goo blog サービス終了のお知らせ 

ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

「5年で原発半減」を目標にグリーン技術革命を起こせ

2011-04-05 06:01:54 | 政治
日本では、電力の原子力依存度は30%である。従って、家庭、工場、ビル、公共交通機関など、すべての電力使用者が15%の節電に成功すれば、原子力発電所を現在の半分に減らすことが出来る。

3月11日以前であれば、こういった計算は理論上のお遊びに過ぎなかったが、東日本大震災によって福島第一第二原発が完全停止した今、真剣に考えるべき現実となっている。

使用電力を急に減らせないため、首都圏では計画停電が行われ、電車の本数が減り、工場が稼動停止に追い込まれ、夜の街から明かりが消えてしまった。

また、次の夏までに何の手も打たなければ、うだる暑さの中、家庭、職場、電車内でクーラーすら止めなければならない事態が確実にやって来る。しかし、多くの人が外出を控え、物も買わず、遊びもせず、イベントも中止で、家でじっと暑さに耐えているだけでは、社会が麻痺状態に陥り、やがて破滅的な不況が襲ってくる。

この危機を避けるために、15%の節電は、もはや控えめと言っても良いほどの最低ラインになっている。

しかし、15%の節電を強いられるというのは、決して悪い面ばかりではない。いやむしろ、このピンチを上手く乗り切って「低エネルギー高品質社会」を実現すれば、不景気に喘ぐ日本を救う絶好のチャンスになる可能性がある。

勿論、「暗い」「寒い」「暑い」のを我慢したり、「楽しい」ことを自粛すれば、節電は可能である。しかし、それでは失業者が増えるだけで、何も生まれない。生活の質を向上させつつ、節電を成し遂げる。多くの人がそれを目指すことで、ピンチをチャンスに変える可能性が見えてくる。

といっても、難しいことをやる必要はない。要は「お金を使って節電しよう」ということだ。

まず第一に、すべての電力使用者が現在使っている電化製品を調査して、消費電力のより小さいものへの買い替えを進めることである。

例えば、古い型のクーラーを最新型に変えるだけで、相当な節電効果が現れる。また、白熱電球を蛍光灯へ、蛍光灯をLED照明に替えるなど、可能な限り1ワットでも少ないものを求めればかなりの節電になる。

さらに、新しいパソコンやテレビを購入する際に、多くの人が消費電力を考慮する習慣を身につけるだけでも意味がある。

第二に、ソーラーシステムなどを導入して、自家発電の量を増やしていくことである。大きなマンションやアパートでは、真夏の太陽光を使えばかなりの発電量になる筈だが、現在のところソーラーパネルを装備しているところは、あまり多くはない。

また、地域によっては、小規模な水力発電や地熱発電を地区単位で行うことも可能なはずだが、これもあまり見かけない。

こういった自家発電については、電力会社保護のために様々な規制が掛けられていて、それが普及のネックになっている面がある。しかし、逆に言えば、規制をなくして上手く促進すれば、東京電力が危なくなるほど、強力な電力供給源に成り得るということである。

一方、都心にあるような大きなビルや公共施設については、一定量の節電、あるいは使用電力の一定パーセントをグリーンエネルギーで自力調達するよう目標設定を促すべきだ。

何々ヒルズといった巨大ビルの電力事情は、これまであまり問題になることはなかったが、利用者が省エネルギーに積極的な施設を評価して、そこを優先的に利用する姿勢を見せれば、施設の側も変わっていくだろう。

「お金を使った節電」とは、エコ商品やグリーンエネルギーにどんどんお金を使って、生活の質を落とさずに、節電を達成する方法をみんなで模索することである。計画停電が続く首都圏で、具体的な節電対策の積み重ねの中から、個人や企業がより良いものを積極的に取捨選択することが重要だ。

そして、節電はプラスの経済効果を持っていること、「低エネルギー高品質社会」は実現可能だということを、首都圏が示せれば、やがて日本全国が同じ方向を目指すようになるだろう。

個人の消費や企業の設備投資が、省エネルギー対策やグリーンエネルギーの利用という方向に流れ始めれば、政府が行う公共事業以上の効果をもたらす。多くの企業が参入し、より優れた技術を開発したり、より効率の良いシステムを提案していくだろう。

その中でヒット商品が生まれれば、それは景気浮揚につながるし、今後、強力な日本の輸出商品となる可能性もある。少なくとも、「安全な原発」を輸出するより、はるかに世界の人々に受け入れられるはずである。

巨額の借金を抱える政府は、もう日本国民には何もしてくれない。消費者や企業が、自らのお金を出して、日本という国を引っ張っていくしかない。

そして選択できる道は二つだけである。

今後も東京電力の「無計画」停電に振り回されて、その挙句に、泣く泣く「安全な原発」に頼り続けていくのか、それとも、お金を使って積極的な節電対策を行い、その過程で画期的な技術革新を成し遂げ、グリーン技術で世界を牽引する国になるのか。

決めるのは日本人自身である。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「震災は天罰」石原氏に都知事の資格なし

2011-04-02 08:49:23 | 政治
石原都知事の政見放送を聞いたが、笑止千万である。

新銀行東京の負債には全く触れず、オリンピック招致の失敗にも言及せず、築地移転問題すらスルーだ。

78歳の人物が史上初の都知事四選を目指すのなら強力な理由が必要である。少なくとも、新銀行東京の負債、オリンピック招致、築地移転問題の三つの解決は必須のテーマである。

だが、彼は何も語らない。

加えて、「震災は天罰」である。最低でも、その発言に対して真意を表明する必要がある。

だが、一度釈明会見を開いただけで、その後は、全く触れられていない。石原氏は都合の悪い事実を隠そうとしているようにしか見えない。

困難な次の四年間。彼からは、反省もビジョンも感じられない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「買いだめおばさん」「買占めおじさん」という仮想敵

2011-03-24 04:18:03 | 政治
以前、ココアとその関連商品が売り切れて、スーパーの棚が空になったことがあった。テレビの人気番組で「ココアは体に良い」と放送されたのが原因だった。

普段より多くの人がココアを求めて店に行けば、一人一人が普通の量を買っても、ココアは簡単に品切れになってしまう。少数の消費者がココアを大量に買い占めたわけではない。小売店は需要と供給のバランスを常時取りながら仕入れを行っているので、急な需要増に対して、すぐには応じられないというだけの話である。

このときは、「誰かがココアを買い占めてる」という批判は聞かれなかった。ところが、今回の地震を発端とする品不足では、「米を買いだめしている奴がいる」「ガソリンの買占めをやめるように」「乾電池を大量に買う連中がいる」など「買占め」批判が連日のようにメディアやネットを駆け巡った。

しかし、品不足の原因は、本当に「買いだめおばさん」や「買占めおじさん」だろうか?

冷静に考えれば、卸売り業者ならともかく、少数の一般消費者が米やトイレットペーパーを大量に買い占めて、何日にも渡って首都圏のスーパーから商品がなくなるなど起こる筈がない。品薄の商品に関しては、「お一人様一点まで」といった購入制限がすぐに掛かる。自分だけには米を二袋売ってくれと店員に迫る人が後を絶たないというニュースは見たことがない。

そして、米を一袋、牛乳を一本、トイレットペーパーを12ロール一袋と、決められた分量だけ買い物籠に入れてレジに並んでいる人物を指して「買いだめ」「買占め」に走っているとは言わない。

むしろ、そういう客を見かけたのなら、見かけた人はラッキーである。今なら、米、牛乳、トイレットペーパーが棚に残っている可能性が高い。従って、「買いだめおばさん」を見かけたと掲示板に書き込んでる投稿者は、大抵の場合、自分もその際に米やトイレットペーパーをゲットしているだろう。実に、目出度い話ではないか(笑)。

地震発生以来、首都圏の多くの消費者が目撃したものは、空っぽになったスーパーの棚である。米を何袋も抱えたおばさんや、牛乳を何本も籠に入れるおじさんどころか、そもそも米や牛乳自体に滅多にお目に掛かれなかったのではないだろうか。

さらに、ガソリンに関しては、どんなに頑張っても満タンにするのが精一杯で、そもそも「買占め」「買いだめ」する手段がない。スタンドにドラム缶を持ち込んで、ガソリンを入れて欲しいとしつこく頼んでいるドライバーでもいたのだろうか。

今回の品不足は、製油所や油槽所の稼動が一週間近く停止したことによって、ガソリンや軽油の供給が不足したことから起こっている。日本全体としては十分な量の品物が存在するのだが、燃料が不足しているために、それらをスーパーや商店街まで運ぶためのトラックが動かせない。

一方、計画停電や燃料不足から休業や短縮営業を行う飲食店が増えたため、家で食事を作って食べる機会が急増し、その結果、米や麺類を求める消費者が増えた。ガソリン不足による供給減にエネルギー不足による需要増が重なることになり、品不足が加速していった。

首都圏における今回の品不足は、原発事故や製油所の緊急停止が現実のものとなった以上、数日間はどうしても起こってしまう不可避の需給アンバランスで、むしろこの程度の規模で済んでいるのは、多くの消費者が極めて冷静に節度を持って行動した結果だと言ってよいと思う。

しかし、必要なものが手に入らない、いつ買えるかも分からないという不安は、人々の心に強いストレス生み出してしまう。そのストレスから逃れるために、はっきりと攻撃できる対象が欲しくなる。

「あいつが悪い」とみんなで言える対象。自分のやり場のない怒りをぶつけられる相手。「買いだめおばさん」や「買占めおじさん」は、消費者の不安心理が生み出した仮想敵ではないだろうか。

問題なのは、消費者に食品やガソリンを供給する側の一部と、そして政府が、この仮想敵に便乗したことである。安定した商品の供給が出来なくなった流通側の一部の人間が、消費者の怒りに圧迫を受けて、品不足の言い訳として、巷で噂になっているルールを守らない不届き千万な消費者像、すなわち「買いだめおばさん」「買占めおじさん」の実在を暗に示して、そこに責任を転嫁しようとした。

その消費者像の原型は、開店前から行列に並んで、ガソリンや米をちゃっかり買っていく客ではなく、品切れのガソリンスタンドで店員に食って掛かるドライバーかもしれないし、米を買えなかった怒りからスーパーのレジ係に嫌味を言うおばさんだったかもしれない。

流通側から見れば、お目当ての商品を買うことが出来た客よりも、買えなくてなぜ商品がないと文句を言う客のほうが、精神的プレッシャーを受ける鬱陶しい存在で、「モンスター・カスタマー」と言いたい誘惑に駆られるだろう。

「買占めないで下さい」「買いだめしないで下さい」。流通側や政府がそう言えば言うほど、多くの国民は「買いだめおばさん」「買占めおじさん」の実在を確信するようになり、不満の矛先は、流通側や政府に向かうことなく、その仮想敵に集中することになった。

残念なのは、政権中枢にいる枝野氏や蓮舫氏が、首都圏のスーパーやガソリンスタンドで実際に起こっていることをよく見ないで、「買占め」「買いだめ」批判を繰り返したことである。

もし彼らが、スーパーやガソリンスタンドの状況をもっと真剣に見ていれば、「買いだめおばさん」や「買占めおじさん」ではなく、忍耐強く何時間も行列に並び、決められた量の商品を文句も言わず整然と買っていく消費者がほとんどであることを、すぐに理解しただろう。

記者会見で「買占める消費者」に憤慨して、「買占め・買いだめ」の定義すら明らかにしないまま「法的措置もあり得る」と発言する枝野氏。スーパーの視察で、空っぽの棚の横で何とか買える物を探している女性に向かって、「買いだめはやめて下さい。品物は十分ありますから」と話しかける蓮舫氏。

こういう政治家の方が、「買いだめおばさん」「買占めおじさんより」ずっと迷惑なのは間違いない。何と言っても、確実に実在するのだから(笑)。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

貧弱な日本の外交力

2009-04-18 02:57:06 | 政治
4月11日、タイで行われた日中首脳会談。外交筋によると、一時間近くに渡って、麻生首相が、温家宝首相を説得。その情熱に押されて、中国が譲歩し、国連安保理の議長声明に、「違反」の文言が盛り込まれた。

これは一部マスコミの報道であるが、外務省の「希望的観測」に基づいた「自画自賛」でしかない。

もともと麻生首相は、「議長声明」ではなく、「安保理決議」に同意するよう、中国首相を説得するため、勢い込んでパタヤに乗り込んでいった筈である。

しかし、一国の首相が、一時間掛けてお願いしても、「安保理決議」は実現しなかった。

それどころか、手にしたものと言えば、すでに既定路線だった「議長声明」に、「contravection」という、欧米の記者でも聞き慣れない単語を、盛り込むことだけである。

「違反」を表す常套文句「violation」すら、獲得出来なかった。

もし、オバマ大統領が、同じことをして、同じ成果しか手に出来なかった場合、彼は、国民から能力を疑われて、政治的ピンチに立たされただろう。

麻生首相が自ら動くなら、それに見合うだけの成果がなければならない。成果を見込めないのなら、首相が出ていくべきではない。

「contavection」だけなら、国連大使を通じた交渉で十分である。

今回の「議長声明」は、日本が、「安保理決議」にこだわって、強い態度を見せたからこそ、実現したのだという声がある。最初から、「議長声明」でも良いと言っていたら、結局、「報道声明」で終わっていただろう、という意見だ。

確かに、外交テクニックとして、最初に大きく吹っ掛けて、相手の妥協を引き出す手法は、存在するだろう。

しかし、そのためには、吹っ掛けた裏で、中国やロシアと緊密に交渉して、お互いどこまで妥協出来るか、探らなければならない。

アメリカ国連大使のスーザン・ライスは、まさに、これを実行した。そして、中国から「議長声明」という譲歩を引き出した。

で、日本は、何をしていたのだろう?

もし、日本が、中国との交渉の結果、「議長声明」の合意にこぎ着けていたのなら、日本の外交力は、高く評価されるべきだ。

しかし、日本は、ライス大使が妥協点を探っている間、首相も国連大使も、ひたすら「安保理決議」「安保理決議」と唱えていただけだ。

そして、米中が「議長声明」でまとまると、今度は、「首脳外交」で一点突破とばかりに、無理を承知で、麻生首相が、中国首相に一時間に及ぶ直談判を決行。もちろん、「安保理決議」は、ゲット出来なかった。

これは「外交」と呼べるような代物ではない。

日本ではあまり報道されていないが、オバマ大統領は、ライス国連大使に、閣僚級の地位を与えている。つまり、彼女は、外務大臣と同格である。

この政治的措置によって、ライス大使は、交渉の場において、自分の判断で、相手側に、大胆な妥協案を提示することが可能だった。

おそらく、この権限は、米中合意の大きな原動力だったはずだ。

オバマ大統領は、北朝鮮のロケット発射に強く抗議しながら、同時に、ライス大使に必要な権限を与えて、国連安保理で、アメリカが中心となって動けるように、布石を打っていた。

これこそが、政権トップの仕事である。

一方、麻生首相と日本政府は、「ミサイル実験」だ、落ちたら危険だと、国民の危機感を不必要に煽って、強硬な世論を形成し、その結果、自分たちの外交の自由度を狭めて、手足を縛ってしまった。

何としても「安保理決議」を、という雰囲気が国民の間に漂い、政府は、中国やロシアとの交渉でも、なんらの妥協案も提示出来ず、アメリカに主導権を取られ、さらには、「起死回生のホームラン」を夢見て、日中首脳会談に臨み、政権トップの無力を世界に晒してしまった。

拉致問題でもそうだが、国際問題を解決するためには、国民にも冷静になって貰う必要がある。政府自ら、国民の怒りや危機感を煽って、「無条件降伏」を相手に求める世論を作ってしまっては、話にならない。

そうなると、双方が受け入れ可能な妥協点を見出しても、国民からすれば、それは失敗にしか映らない。

日本は、経済力の相対的低下によって、世界での存在感が、どんどん小さくなっているが、貧弱な政治が、その流れを加速させている。

しかし、それは、日本国民が、自分で選んだ政治である。

国民の怒りや不安を煽ったり、勇ましい挑発的な言動を繰り返す政治家を、好きこのんで当選させてきたことの、当然の帰結である。

本質的な責任は、我々国民にあるということだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮の「しぶとさ」

2009-04-17 07:08:24 | 政治
4月13日付の「TIME」誌によると、金正日総書記の健康状態は、思った以上に良くないが、万一、彼が明日死んでも、北朝鮮の体制にさほどの変化はない、というのが多くの専門家の見方だそうだ。

残念なお知らせである(笑)。

金正日後、後継者としては、三男の金正雲(26)が有力視されているが、後継が誰であれ、先日、国防委員に選出された、義弟の張成沢(63)が、事実上の最高指導者(the de facto leader)になる可能性が高いという。

張成沢という人物は、金正日の妹の夫で、秘密警察のトップを務めるなど、経歴からみて、ガチガチの強硬派らしい。

また、カリスマ性があり、北朝鮮のエリート層に人気が高く、あまりの人気者ぶりに、金正日が嫉妬して、一時期、干されていたほどだそうだ。

一方、金正雲は、激情タイプの人間で、息子の中でも、その性格が、一番、金正日に似ていると言われている。

従って、金正日後も、北朝鮮の姿勢が変化する可能性は低く、また、政権が崩壊して政治体制が大きく変わることも、期待薄らしい。

北朝鮮の「Durability」すなわち「しぶとさ」を、過小評価してはいけない、というのが専門家からのアドバスである。

返す返すも、残念なお知らせだ(笑)。

しかし、金正日流を頑固に変えないと、むしろそれが原因となって、やがて北朝鮮が崩壊する可能性は十分にあると思う。

軍の高官や党の幹部が、金正日に忠誠を示してきたのは、何と言っても、建国の父である金日成の息子という点が大きいはずである。

さすがに孫の代まできては、余程の「うまみ」がなければ、忠誠を維持するのは難しいだろう。

忠誠心を留めておくためには、今以上にお金が必要だが、金正日政権下で国際的孤立が進み、国際社会の警戒感を高めてしまったために、外国からの援助物資の横流し、あるいは、麻薬・偽札などの違法ビジネスで、上層部の懐を潤すことが、出来なくなりつつある。

打開策の一つは、レアメタルなどの資源を、もっと輸出することである。そのためには、鉱山開発に投資して、発電所の建設、道路の整備、鉄道や港湾の強化を図る必要がある。

また、農地の開発や農業の機械化を進めて、農業生産力を上げるのも、効果的である。なにより税収がアップするし、飢えの心配が無くなって生活が安定すれば、内需拡大につながる。

そして、こうやって得た金を、上層部にばらまけばいい。

もし、次の指導者が、そのことに気づいて、核やミサイルの開発に使っている予算を、一部でも、これらの民生部門に回す決断を下せば、金正日後も、政権の求心力は維持できるだろう。

しかし、見通しは、悲観的だ。

反革命分子やスパイの摘発に血眼になってきた強硬派と、金正日のそっくりさんである。

「先軍政治」を緩和したり、「瀬戸際外交」を放棄して、国内経済の復興に取り組む要素は、微塵も見当たらない。

つまり、金正日後、金正日流を堅持すればするほど、政権は不安定になり、北朝鮮は混乱するが、それでも政策は変えられない。

やめられない、とまらない。

こうなると、Durability 「しぶとさ」というより、Addiction「先軍・瀬戸際中毒」である。

その先に待っているのは、国家の崩壊しかない。

どこの国でもそうだが、同じことをずっと続けていくためには、どこかで、何か違うことを始めなければならない。

いまの中国が、その一例である。

そして、総選挙を控えた日本にも、それが求められている。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さすがに「騒ぎすぎ」だと思う(笑) ~ 北朝鮮の脅威

2009-04-15 12:06:46 | 政治
ロケット発射を非難する安保理議長声明に対して、北朝鮮は、「6者協議からの脱退」「核抑止力の強化」そして「宇宙利用の権利行使」を表明した。

全面的な対決姿勢である。

このニュースが伝わると、日本は、アメリカに頼らず、自国を守れるように、本格的に防衛力の強化に乗り出すべきだとの意見が、噴出し始めている。

そして、「ミサイル防衛」どころか、「北朝鮮の基地を攻撃可能なミサイルの保有」「先制攻撃」「憲法改正」、果ては、「核武装」「もう宣戦布告してしまえ」という声まで、聞こえてくる。

まるで、今日明日にでも、北朝鮮のミサイルが飛んできそうな勢いである。

しかし、朝鮮半島の情勢を見れば、これらは過剰反応と言わざるを得ない。

北朝鮮が軍事的関心を寄せているのは、一に韓国、二に韓国、三四がなくて、五に韓国である(笑)。

つまり、軍事行動を取るとすれば、朝鮮半島統一のため、戦争する相手はあくまで韓国であって、日本のことなど、そもそも眼中にない。

実際、韓国を射程圏内に収めるスカッドミサイルが、600基近く実戦配備されているとの推測もある。

いやいや、日本に向けても、ノドンミサイルが、200基も配備されているではないか。日本にだって、いつミサイルが飛んでくるか分からないぞ。

そう思うのは、確かにもっともである。

しかし、ノドンミサイルのほとんどは、北朝鮮が韓国と全面戦争に入ったとき、後方支援を断つために、日本国内の米軍基地や米軍艦の寄港地を攻撃する為のものと思われる。

そして、全面戦争の可能性は、今のところ、非常に低い。

北朝鮮の通常兵器は、米韓軍に比べると、数はあるものの、性能では圧倒的に劣っている。おまけに、経済的にもそれだけの戦争を遂行する力はない。

2002年に起きた、黄海での砲撃戦のように、小規模な戦闘はあるものの、38度線を越えて、ソウルに進軍してくる心配は、現在では、ほとんどない。

一方、韓国側が、北朝鮮に侵攻する可能性もない。韓国にとって、何の得にもならないからだ。

朝鮮半島有事の危険性が低い今、日本にミサイルが飛んでくる可能性は限りなくゼロに等しい。

いやいや、それでも、将軍様が暴発して、戦争を吹っ掛けることもあるんじゃないか、そう思うひともいるだろう。

大丈夫、その心配も少ない(笑)。

アメリカの巡航ミサイル・トマホークは、数千発がすぐにでも発射可能で、北朝鮮国内の軍事拠点を攻撃出来ると言われている。

もし、北朝鮮が軍事行動を起こせば、ほぼ同時に、何千発ものトマホークで攻撃され、ステルスなどの最新鋭戦闘機も、空爆を開始するだろう。

その攻撃拠点の中には、金正日総書記やその側近たちの滞在場所も、多数含まれているはずである。

彼らにとっては、今日明日どころか、一時間後に命を失う危険すらある。

そんな中、今の贅沢な暮らしを捨ててまで、全面戦争に踏み切ったり、ミサイル発射の指令を出したり、ましてや、核のボタンを押すだろうか?

韓国や日本に大きな損害を与えても、自分たちが死んでしまったのでは、元も子もない。おまけに、最後には、所詮、負けてしまう戦争である。

始めるだけ、無駄というものだ。

従って、アメリカや韓国、さらには日本が、北朝鮮を大規模に攻撃しない限り、向こうからミサイルを撃ってくることは、まず考えられない。


今回、北朝鮮の発射したロケットが、日本の上空を通過したのは、間違いなく、けしからんことだ。

もし、ロケットの一部あるいは全部が、日本領内に落下して、被害が発生したらどうしてくれるんだ!と怒るのは当然である。

しかし、だからといって、北朝鮮が、今日明日にでも、日本の都市に、ミサイルを撃ち込むのではないかと心配して、先制攻撃や核武装を言い出すのは、過剰反応というものである。

金正日政権にとって一番大事なのは、何と言っても、現体制の維持、すなわち、自分も含めた北朝鮮高官たちの命と生活である。

そういう連中が発する、空威張りの恫喝に、いちいち反応する必要はない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国連は役に立っている

2009-04-14 03:49:20 | 政治
北朝鮮のロケット発射は、国連安保理決議1718に違反(contravention)しているとする議長声明が、今日にも採択される見通しである。

日本政府は、麻生首相自らが発言したように、新たな安保理決議を目指していたが、中国とロシアの反対によって、議長声明という形に落ち着いた。

この決着に対して、「国連は役に立たない」という声が、石原慎太郎都知事など、一部の政治家から上がっている。

また、極端な意見ではあるが、自民党の坂本剛二組織本部長は、「国連脱退」すら口にしている。

国連は、本当に、日本の役には立っていないのだろうか?

もし、日本が、安保理という組織を使わず、単独の外交努力で、中国やロシアなどに働きかけたとして、今回のような圧力を、北朝鮮にかけることが出来ただろうか?

ニューヨークのビルの中に、すべての関係当事国の代表者が存在しているのとは、訳が違う。

日本がどんなに頑張っても、短期間で、何かの共同声明を出すのは、不可能に等しいはずである。

たとえ拘束力のない議長声明であっても、発射後一週間で、常任理事国を含む15の有力国が、一致して北朝鮮のミサイル開発に異議を唱え、今後、発射実験をしないよう迫るのは、金正日政権に対する、強力な外交圧力である。

国連や安保理という舞台があってこそ、初めて実現する成果である。

ブッシュ政権時代、フセイン政権の危険性を主張して、イラク戦争を始めたかったアメリカは、フランスやドイツの反対によって、安保理で、思うような決議が得られなかった。

その時、ブッシュ大統領は、「国連は役に立たない」と判断して、アメリカを中心とする有志連合で、イラク戦争に突入していった。

いわゆる、単独行動主義である。

しかし、その結果、イラクは泥沼の内戦状態に陥り、アフガン戦争も出口が見えず、イランは着々と核開発を進め、テロリストの疑いを掛けられた中東系男性への国際・国内法を無視した取り調べで、アメリカの威信は失墜してしまった。

結局、ブッシュ政権の終わりには、アメリカは、再び国連に戻ってきて、安保理を舞台にした外交に舵を切らざるを得なくなっていた。

唯一の超大国アメリカですら、国連を無視した、単独行動主義ではやっていけないのだ。

確かに、アメリカとソ連の冷戦時代、国連安保理は、両者の拒否権乱発で、全くの機能不全に陥っていた。

しかし、現在の国連は、その時代に比べて、今回の北朝鮮問題も含め、はるかに良く機能していると言うべきである。

そして、多くの国が、国連の力を評価しているからこそ、国連に加盟している。

それは北朝鮮自身にとっても、そうである。

だからこそ、彼らも、国連を脱退しないのだ。

国連の力を良く理解しているという点から見て、戦前の松岡洋右外相、石原都知事、自民の坂本本部長より、北朝鮮指導者の方が、国際情勢の分析力は上なのかもしれない。

日本人として、残念極まりない結論である(笑)。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミサイルと断定 ~ 麻生政権の外交的敗北

2009-04-11 00:09:41 | 政治
河村官房長官によると、政府は、北朝鮮が発射した「飛翔体」を、今後は「ミサイル」と呼ぶことにしたそうである。

その根拠として、予告発射時刻と実際の発射時刻の違い、人工衛星が確認出来ない、ロケットとミサイルの技術は同一、国会決議で「ミサイル」という言葉が使われた、などを挙げた。

意味不明である。

これでは、打ち上げに失敗したロケットは、日本の国会で決議すれば、すべてミサイルになってしまう(笑)。

本当のところは、迎撃命令まで出して、あれだけ派手に騒いだのだから、今さら、やっぱりロケットでしたとは、言い出せないということだろう。

詳細な検討は、防衛省による軌道解析を待つとしているが、飛んだコースとして、ミサイルか、人工衛星ロケットか、すでに結論は出ている筈だ。

軌道だけを見れば、このロケットは、人工衛星打ち上げ軌道に沿って、飛ばされた可能性が、極めて濃厚である。

弾道ミサイルならば、はるか上空、場合によっては1千km近くまで上昇して、再び地上に落ちてくるが、今回の高度は、それほど高くないようだ。

もちろん、実際に、人工衛星を積んでいたかどうかは不明である。

しかし、国際機関に人工衛星打ち上げの事前通告があって、なおかつ、その予告通り、ロケットが人工衛星打ち上げとおぼしき軌道を、飛んだのだとすれば、それを「ミサイル」実験と呼ぶのは、国際常識から外れている。

一番の問題は、麻生政権が、今回の打ち上げは、北朝鮮国内の引き締めが最大の目的であるという、金正日政権の意図を、見抜けなかったことである。

わざわざ事前通告して、世界が監視する中で打ち上げるのだから、弾道ミサイルの軌道を取って、さらなる制裁決議を招くようなことをする筈がない。

金正日総書記は、長年の国際的孤立による政権基盤の弱体化に加えて、健康上も重大な問題を抱えている。これ以上の国際的プレッシャーは、何としてでも避けたいのが本音だろう。

しかも、人工衛星ロケットとミサイルの技術は、表裏一体である。人工衛星として打ち上げるだけで、十分に、軍事目的は達成出来る。

実際、イスラエルやイランが「人工衛星」を打ち上げて、周回軌道に載せているが、それが軍事的成果であることは、全世界が承知している。

麻生政権は、北朝鮮の政治的現状を分析せず、ロケット発射を、日本への軍事的脅迫という文脈だけで捉えてしまった。

加えて、北が強行発射すれば、国際世論は、雪崩を打って日本に味方して、国連安保理で新決議を出せるだろうという、根拠のない、甘い見通しを持っていただけで、緻密な外交戦略を描いてなかった。

中国やロシアが一番怖れるのは、金正日政権の崩壊であり、それに続く、北朝鮮の混乱である。倒れてようやく復帰してきた金正日に、お灸をすえるようなことは、余程のことがない限り、避けたいと思うのが普通である。

今回の「ミサイル」騒動、麻生政権は、国際政治への認識不足を露呈して、外交的敗北を喫したと言わざるを得ない。

軌道分析に言及しないで、「飛翔体 = ミサイル」と断定するのは、国連での新決議実現がほぼ不可能になっている中、焦った日本政府による、恥の上塗りである。

麻生首相は、自衛隊を動かす前に、外務省を、もっと動かすべきだった。

事前の根回しをして、ロケット発射後、すぐに安保理を開催、北朝鮮に考える暇を与えず、即座に議長声明を発表。

それが出来ていれば、十分な外交的成果であり、次の発射への抑止力になっただろう。

イエローカードは、毅然とした態度で、即座に出してこそ、効果がある。

激怒して、出そうとしたレッドカードを周りの審判に止められて、すったもんだの末に、しぶしぶイエローカードを出しても、効き目は薄い。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮は崩壊しかけているのか

2009-04-10 05:51:52 | 政治
金正日政権は、崩壊しかけているのではないか。

最近のニュースを見ていると、そういう感を持たざるを得ない。

というのも、国内へのアピール以外には、何の意味もない大型軍事実験が多すぎる。

先日の「人工衛星ごっこ」にしても、肝心の弾頭が途中でなくなってしまったのでは、ミサイル技術の商業広告としても、大失敗である。

本当に人工衛星を軌道に載せて、将軍様の歌が全世界に流れれば、高度なミサイル技術をアピール出来たはずだ。

事実、イランは、今年の2月に、それに成功している。

だから、洒落にならない。アメリカが慌てるのも無理からぬ話である。

北朝鮮は、7月に予定されている韓国の人工衛星打ち上げに、先んじたかったのだろうが、世界に技術の未熟さをさらすくらいなら、やらない方がマシである。

韓国政府によると、打ち上げ費用は300億円ほどらしいが、それだけのお金を投入しても、各国の警戒感を強めただけで、政治的にも軍事的にも、北朝鮮にとって、何かプラスになる材料は、ほとんど見当たらない。

さらに、2006年の地下核実験も、多額の費用をかけて、何か核爆発のようなことが起こったらしい、という程度である。

高度な核技術を見せつけたわけでもないし、一度しか実験しないのであれば、そもそも核兵器を持つ意欲があるのかどうか、それさえ疑わしい。

しかし、逆に見れば、何百億円という金をかけて、馬鹿馬鹿しい軍事デモンストレーションを行わないと、国内の結束が図れないほどに、金正日政権の基盤が弱体化しているとも言える。

金正日総書記の健康状態が、ここまで悪化しているにもかかわらず、未だに後継者を指名出来ないことは、権力弱体化の一つの証拠である。

金正日氏にすれば、自分の寿命を考えると、出来るだけ早く後継者を指名して、権力の継承を行いたいところである。

実際、過去には何度か、そういう動きが表面化したこともあった。

しかし、金正日総書記がいくら後継者指名を望んでも、軍幹部が一致して賛成出来る候補者がいなければ、どうにもならない。

また、有力な軍幹部が、権力の世襲を嫌い、次は自分たちの中から最高権力者を出そうと密かに考えている可能性もある。

もし、彼の権力が盤石であれば、反対する連中を押さえつけて、着々とその人物の基盤固めを進めているはずだが、今回の最高人民会議を見ても、その兆候すらうかがえない。

喩えれば、源頼朝の息子で、鎌倉幕府第二代将軍の源頼家と、彼を取り巻く、北条氏を筆頭とする、関東武士団の関係である。

たとえが突飛すぎた。申し訳ない(笑)。

ただでさえ財政が厳しいのに、何百億円もかけて、無意味な軍事実験を繰り返す。

このお金は、金正日総書記にとって、軍部から、自分自身を守るための、安全保障費なのかもしれない。

自らの権力を固めるために、政権の軸足を、党ではなく、軍においた金正日総書記。その先軍政治の果てに、今度は、軍部から権力を脅かされ始めているのではないだろうか。

中国は、金正日政権が置かれている厳しい状況を、ある程度把握している可能性がある。

政権が崩壊して、無政府状態になれば、北朝鮮との国境に、大量の難民が押し寄せ、中国が大きな損害を被るのは間違いない。

国連安保理での新たな制裁決議に、中国が頑なに反対するのは、そのためかもしれない。

日本が備えるべきは、北朝鮮からの軍事攻撃というよりは、その崩壊による混乱の方ではないか。

最高人民会議。

代議員の前で拍手をする、げっそりと痩せた金正日氏。

その心中は、我々が思う以上に、苦しいのかもしれない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミサイル防衛は、平和への道なのか

2009-04-07 02:39:54 | 政治
オバマ大統領は、5日、プラハで行った演説の中で、「核軍縮」に取り組む姿勢を明確にした。

一方、「ミサイル防衛(MD)」に関しては、イラン(そして、恐らくは北朝鮮)によるミサイルや核の脅威がある限り、進めていくとした。

オバマ氏は、選挙期間中から、ミサイル防衛構想に慎重な姿勢を見せていたが、プラハ演説でも、核軍縮への断固たる決意に比べると、一歩引いた表現となった。

これは、現在のミサイル防衛システムが技術的に未完成で、費用に見合わないという理由からだけではない。

このシステムが、核軍縮の妨げとなり、却って、軍備拡張を助長する危険を認識しているからだ。

アメリカの進めるミサイル防衛構想は、ロシアや中国から見ると、大きな脅威である。

自国が撃った核ミサイルは、すべて撃墜され、一方、アメリカから飛んでくるミサイルは、防ぎようがない、そいう事態を怖れているからだ。

核兵器による、死のバランスが崩壊して、アメリカが圧倒的優位に立ってしまう。

この恐怖の下では、アメリカが核軍縮を主張しても、ロシアは交渉に応じるはずがない。

同等のミサイル防衛システムを開発しつつ、そのシステムをかいくぐるミサイルを研究して、当面は、核ミサイルの数的優位を目指すだろう。

これでは、軍事費は増大する一方で、冷戦時代と同じである。

北朝鮮のロケット打ち上げで、日本でも、ミサイル防衛システムによる迎撃体制が、注目を集めた。

日本は核を保有していないので、国民からすれば、MDシステムは、純粋に自衛のための兵器で、他国の脅威になるとは、微塵も思わないだろう。

しかし、日本が、アメリカの核の傘に入っているのは、厳然たる事実である。

日本のMDシステムが強化され、在日米軍基地やアメリカ本土が、核攻撃からフリーになればなるほど、ロシアや中国が、より一層、軍備増強に走る可能性がある。

今のところ、このシステムは技術的に不完全で、実用段階と言えるかどうかも疑わしい。そのため、核バランスを壊すところまでは行っていない。

だが、今後も、日本が、MDシステムに大金を払い続け、その開発・改良が進んでいくと、不安感が増大して、本格的な軍拡競争が勃発するかもしれない。

さらに、北朝鮮のノドンは、到達時間が短く、迎撃が難しいため、在韓・在日米軍の脅威でもあるが、ロシアや中国が、北朝鮮のノドン保有を、一種の抑止力として、黙認する危険もある。

それは、日本の安全にとってプラスなのだろうか?

ミサイル防衛システムへの積極的な参加が、何をもたらすのか、もう一度、真剣に考えるべきである。


核の脅威、テロの脅威、そして、北朝鮮の脅威。

政治家や官僚は、国民に、さまざまな脅威を見せつけて、巨額の税金を、防衛費として使ってきた。

これは、アメリカの兵器産業を筆頭とする、世界の軍事産業に、巨額のジャパンマネーが流れ込んでいることを意味する。

しかし、軍事費が増えれば増えるほど、世界が不安定になり、平和が遠のいていくのは、歴史が教えるところである。

本当に平和を目指すのなら、核軍縮や緊張緩和を実現して、軍事費を抑制し、戦争や兵器によって利益を得る連中を、地球からなくすことが、最善の方法だ。

そのために必要なことは、国家が煽る脅威に、簡単には乗らないという姿勢である。

今回、政府は、日本を素通りすることが分かっているロケットに対して、「迎撃不可能」を「迎撃可能」と言い張って、破壊措置命令を出した。

さらに、迎撃ミサイルそのものによる被害を考えると、到底撃てないはずのPAC3を、秋田の市街地に配備して、大々的にマスコミに報道させた。

こういった実効性ゼロの派手なパーフォーマンスを繰り出して、首相を先頭に、政府を挙げて大騒ぎする。

北朝鮮へ恐怖、不安、憤りを感じる国民。

そして、その後、何千億円という税金が、防衛費やMDシステムに流れ込む。

平和に向かっているとは、到底思えない光景だ。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする