後も、活性を保っているからこそ、薬として使われている。C型肝炎ウイルスが、変性せず、感染力を維持している可能性もある。

つまり、感染力を維持しているかどうかは、実際に調べてみないと、何とも言えない。

問題なのは、「エタノール処理しているから、ウイルスが混入していても、安全である」と、調べもせずに、結論していたことである。

92年には、C型肝炎ウイルスの高精度検査法が導入されたという。ならば、その時点で、C型肝炎ウイルスを含んだ血液を使って、製造過程を実験室で再現して、各種の血液製剤に、どの程度ウイルスが混入するのか、確認できたはずである。

この手の実験なら、一ヶ月もあれば、結論が出せると思う。

従って、厚生省と、ミドリ十字は、「人免疫グロブリン」製剤について、少なくとも、92年には、75年からのその時点までに、患者が、C型肝炎に感染した危険性があることを、知らせなければならない。そして、過去の製剤の回収を、直ちに、開始しなければならない。

今回の薬害C型肝炎でも、感染の危険が、もっと早く分かっていれば、もっと早く治療を開始できた患者さんは、多いはずである。

確かに、混入したウイルスが、感染力を持つかどうかの試験は、難しいだろう。私は、この分野の専門家ではないので、はっきりしたことは言えないが、ヒト培養細胞を使った、感染実験ということになるのかもしれない。ある程度の時間が掛かるかもしれない。

しかし、「エタノール処理だから、大丈夫」と、決めつけることは、絶対にあってはならない。調べもせずに、「感染力はないから、ウイルスが混入していたとしても、通知する必要はない」と判断したのなら、それは犯罪的な行為である。

この記事の載っている、同じ30面に、薬害肝炎法案についての、江利川厚労省事務次官の発言が出ている。

「医薬品は効能と副作用をあわせ持つ。副作用が発生すれば直ちにメーカーや国に責任があるとなると、副作用のある医薬品はつくれなくなり、承認できなくなる」「実態を踏まえた責任論が展開されることを期待している」

これは、完全に問題のすり替えである。医薬品に副作用があることが問題なのではない。副作用を患者に知らせなかったことが問題なのだ。危険な副作用を察知できたはずなのに、根拠もなく、それを甘く見積もって、患者に教えなかった。その結果、大規模な薬害に発展してしまった。

だからこそ、厚生労働省に対して、発生責任が、厳しく問われている。

全く不必要な薬を使われて、C型肝炎になって、命を奪われたひとが何人もいる。命の危険にさらされているひとが何人もいる。いつ肝硬変・肝臓ガンを発症するか、脅えながら生きてるひとが何人もいる。

そのひとたちを前にして、原因を作った役所のトップが、平気で、開き直りとも取れる発言をする。

あなたには、人間のこころがあるのかと、尋ねたくなる。

怒りを通り越して、虚しいだけだ。

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タミフル1万人調査が示すもの(2)

2007-12-27 17:00:43 | 政治
タミフルが無かった時代に、十代のインフルエンザ患者が、異常行動で死亡したケースは、どのくらいあったのか?

国民が、一番知りたいのは、この点である。もし、インフルエンザの流行のたびに、10代の患者が、「飛び降り」や「走り出し」で、死んでいたのなら、タミフルの副作用という可能性は、低くなる。

単に、メディアが、報道しなかった、だけなのだろうか?

しかし、若いインフルエンザ患者が、「何十メートルも走り出して、車道に飛び出した」とか、「家の窓から出て、マンションの手すりを乗り越えた」など、タミフル以前には、一度も、聞いたことがない。

医師を含め、多くのひとが、そう思ったからこそ、10代への処方の原則禁止措置が取られたのではないだろうか?

今回の1万人調査では、「異常行動全般のリスクは高まらない」と発表されたが、タミフルのインフルエンザ治療効果を考慮すると、この結論は妥当だと思う。

例えば、インフルエンザの自然治癒に5日間かかるとして、タミフルを飲むと、それが2日半になったとする。つまり治癒率を5割とおく。すると、タミフルの異常行動への影響がゼロであれば、飲んだ場合の異常行動発生率は、飲まない場合の半分になるだろう。今回の調査では、飲まない場合が22%なので、飲んだ場合は、半分の11%になるはずである。

飲んだ場合の発生率は、調査では、10%となっている。11%に近い数値だ。もちろん、22%と10%という数字は、母集団ではなく、サンプル集団での発生率で、統計検定の必要があるが、「タミフルの影響なし」は妥当に見える結論である。

しかし、異常行動の範囲を絞って、「死亡事故につながりかねない異常行動」の調査では、飲まない場合と、飲んだ場合のリスク差がはっきりしなくなる。この結果は、前回12月26日のブログで指摘したように、「タミフルの影響あり」の可能性が、極めて高いことを意味する。

治癒率を5割とすると、タミフルを飲んだ場合、インフルエンザウイルスにさらされている時間は、飲まない場合の半分なのに、重度異常行動の発生率は同じ。つまり、発生率が、2倍に上がっていることになる。

異常行動の範囲をどんなに絞っても、治癒率が5割なら、飲んだ場合のリスクは、飲まない場合の、半分でなければならない。それが、「タミフル影響なし」を意味する。範囲を重度のものに絞るにつれて、飲んだ場合のリスクが、飲まなかった場合に近づくならば、タミフルが影響しているということである。

すると、さらに範囲を重度に絞ると、飲んだ場合のリスクが、飲まなかった場合を追い越す可能性がある。

そして、その究極の異常行動が、「死亡事故につながった異常行動」である。この発生率は、タミフルを飲んだ場合と、飲まない場合で、どう違うだろう?

飲んだ場合は、よく分かっている。我々が、ニュースで見たとおりである。一方、飲まない場合は?

不思議なことに、厚生労働省研究班は、この一番肝心な調査を行っていない。プレスリリースで、触れていない。

つまり、こういうことではないのか。タミフルを飲まない場合、10代のインフルエンザ患者が、異常行動で死亡事故を起こしたケースは、ほとんどゼロである。調べる、必要もない。

それなら、タミフルの副作用に関して、科学的に、つじつまの合う結論を導き出せる。

インフルエンザでよく見られる、一般的な異常行動に対しては、タミフルは、その頻度を上げることはない。しかし、この病気では本来見られない、死亡事故につながる極端な異常行動を、数は少ないが、引き起こすことがある。

これは、限られた情報から出した、推論である。しかし、厚生労働省が、「タミフルを飲まない場合の、死亡事故例」を示さない限り、到達せざるを得ない結論でもある。

一刻も早く、この調査を行って、結果を出して欲しい。

新しい薬のリスクを、正しく国民に伝える。それが、厚生労働省の一番の義務である。政府は、薬害エイズ、薬害肝炎を通して、自身の責任の重さを、十分に理解していると信じたい。

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タミフル1万人調査が示すもの

2007-12-26 19:49:21 | 政治
今日の朝日新聞朝刊30面によると、厚生労働省研究班は、タミフルと異常行動との因果関係に関する調査の結果を発表した。

十八歳未満のインフルエンザ患者で、タミフルを服用して異常行動が見られたのは、全体の10%。服用せずに異常行動をしたのは、22%。

この記事を読むと、

タミフルを服用すると、インフルエンザに伴う、異常行動が抑えられるのか?少なくとも、タミフルが異常行動を引き起こすことはなさそうだ

と、一瞬思いがちである。しかし、本当にそれで良いのだろうか?

このデータを解析する際に、重要な要因が一つある。それは、「タミフルは、インフルエンザを治す」という事実である。しかも、この薬は、珍しく、よく効く(笑)。

発表されたデータを使って、「異常行動は、すべてインフルエンザの影響であり、タミフルは、何の影響も与えない」という仮説を、検証してみよう。

例えば、タミフルの服用で、7割の患者が、すぐにインフルエンザが治ってしまったとする。すると、仮に、異常行動が、すべてインフルエンザの影響であるなら、この7割のグループには、ほとんど異常行動が見られないはずである。

一方、治らなかった残り3割の患者では、異常行動が見られる確率は、タミフルを服用しなかった場合と同じ 22% であるはずだ。

従って、「タミフルの影響が全くない」ならば、タミフル服用者の 6.6% (= 0.3 × 22%) が、異常行動を起こす計算になる。タミフルによる治癒効果を考えれば、異常行動の頻度が、服用の場合に下がるのは、不思議なことではない。

そして、調査の結果、服用時の異常行動の割合が、6.6% に近ければ、「タミフルの影響なし」と言える。もし、6.6% より高ければ、7割の治癒グループ、あるいは、3割の治らなかったグループの中に、インフルエンザの影響だけでは説明出来ない数の、異常行動ケースが、存在したことになる。すなわち、「タミフルの影響あり」の可能性が高くなる。

もちろん、この 6.6% という数字は、タミフルの治癒率が7割の場合である。もし、治癒率9割なら、2.2%。治癒率5割なら 11% になる。

タミフルの治癒率が分からないので、タミフル服用の 10% が異常行動、という調査結果から、結論を出すことは出来ない。

しかし、記事の後半に、

対象を10歳以上に限り、飛び降りなど死亡事故につながりかねない異常行動に絞って比較すると、飲んだ場合と飲まない場合のリスクの差ははっきりしなかった

と書かれている。

「リスクの差がはっきりしなかった」という表現が、「タミフルを服用した患者群と、服用しなかった患者群において、死亡事故につながる重度の異常行動の発生率が同じである」ことを意味するならば、この結果から、はっきり言えることがある。それは、タミフルの治癒率がゼロでない限り、重度の異常行動に対するタミフルの影響は、必ずある、ということだ。

タミフルがよく効く薬である、すなわち高い治癒率が期待されることを考えると、相当に大きな影響である可能性が高い。タミフルの治癒率が5割なら、服用時の重度異常行動の発生率は、飲まない場合の2倍。治癒率が7割なら、3.3倍。治癒率9割なら、10倍である。

「重度異常行動へのタミフルの影響は全くない」との結論は、到底出せない数字である。この調査結果は、「密接な因果関係がある」ことを強く示唆している。

加えて、研究班の別の調査によると、十代のタミフル服用の禁止以降、インフルエンザ患者の「飛び降り」「走り出し」などの重度異常行動件数は、三分の一に減ったそうである。

班長である広田良夫大阪市立大学教授が、「因果関係わからず」と発表したのは、かなり慎重な態度であると思う。重度の異常行動に関しては、「因果関係の可能性」に触れても、よかったのではないだろうか。

ただ、十代への使用制限の解除をしなかったのは、正しい判断だと思う。因果関係を示唆するデータが、これだけ出ている。安全宣言は出せない。


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薬害肝炎は、防げたはずだ

2007-12-25 19:10:00 | 政治
1964年(昭和39年)、国が、ミドリ十字のフィブリノゲン製剤の製造を承認。

これが、薬害肝炎の出発点である。売血からの血液製剤であり、B型C型肝炎ウイルスに汚染されていた。

この薬は、本来、先天性低フィブリノゲン血症の薬である。しかし、フィブリノゲンが、血液凝固の因子であることから、「止血効果」を期待されて、出産時の妊婦の出血あるいは手術の際の出血に対しても、幅広く使われた。

その結果、献血製剤に置き換わる、1990年代まで、肝炎ウイルスをまき散らすことになり、大規模な薬害に発展した。

では、国と製薬メーカーは、何が出来たのだろう?

1964年当時、次のような状況があった。

* 輸血用血液は、ほとんどが売血である
* 輸血によって、高率で、肝炎に感染する
* 売血は、低品質で、「黄色い血」ともいわれ、提供者には、恐らく覚醒剤の注射によると思われるが、肝炎患者が多数含まれていた

血液製剤は、多人数に由来する大量の売血から、生化学的分画・濃縮過程を経て、製造される。これは、ウイルスも一緒に濃縮される可能性を、意味している。フィブリノーゲン製剤が、非常に高い肝炎感染リスクを持っていることは、当時でも、容易に推測できたはずである。

例えば、昨今話題になった、タミフルの副作用に比べれば、この薬の副作用は、はるかに予見しやすい。つまり、販売当初から、危険な薬だった。

従って、国と製薬メーカーは、販売開始と同時に、次のことを行わなければならない。

1 フィブリノゲン製剤を投与された患者が、どのくらいの率で、肝炎になるかの調査
2 フィブリノゲン製剤の効果の検証
3 より安全な代替治療の研究

これらの調査研究は、十年もあれば、結論を出せるはずである。実際、アメリカでは、1977年に、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、フィブリノゲン製剤の承認を取り消している。理由は、B型肝炎感染の危険性、薬の臨床効果への疑問、代替治療の存在、だそうだ。

米国政府は、仕事をしていた、ということだ。しかし、日本では、何事もなかったかのように、薬が使われ続ける。

1980年代後半には、青森県の産婦人科医院で、フィブリノゲン製剤を投与された妊婦が、集団で肝炎に感染する事件が起こる。厚生省は、この事件を調査したが、それでも、何も変わらない。医療現場では、相変わらず、広範囲に、薬が使われ続けた。

そもそも、フィブリノゲンは、血液凝固経路の最終段階の因子である。しかも、先天性疾患のひとなどを除けば、もともと体内に、大量に存在するタンパク質である。

それを、わざわざ外から入れて、「止血効果」があるというのは、強力な臨床データでもなければ、科学的には、首をひねらざるを得ない主張である。壊れたブロック塀を補修するとき、すでに十分なブロックが手元にあるのに、さらにブロックを補給する。何の意味がある?

むしろ、血液の凝固と溶解のバランスを壊す危険性を考えるべきだろう。

厚生省が、フィブリノゲン製剤の使用を、先天性疾患に限定する通達を出したのは、実に、1998年のことである。

「止血効果」を信じて、出産や手術に、何十年にも渡って、フィブリノゲン製剤が使われてきた。その結果、大量の肝炎患者が発生した。驚くべき、無為無策だ。

薬害C型肝炎訴訟の地裁判決では、国とメーカーの責任を認めたのは、最も早いもので、名古屋地裁の、1976年以降。東京地裁に至っては、1987年から1988年の一年間だけの責任しか、認めなかったケースもある。

これらの判決は、「確実に分かっていたのに、何もしなかった」責任を、問題にしている。しかし、「疑わしいものを、研究して明らかにする」責任は、一切問われていない。

国とメーカーは、財政的にも、人材的にも、立場的にも、調査研究が容易な立場にある。上述した三点、すなわち、(1)肝炎感染リスクの調査、(2)効果の検証、(3)代替治療の研究。販売開始当時から、これらを行ったことを示す資料を、国とメーカーが提出できなければ、彼らは、1964年の承認日から、責任をとるべきである。

自分たちには、「疑わしいものを、研究して明らかにする」義務がないというならば、厚生労働省は、薬の許認可権を持つ資格がない。製薬メーカーは、薬を販売する資格がない。

調査研究の能力や意志が無ければ、薬事行政の当事者になってはいけない。薬害エイズ、薬害肝炎ではっきりしたように、それは、国民の命を脅かすことになる。現在のように、国が自身の責任を認めないのであれば、薬の許認可権を、厚生労働省から取り上げるべきである。

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福田首相、一番の問題は、あなただ

2007-12-24 18:14:31 | 政治
薬害C型肝炎問題について、国が法的責任を認めた上で、患者全員を「一律救済」する。

官僚の抵抗が強くて、この政治決断が出来ないから、議員立法に任せる。首相として、あまりにも無責任な態度である。

「速やかに立法」と言うが、自民党の厚生族議員の抵抗を、誰が抑えるのだろうか。彼らは、文面の細かい変更を要求して、「一律救済」や「国の責任」を、薄めた法案を作ろうとするだろう。

首相として、官僚の抵抗が抑えられない人物が、総裁として、族議員の抵抗を抑えられるだろうか?しかも、党幹部は、派閥の領袖、すなわち族議員団の長ばかりである。

さらに、なし崩し的な法案では、民主党も、飲むことが出来ないはずで、審議が、長引く可能性がある。来年度予算案に、間に合わない危険もある。その場合、福田首相は、解決が遅れているのは、「国会の問題」「野党の責任」と言うつもりだろうか。

福田氏が、首相として決断すれば、この問題は、すぐに解決する。一律救済のための予算を、直ちに計上して、重篤な患者を、救済することが出来る。

一番の問題は、官僚の抵抗ではない。人事権を掌握する、行政のトップが、何一つ決断できないことにある。

町村官房長官は、国の責任について、「道義的責任」という言葉を使ったそうだ。裁判の判決、あるいは、和解案では、国の法的責任を認めていないという主張らしい。

しかし、考えて欲しい。その裁判で使われた「証拠」は、誰が提出したものだろうか?厚生労働省や、製薬メーカーが、自分たちのファイルの中から、都合の良いものだけを選んで提出したと言われて、彼らは、反論できるだろうか?

国政調査権や、検察による、ガザ入れをして、裁判で見せた以外のものは、何も出てこないと、断言できるだろうか?

少なくとも、それを信じる国民は、ほとんどいない。

そして、どんな資料があるのか、曖昧にしておけるのは、福田首相が、政府のトップとして、官僚と対決しないからである。党幹部を、派閥の領袖で固めて、総裁として、族議員に、エールを送っているからである。

薬害肝炎問題は、残念ながら、今のところ、まだ先行きが見えない。しかし、はっきりしたことが、一つある。

問題解決の一番の妨げは、未だに原告団に会おうともしない、福田首相、彼自身である。

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命名権ビジネスの落とし穴

2007-12-23 15:09:35 | 政治
もしもの話。

子供が生まれたとき、ミラクルクリーナーという会社から連絡がくる。

「一億円払うので、お子様の名前を、ミラクルクリーナーにして頂けませんか」

この申し出を受ける親は、どのくらいいるだろう。

名前は、さまざまなものを映し出す、鏡のようなものである。「雄太郎」と聞いて、可愛い女の子を連想するひとはいない。「美聡」という名前からは、美しく聡明な女性になって欲しいという、親の願いがにじみ出ている。

また、年齢を重ねて、名前が、本人を形作っていくことも多い。「美空ひばり」は、努力を積み上げて、美空ひばりになっていった。「高木ブー」は、時間をかけて、コメディアンとしての高木ブーを、作りあげてきた。

「山田ミラクルクリーナー」という名前のひとは、一生「ミラクルクリーナー」を、背負い続けなければならない。その名前の持つ、あらゆるものを、引き受けなければならない。もし、会社自体が、不祥事を起こして、世間から冷たい目で見られたら、その人は、自身の人生でも、マイナスイメージと闘わなければならない。

埼玉県所沢に、西武ライオンズが本拠とする、ドーム型球場がある。名前は、「グッドウィルドーム」。さらに、二軍のチーム名も、「グッドウィル」。西武球団が、命名権を、5年25億円で売った結果である。

「グッドウィルドーム」では、どこにあるのかさえ分からない。「グッドウィル」からは、チームとしての、意気込みや、チームカラーなど、何一つ、伝わってこない。

今日の朝日新聞朝刊30面によると、西武は、グッドウィル・グループとの、この命名権契約を、解除するとのこと。グッドウィルの違法行為の摘発、処分を受けての動きである。

歓迎できる決定だが、これまでに被ったマイナスは、小さくない。もちろん、被害者は、西武ではない。

選手にとって、チーム名や球場名は、その元に結集する、旗のようなものである。団結力を誇示する旗が、知らない会社の名前で、果たして、闘志がわき上がるだろうか。また、ファンにとっては、チームは、我が子のようなものである。自分の子供に、無理矢理、「グッドウィル」という名前を付けられたら、親はどう感じるだろう。

さらに、所沢市民から見ると、公共性の高い、球場という施設に、縁もゆかりもない、会社の名前が付けられる。球場名に、「所沢」も、「埼玉」も入っていない。道路の看板の書き直しなど、税金を使う部分があることを考え合わせると、決して、愉快な話ではない。

こういった、選手、ファン、市民の不満は、グッドウィル・グループ以上に、西武へ向かうだろう。西武グループは、今回の件で、自分たちも、少なからず、世間の信頼を失ったことを、肝に銘じるべきだ。

名前は、単なるラベルではない。心の一部分と言ってもいいほど、大切なものである。そのことを忘れて、安易に命名権を売ると、大きな落とし穴が待っている。

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質問打ち切り議員は、辞職せよ

2007-12-21 16:50:42 | 政治
今日の朝日新聞朝刊4面の記事によると、補給支援特措法を審議する参院外交防衛委員会で、自民党の山本一太氏は、質問時間が72分間与えられていたのに、15分で質問を終えてしまった。

「だいたい聞きたいことは終わりました」

と言ったそうだ。

他の自民党議員も、時間消化率が30%未満、公明党も、半分程度。衆議院で再可決するので、もう参議院での審議は無意味というわけだ。

呆れて、言葉が出てこない。議員の仕事は、国会で質問して、法案を審議することである。そのために、税金から給料をもらい、公設秘書をつけてもらい、さまざまな特権を与えられている。

仕事をしたくなければ、即刻、議員を辞めるべきだ。そんな人間に、貴重な税金を使わせる必要はない。

この法案は、自衛隊員の命を危険にさらして、かつ、財政難の中、多額の税金を使ってでも、給油活動を再開しようとするものである。与党は、国会で、十分に審議を尽くし、国民に対して、そのメリットを説明する義務がある。

アフガニスタンの情勢、テロリストの活動状況、給油活動の安全性、参加他国の考え方、油の品質、値段、入手経路、などなど、国民の代表として、政府に聞くべきこと、審議するべきことは、山ほどある。たった15分で、何が、出来る?

さらに、少数会派ゆえ質問したくても、十分に時間を貰えない議員がいる。与党議員が、職務をサボタージュするのであれば、委員長は、その質問時間を、少数野党の議員や、無所属の議員に、全部与えるべきである。

国会の委員会で質問して、政府から、直接話を聞きたい国民は、数え切れないほどいる。それが出来ないから、選挙で議員を選んで、代わりに質問してもらっている。質問時間を打ち切った議員は、自分に投票してくれた有権者や、国民を、なんだと思っているのだろう。

自民党は、衆参で多数なら、強行採決、ねじれ国会なら、参院ボイコットで、衆院再可決。こんな政党を、選挙に勝たせて、与党にすべきではない。さらに、この外交防衛委員会の与党議員たちは、そもそも議員になる資格がない。

国民から選ばれたのに、議員としての仕事をしない人たちが、与党だと言って、ふんぞりかえって、多額の税金を、給料だ、秘書代だ、交通費だといって、受け取っている。

この連中を辞めさせることは、国会機能の強化につながる上に、効果的な財政改革にもなる。良いことずくめである。

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町村氏は、未確認飛行官房長官か

2007-12-20 13:16:02 | 政治
民主党の山根参議院議員の質問に対して、政府は、「UFOの存在を確認していない」との答弁書を、閣議決定した。しかし、町村官房長官は、記者会見で、「UFOは絶対いる」と発言。

政府見解を否定する官房長官というのは、UFOそのものより、ずっと珍しいかも知れない(笑)。

官僚の作った、ありきたりな答弁書に不満があるなら、

「UFOは存在する。なぜなら、ナスカの地上絵は、宇宙人が描いたものだから。これが、日本政府の公式見解です」

と発言しちゃえ。閣議で、町村氏が強く言えば、福田総理なら、

「まっ、それで、いいんじゃないの」

って、軽く同意してくれそうだ。まさに、官僚の抵抗を排した、官邸主導の政治決断(笑)。

町村氏の話に出てくる、ナスカの地上絵を宇宙人につなげる発想は、ドイツの大衆作家フォン・デニケンが、1960年代に言い出した、「古代宇宙飛行士説」に由来するものである。デニケンの本は、ベストセラーになり、日本でも、「緊急木曜スペシャル」などで、何回も紹介された。

しかし、現在では、「UFO研究家」でも、ナスカの地上絵を、宇宙人飛来の証拠とするひとは、ほとんどいないと思う。地上絵の実態が広く知られるにつれて、UFOの発着場という考え方は、さすがに無理になってきた。

ミステリーサークル、牛など家畜のお腹が切り取られるキャトルミューティレーション、宇宙人に誘拐されたと主張するアブダクションケース。今の時代、宇宙人の証拠を挙げるならば、このくらいには言及しないと、いつも大槻教授に怒られてる、あのUFO雑誌の編集長にも、意見されると思う(笑)。

実際、「しょこたん」こと中川翔子も、そんな答弁では納得出来ないって、ブログに書いてる、そんな、気がするぞ(笑)。

何十年も前に、「緊急木曜スペシャル」を見たきりで、その後、UFO関連の情報には、さほど触れてないのに、記者会見で、UFOに関して、持論を展開する。しかも、政府見解と、逆のことを言う。

確認もせずに、ぶっ飛んでいく。まさに、未確認飛行長官だな(笑)。

町村氏は、福島県飯野町の「UFOふれあい館」に、ぜひ行って欲しい。米国政府の機密文書など、大変貴重な資料を見ることが出来るそうだ(笑)。きっと、よい勉強になると思う。



「しょこたん」のブログは、

http://yaplog.jp/strawberry2/daily/200712/19/

「UFOふれあい館」の公式サイトは、

http://www.mixpink.com/ufo/ufo_index.html

フォン・デニケンなどUFOの話は、当ブログで、以前にも書いています。よかったら、ご覧下さい。

2007年11月18日付ブログ「UFOふれあい館」


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海上給油法案の政治的憂鬱

2007-12-12 14:06:53 | 政治
政府与党は、国会会期の、一ヶ月再延長を決めた。福田首相は、どうしても、補給支援特措法案を、成立させたいらしい。

しかし、この法案をめぐる政治状況は、非常に厳しい。まず、参議院で多数を占める民主党が、反対の姿勢を鮮明にしつつある。さらに、世論調査を見ても、法案への賛否が拮抗している上に、国民の関心自体が薄い感を否めない。

頼みの綱は、衆議院での、三分の二以上による、再議決である。しかし、現在の与党の議席は、「郵政民営化」のみを争点とする選挙で得たものだ。自衛隊の海上給油活動への賛成を反映するものではない。

実際に、補給法案を争点に、今、解散総選挙を行って、再び、三分の二以上の議席を獲得できるだろうか?ほぼ不可能と言っても、言い過ぎではないだろう。

直近の国政選挙で多数を占めた政党の反対を押し切って、「郵政選挙」で得た議席で、再可決をはかる。国民の強い支持もない。民主国家として疑問の残るやり方だ。

従って、手続的には、今国会での補給法の成立は可能だが、政治的には、成立を急がずに、議論を続けていくのが適切な進め方だろう。というより、それしかあるまい。

今まで、政府与党は、衆参両院での優位を背景に、イラクへの派遣問題、海上給油問題など、自衛隊に関わる案件を、じつに粗雑に扱ってきた。小泉首相の空疎な発言。誤った給油量の報告に基づいて、イラク戦争への協力を否定した官房長官や防衛庁長官。

そこには国民に向かって、なぜ自衛隊の派遣が必要なのか、なぜ自衛隊員の命をかけて、多額の税金を使っても、イラク・アフガン問題にかかわる必要があるのか、正面から説明し、議論しようとする姿勢がなかった。

あたかも、出来るだけ早く法案を通して、この問題から、国民の関心を逸らせようとする雰囲気すら、感じさせた。そして、それは、十分に成功している。なぜなら、いま、国民は、さほどこの問題に関心を持っていない。多くのひとが、反対もしないが、賛成もしない。

政府与党が、国民に対して、何の議論も喚起しなければ、国民の関心が、アラビア海での給油活動ではなく、年金、ワーキングプア、福祉などに向かうのは、当然のことである。しかし、それは、不幸なことだ。

防衛問題は、国の中心的トピックスである。国民がそれに無関心であるというのは、日本という国自体に、無関心であることと、同じである。政府は、国際情勢などに関して、正しい情報を絶えず提供し、国民の間に、幅広い議論を呼び起こさなければならない。

政府与党、とりわけ自民党は、それを行ってきただろうか?

今回も、また、早急に法案を成立させて、議論を避けようとしているように見える。ただ、少し違うのは、

「年金問題放ったらかしで、いまそんなことやってる場合か?」

という、国民の冷ややかな目に、政府与党はさらされている。皮肉なことに、そういった、給油問題への無関心を作ったのは、自分たち自身である。

福田首相にとって、再延長の一ヶ月は、政治的憂鬱の一ヶ月になるだろう。


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道徳教育用の徴兵制(笑)

2007-11-30 22:07:40 | 政治
東国原知事の口から、「社会のモラルハザード」なんていう言葉が、出てくるとは思わなかった。あんたこそ、モラルがハザードし過ぎて、奥さんに愛想尽かされたんじゃないのか、って、突っ込みたくなる(笑)。

彼の考えによると、徴兵制によって、若者に、訓練や、規律正しい生活をさせ、モラルハザードを防ごうということらしい。もし、その方法で、道徳や倫理が身につくのであれば、軍隊や、警察は、一番、腐敗のない組織になるはずである。しかし、現実は逆である。洋の東西を問わず、これらの組織が、一番、腐敗しやすい。

原因の一つとして、上の言うことに、無条件に従う訓練を受けると、組織浄化が困難になる、という点が挙げられる。一度、上層部が腐り始めると、誰も、それを止められない。

いまの自衛隊が、まさにそうである。制服も背広も、幹部クラスが、強烈なモラルハザードに陥っている。こういった、腐った組織というのは、若者の倫理観育成用としては、あまりお薦め出来ない。

我々は、いま、守屋だ、宮崎だ、おねだり妻だと、「立派な大人たち」のモラルハザードを、嫌と言うほど見せつけられている。若者云々言う前に、大人の倫理観の欠如こそ、まず、問題にすべきである。

大人が、ちゃんとした社会を作れば、若者も、自ずと、まともに成長する。徴兵制の議論は、軍事力増強を目的とするなら、話の筋は通っているが、道徳教育のための徴兵制など、笑い種でしかない。そんな無意味な議論をする暇があるなら、東国原氏は、どうすれば、自分も含めた大人たちが、組織の中で、倫理観を持ち続けられるのか、その方法を考えて欲しい。

守屋氏も、入省した当初から、業者と癒着して良いと、思っていたわけではないだろう。なぜ、日本の社会は、出世と共に、倫理観を失っていくのか。あるいは、なぜ、倫理観を失う人間ほど、出世するのか。そこを明らかにする必要がある。若者のときの高邁な理想と強い倫理観を、なぜ失ってしまうのか。そこが、一番の論点であると思う。

東国原知事の「徴兵制発言」については、以下のサイトで、ニュースが読めます。

http://www.asahi.com/politics/update/1128/SEB200711280014.html



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