日本列島の各地で積雪のため、孤立している地域が幾つもあるのです。
このブログがPCで通信不能になるのは雪なぞとは無関係でしょうが、情報の断絶という意味では同じなのです。
スマホのおかげでそういう状態にあると連絡できる様は、何やらテレビで雪のなかに映しだされる日本列島の一角を見る思いがします。
目で見える様であればこそ、これが心の中であれば、いかにして見ることが出来るのでしょう。
日本列島の各地で積雪のため、孤立している地域が幾つもあるのです。
このブログがPCで通信不能になるのは雪なぞとは無関係でしょうが、情報の断絶という意味では同じなのです。
スマホのおかげでそういう状態にあると連絡できる様は、何やらテレビで雪のなかに映しだされる日本列島の一角を見る思いがします。
目で見える様であればこそ、これが心の中であれば、いかにして見ることが出来るのでしょう。
八「たしか、いまとなっちゃ一昨夜だが隠居さんの床上げ祝いの趣向に七
福神でもりあげようと、出かけるところだったな。あー、その中身ね。それ
があの和歌」
みんなの手元に紙一枚、一行の和歌が読みとれます。
【なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな】
そー、この思いつきも七さんでね、七さん、ちょっと説明を」
七「えー、これ横に書かれていますので、分かりやすいかと思いますが、
実際長屋の連中が手にした物は、縦長に読みにくいコピーでして、なか
なか一読了解というわけにはいきません。それで、御理解を早めるため
裏に訳して書いておきました」
九「今回は状況説明だな、うん、今度は分かる、これが訳か」
【長き夜の 遠の眠(ねむ)りの 皆めざめ 波乗り船の 音の良きかな】
一「なるほどねー上手いもんだ」
九「さすが、インテリ 分かるね」
一「これは回文(かいぶん)ですね」
七「分かりました」
袋「そうね、後ろから読んでも同じ文句ね」
八「ゴロちゃんのお母さん、読みが早いね」
七「そうなんです、前から読んでも後ろから読んでも同じ文字の並びで、例
えば “たけやぶやけた(竹藪焼けた)” なんというのがそれなんです」
八「まーな、七の説明だと、これを宝船の絵に書いて、初夢を見る夜枕の
下に敷いて寝るのだそうだ。すると良い夢が見みられるという話だ、隠居に
も良い夢を見てもらって店賃のことなど忘れてもろうという算段だ、え、そん
なことは七さんは思いもしねえ、うん俺の腹積もりだ、まあ半分冗談だよ」
今夜は宝船の絵が間に合わないということでして、各自が自分の紙に
お祝いの言葉を記し“恵比寿こと赤井一郎” とか “毘沙門天こと白田二郎”
などとサイン入りでございます。
八「それじゃ、いいかい書き終えたかい。一ちゃん英語で書いてもだめよ、
なにドイツ語 全然だめ、永遠の命を!をドイツ語で書くの、やめなよ永遠
に読めないよ。ゴロちゃんのお母さん、達筆だね、え、草書っていうの、読め
るかね隠居、残念なんだけどメガネがなくて読めねえ なんて言うよきっと。
陽子ちゃんの筆も大したもんだね、弁天さんだから朱で長寿か、おれも欲し
いね、病気にならなければダメ、それじゃ明日寝込もう」
九「二郎さんは毘沙門天で “病魔退散、健康長寿” だね。七さんと八ちゃん
は福禄寿と寿老人で “双寿の図 ” と書いてあるだけだが、なんだいこれは」
八「まあ、たまたまお互い寿だ、それに俺が八、こっちが七、七回病に倒れても
八回起き上がる、とも読めるし、福寿草の鉢を隠居の分と隠居の神さんの分と
二鉢届けようと思ってね、ただ二人とも花の見かたなど皆目わからねえ、ゴロ
ちゃんの母さんに見立てて貰ってからにしようと、それで今日はカタログ代わり
だ、そういうことでお母さん、あとで打ち合わせを」
九「七、八それはダメだよ、いやな鉢の話じゃない、金の話だ、イヤね今度の
床上げじゃ一切祝い金など持ってこないでくれてぇ話だな、隠居さんの気持ち
が分かるんでね、こちらも助かるというわけ。 そこでお二人さんが鉢ふたつだ、
俺もそっちはからきし不案内で、いくら位のものがこの位などと言えやしないが、
あの花屋の倅は御存じの通り遊び仲間で、こちらとしては顔がきく積りだ、明日
こちらのお母さんと一緒にいってこれならというのを選ばせてくれ、もちろん勘定
の方は割り勘でよ、四郎ちゃんも六さんも承知するにちげえね。それで、その二
鉢を大きい袋へ入れさせて隠居宅に届ける役は布袋さんの役だ」
まぁ、そんなこんなで隠居宅にやってきまして、
隠居「あー揃って来た下さったか、有難う、ありがとう。四郎さんのことは聞いて
る、本人の気持ちのことだから、うん、六さんもな、なかなか犬との仲直りが難
しいもんだ、何だか犬のいる方に背中を向けて寝てるそうだ、トラウマという奴
かね。背中だから知らぬうちにこちら側に向きが変わる、すると犬に噛まれる夢
にうなされるって、本当かね。これは五郎さんのお母さん、先日はわざわざご挨
拶にご苦労様でした。ゴロちゃんも来ればよかったのに、まぁお母さんの前で例
の酒癖がでるとまずいと思ってんでしょうか、裸踊り、なんでもゴロちゃんのお父
さんゆずりだそうで、親子二代にわたるとなるとこれは芸術ですな、最近はこの
長屋で受け継ぐ者だでてきまして、この八ちゃんなんか熱心で……え、嘘だ、そ
んなこことはないだろう、この前のあの料亭で、え、それは無いことに……、これ
は病気中の悪い夢だったか。まあ今夜はそんなこともないでしょう、遠慮なく席
順など関係ありませんから適当に座って下さい、掛けて下さい」
ということになりました。
それからは、八の言う “よく飲んで、よくしゃべって酔って酔って” 寝込む前に
件の紙を出し合いまして、和歌の一節を読み隠居さんに祝いの言葉を添えて渡
します。
隠居「なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな、
なるほどこれは回文ですな」
一同「いーえ、回復です」
今夜でやっと、「これにて一件、落着」となると思って楽しみにしてたんです
がね、これじゃ木戸銭を返してもらわねば、帰るに帰れない!
おいおい、あそこで何だか凄んでいるね、え、木戸銭なんかもらったのかね。
そんなもの貰えるわけがありません。
そりゃ、私も分かってる、けど、ああして返せって大きな声で言っている以上
は、なんかあったんだろう。
あれが手なんじゃないですか、そのうちいくらか包んでくるとかん違いし、
ほっとけが疲れて帰っていきますよ。
そんな場面もありましたが、第五回目にあたります今夜、番外編となりました。
kaeru芭蕉の象潟到着の知らせが入りました。芭蕉がここで詠んだのが、中国
四大美女のひとり西施(せいし)の名を詠み込んだ一句です。
象潟や雨に西施がねぶの花 (きさかたやあめにせいしがねぶのはな)
■奥の細道の旅 (2/17着)
○現在地 象潟に到着しました。
○次の目的地 村上
○次の目的地までの距離 107.3km
○次の目的地までの歩数 143,451歩で達成です。
この句に対する長谷川さんの詞。
≪「松島は笑ふが如く、象潟はうらむがごとし」と(芭蕉『おくのそほ道』に)ある
とおりです。芭蕉の「象潟や」の句の西施は眉をひそめる愁わしげな表情が英
雄をも虜にしたと伝えられる中国春秋時代の傾国の美女。「象潟」は現実、雨
に濡れる合歓の花に西施の面影を重ねた「雨に西施がねぶの花」は心の世界
ですから古池型の句です。≫
さて、「長屋四大美女」を誰にするか、となると長屋の構成メンバーを特定し
なければなりません、必然的に女性の姿が現われてくることになり、当然、語り
もそれに相応しい、聞く人の如何にも御婦人が話せば、かく聞こえるに違いない
と思わせなければ、またまた木戸銭返せなどという声がこのブログの画面上に
「聞えて」こないとも限りません。
なによりもこの長屋に四人以上女性がいるのか?それさえ特定されていない
現在、なぜ四大だどという法外な数値が出てきてしまったのか、最小にして最
適な「ミス長屋」は誰か位のことに目途をつけてから西施の句に付き合えれば、
無用な逡巡もなく過ぎたものを。
明日の最終編へとどう流れ込めば破綻を繕うことができるなか、湘南の雪解
け水の如く静かに流れこめればと、長歩きをしつつ水の流れに目をむけてきま
した。
ところが、時折音をたて屋根よりの落雪、これはドカンとくる気配かな。
どんな悪夢も何時かは終わりがまいります、悪夢だけでは片手落ちになり
ます故、夢の様な素晴らしい、今、あなたが見ているその夢も何時かは終る
のです、どーかその時がくるまでめくるめくひと時をご堪能ください。
目が覚めている人は八ちゃんの言葉に耳を傾けて下さい。
八「やぁー、よく飲んだね、しゃべった酔ったそして寝た!おわり」
kaeru「待った!また寝るな、なにが終わったのだ、夕べの話はどうなってる?」
八「昨夜?あー隠居さんとこでの話、だからよく飲んで、よくしゃべって酔って酔っ
て、そこで寝込んでしまい、朝方自分の部屋に戻ってまたすこしひっかけて寝た、
それが一日だけど、なにか問題かい?」
ka「八ちゃんのことも知りたいが、隠居さんとこでの集まりを知りたいですよ、昨
夜のままだと全部中途半端、え、どうなったの七人も行って、隠居さん喜んだで
しょう。陽子さんは酔ったんですか、五郎さんのお母さんはどうだったんですか」
八「わ・か・り・ま・し・た、要するに知りたいのは七人のうち、お二人だけ、御婦人
の酔った姿を詳らかに知りたい、そしてあわよくば自分のブログで、あたかも自
分が目にし耳にしたことかのようにして載せようという魂胆だな。いや、言い訳
は必要無い、それはそれでアンタのことだからどうでもいいんで、この長屋に直
接関係してこないかぎりどーぞ、御勝手にということ。昨夜のお二人について言
えば、御立派、陽子ちゃんについてはみんな知っている理想の女房、まぁ長屋
の鑑だな、女ばかりじゃない男も含めて言ってるんで、これは隠居も太鼓判。
だんだん、頭がはっきりしてきた、うん、五郎ちゃんのお袋さん、これがまた凄い、
陽子ちゃんを五人集めて2で割った位凄い、うん、中身が濃い。生まれは鹿児
島だってそう薩摩、え、そうなんです、あの「てんがらもん」の薩摩おこじょ、これ
は偶然それとも必然、その辺のところは神さまが知っていること。それで、陽子
ちゃんとそのお袋さんが話をしているのを聞いていると、陽子ちゃんも親の代は
九州に居たんだって、いや鹿児島じゃない、それその上の、うえ?なに?違う
雲の上じゃないよ、北そう鹿児島の北だよ、福岡?一気に飛ぶな、長崎にも行く
な、うんそのまま下がってきて、何だか背中の痒いとこ当てに動いてる感じだ、
うん、佐賀か、もっと下がる、うん、その辺が田原坂、西郷さんだな、それで一気
に右肩さがり、あまり行き過ぎると太平洋だ、その手前、どこ?宮崎、そうその辺。
日向ってある、そこが陽子ちゃんの両親の里なんだって。陽子ちゃんとお袋さん、
二人気が合って、結構飲んでたよ、陽子ちゃんの強いのは知ってたが、お袋さん
も強い、強いというより実に深い飲み方をする、言い方が難しいが酔わないわけ
ではない、崩れないと言えばそうなんだが、飲むにつけ変わっていく、その変わり
方が深くなっていくと言えばいいのか、そんな感じだね」
ka「どうしたの、八さん、首なんか廻し始めて」
八「こうしていると、だんだん、昨夜のことがはっきりしてくるんでね」
ka「ビデオの巻き戻しモードだね」
八「おっと、この辺か、もうしこし先か、いや、今ね、俺がトイレに入った場面が出た、
話そうか」
ka「遠慮する」
八「こちらは配慮する」
ka「昨夜、七人で七福神をやろう、となり何をやろうか、というところでお時間!に
なちゃったんだが、何かやったんでしょう」
八「そこなんだよ、そこの場面がね、なんだかモザイクがかかっている、うん誰か
裸踊りでもしたのかなー まさか俺じゃないよなー 記憶がないものなー お!
なにか文字のようなものが記憶の底から浮き上がって来て、え?な、な…だよな」
ka「一字だけ?幾つも、そう 読みあげて 書きとるから、え? な・か・き……」
このようにして八さんの記憶の底というべきか夢の底とすべきか、いずれにしまし
ても書きうつされましたのはこの三十一字であります。
【なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな】
お分かりですか、かなり和歌に堪能な方で、〇文?そうなんです。
ここまでたどり着いたというか、迷い込んだとすべきか、いずれにしてもオチが!
これ以上落しようのないとこで「下げがない!」でオチにするか
これ以上下げ様のないところで「落すな!」でサゲになってしまうか、
それが問題なのです、悩めるkaeruより。
八「はじめたね」
九「だれがなに?」
八「いや、このブログだよ、オチが決まったのかね」
九「決まちゃや、いないだろ。苦し紛れの三回目、三界に家なし、帰るに帰る
家ない語り部、家なしっ子のはじまりだよ」
ってなことではじまりまして、
八「やーみなさん、御苦労さんです。お聞きのとおり九さんが来まして、みんな
揃いました、でご相談の件ですがこれから何かをと話出してまとまらないうちに
時間が来てしましましては当番として、拙いと思いまして、先月の当番の七さん
と先に相談させてもらいました。よろしいいでしょうか、はい、では七さんから」
九「ちょっとまて、いえね、七さんの話を止めるわけじゃないんだが、俺も一昨夜
から、このブログに出て八さんとしゃべって来てたわけ、やっと三人目になったん
で、よかったと思うんだが、俺の両隣りの御婦人がた、どなたなのかなーと思って、
これから七さんの話を聞こうと思うのだがそれが気になってならねーんだ」
八「そりゃ俺が悪かった、いや他のみんなはお互い紹介し合って……、いや顔見
知りの三ちゃんの神さんは改めての関係ではないから……、なんだい九さん、不
思議な顔をして、分かった、見慣れているといっても普段は素っぴんだから、三ちゃ
んの奥さんだよ、陽子さんだよ。なんだい、九さん口をあけて見惚れていちゃいけな
いよ、ちょっと御婦人は化粧をすると分からなくなるからといって、そうイ・ツ・マ・デ・モ
口をあけておくな!というの、陽子さんひと言なんか言ってやって口を締めさせてくだ
さい」
陽「いつもお世話になっています、三次郎の家内です、うちのに急が仕事が入ってし
まいし、参加できなくなったものですから、隠居さんの席を欠かすのも申し訳ありませ
んので、こうしてお世話になります、よろしくお願いします」
八「やっと口が塞がったな、分かっただろう九さん、声を聞けば姿が一致すとというも
のだ、いい、九さんは口をきかなくっても、うん話をするなら後にしてな。こちら側の方
は、五郎ちゃんのお母さんです。知ってる通り五郎ちゃんのところでは来月出産だ、
それで奥さんは里帰り、一昨日からこちらのお母さんが来ていて五郎ちゃんと赤ん坊
が来たらその子の世話もしてみたいって、しばらくこちらにそれでね、どうせなら皆さん
との付き合いはじめにと、うん出てもらうことに。五郎ちゃんもいっしょにと言ったんだが、
あいつお袋さんの前で飲むのをいやがったンじゃないかな、まあいいやな。それじゃ、
七さんはじめて、と思ったら手が上がったな。
一か、短くやってくれ、うんお前さんが話し出すと長いからな―、お母さん、こいつは
この長屋でただ一人の大学出、インテリなんでね、え、そうそうなんです。東京大学だ
というんです、なによく聞いたら東京の方の大学、ア!一だ、なに小便我慢できなくなっ
て、立って行った。わざわざ手あげて行くこともねーのに、あれ一が戻ってきたら二郎
かい、冷えるからねー。おっ二郎も戻っていきたな、それじゃ七さん、やってくれ」
と、はじまりましたのが、七さんの話。
七「えー、御来場のみなさん!」
九「おいおい、どうしたの、御来場ときたよ」
八「七はな、こう言いださないと本題に入れないと言うんだ、まあ黙って聞いてっいてくれ」
七「本日の主題はいかに大家さんの病気からの回復を寿ぐか、それを通じて世に言う店
子と大家の親密なる人間関係の密度を一層高め、加えて今日求められる災害に強い
地域づくりに寄与せんとするか、ここにあるものと思うものであります、それゆえ」
九「待った!止め!とめろ、つて言うの、ストップかけて!」
八「もう止まっているよ」
九「イヤこの話、正面にいて聞いていたら心臓が、ほれドキドキして、これ以上は身が持つ
か七さんの首を絞めるか、そんな気分になって来た、まいった。八ちゃん、なんとか話の
ポイントだけ聞かせてくれ」
八「それじゃ、俺の方から、ひと言。せっかく祝い事に七人で行くのだから七福神で行こう、
という趣向なんだ」
九「それだけかい」
八「これだけ」
九「それが七さんのお口のかかると、御来場からはじまって地域づくりにキーする、なんちゃら」
七「寄与する、です」
八「まー、その辺のところは別にして、どうだい、趣向としては」
九「悪くはないね、いや、いいんじゃないの。八ちゃんの頭では上出来だよ、なーみんな」
八「そうかい、みんなが良いというならこれで行こう、もとは七さんの知恵なんだ、頭が細か
いから何かと、難しく言い出したけれどね。それで役振りだが、紅一点の弁天さんは言うま
でもなく三ちゃんの奥さん、陽子さん。それに大黒さんはお母さんになってもらって、その後
だ。誰がなにをやるか、こちらで決めさせてもらって、うんもう時間もないから、いいかい。
それじゃあとの五人を順番で、恵比寿さんは一さん、二郎さんは毘沙門天、七さんに福禄
寿をあと俺が寿老人で九さんには布袋さんだ、それいいかい、悪いって言われても困るが。
うん、そうそう何をやるかだろう、それなんだが、こうしたらどうかと思うのだが……」
と言う部分は明日になるようです。
珍作あらため呆作になりましたことの由来はコメントで述べさせていただ
ましたので、ここでは触れません。 それにしても有難いことです、こうしてコ
メントからいろいろ知識をいただき、直ちに「つぶやき」になるというのは。
どうやら小泉ショー劇場の第2回公演は予想外だったようで、お客さんも銭
を払って観る以上、本物を観たいですよ。 これから「コメント小劇場」の時代開
幕の予感あり、です。
さて、九さんの「蟻が鯛なら……」のしゃべりを受けまして、
八「なんだいそのアリがタイ、とかいうのは」
九「これが分からないの、無学な男は困るね。 有難いだよ、そうくりゃ芋虫は鯨
位になるだろう、て言うわけ、分かった? 未だ分からん顔だな、自分で考えな。
それより隠居が小遣くれるちゃ話はどうした」
八「小遣まで出すかは分からんよ、でも徳利の一本くらい出るだろう」
九「いーね、この雪空に熱燗でいっぱいはうれしいね、行こう、行こう」
八「おいおい、引っ張るなって。どこへ行くんだ」
九「隠居のとこだろ」
八「何しに」
九「え? 酒飲みだよ、お前が言ったばかりだろ」
八「どうして」
九「え? これもお前が言ったんだぜ、隠居が飲ませるって」
八「俺は、今行けば酒が飲めるなんぞ、言っちやいないよ」
九「なんだ、来年の話か」
八「馬鹿、年変えて二つ月も経たないのに、来年の飲む話をする奴はいねえ。
お前も知っている通り、隠居が風邪から肺炎になりかっかって寝込んだろ」
九「うんうん、これはしめた、と思ったあれだね」
八「お前、そんなことを言うから罰が当たると言うんだ。雪に滑ってあやふく腕を
折るところだったろ」
九「あれは、受け身を試しただけさ。いやね、隠居が亡くなれば俺の借金も無くなる、
と思ったね、あさましい話だがね。ところで、その隠居がどうした」
八「そん時、長屋でみんなで包んで行ったろ」
九「香典、じゃない見舞いだな」
八「床上げをしたんで、みんなに礼をしたいと言うんだ。今月の当番が八ちゃんだか
ら俺から声をかけてくれというんだ、それでね一ちゃんから七まで声をかけ終わって
お前に会えたというわけだ。そんなことで今夜だ。ああ、ふたり欠けるな、四郎と六さ
んだ。 四郎だろ、あいつ誰も気にしちゃいないっていうのに自分で俺は四郎だ、四の
つく俺が病気見舞いは勿論、快気祝いにも顔は出せねえ、てこの前の見舞いの包み
にも名前を書かせなかったくれえだ。六さんは六な理由じゃない、隠居の所の酒は不
味いとか、いうが本当はあそこの犬が恐いんだ、それで近づかない。うん、そう一度か
みつかれたからな、え、そうなんだよ、犬の方からいえば噛みついたのではなく、取り
返したんだ、たしかに最初の持ち主は六だ、だが一度犬の前の皿にのせたものをだよ、
5分も経ってから取り上げれば犬は噛みつくわ、当然のことだ。酔った六にそれが分か
らなかった故の悲劇だ。 まあな、それでだ、ただ飲ませてもらって御馳走さまでは面白
くねえ、なにか趣向をこらそうと、行く前に相談することになって、そう一時間まえに俺の
家に、九さん、何かかんげえてきてくれ、みんなそれぞれ無い頭をあつめる、頼んだぜ」
という会話がありまして、相談の場となりますが、こちらも先の話をすすめるのに考え
なければなりません、ので今夜はここまでに。
八「おーい、聞いたかい?」
九「おー、聞いたよ」
八「おいおい俺は未だ何にも言っちゃいないぜ。」
九「だからね、お前がおーい聞いたかい、ていうのを、聞いたよ、って言うんだ」
八「馬鹿、そんなこといちいち返事されてちゃ、日が暮れちゃうわ」
九「そうでもねえだろう、いつも隠居が話は丁寧に、て言ってるぜ」
八「その丁寧とは話が違う、その話はもういい。イヤな、その隠居のことだ」
九「とうとう死んだか」
八「そうじゃねえ、でえいち二月に死なれてたまんないよ。暮れと正月に金は
あるだけ使ったあとだよ、香典だって大変だよ。普段から大家と長屋の店子
(たなご)は親子のようなものだ、と言っている積りの隠居だよ。こちらの懐
具合を考えてあの世へ行くよ」
九「そりゃそうだ、こちらの懐もあるが、本音は実入りの計算だろう。金のない
今より懐が温かければ、つい二三枚多く入れちゃうからね。それじゃ隠居
俺たちに小遣いでもくれるのかい、そりゃ蟻が鯛なら芋虫クジラだ」
突然ですが、14日にならんとしています。あとは明日に……。
ひと言、本日本格的に「普段の暮らし」に戻りまして、何かと整理をして
気分一転の「語り的つぶやき」を書こうと思っていました所、茶千さんの
コメントに「床上げ」とありまして、これをタイトルおよび内容に頂戴した
次第でございます。
茶千様ご了承のほどを、そして皆々様にはお付き合いを頂ければ有難
いことでございます。
終りがあるのは有り難いことです。明日がやってくることができます。
だから風邪引さんとして今日を終えても、明日中にご機嫌さんになることができます。
同じことを三日くらい続けて書くかも。その時は三日を一日と計算すればいいのです。数学は難しいが算数は毎日のことですから。
5分残して、今日から明日へ!
年寄りの冷水、と粋がっていると年寄りの鼻水となり、さらに進むと
年よりは風邪引き易し引けば死す 草間時彦
こうなった諦めるしかありません。あちらへいって諦めるか、この世にて諦めるかの違いです。
遺言となりし電話の咳の声 関口祥子
俳句とは無慈悲な文学です、それが魅力ですが。文学というものはそういうものですが。
とは言え俳句は美を詠みます。
水ばなを拭き美しく老いたまふ 北 山河
kaeruの鼻拭きもお見せしたくなります。
白湯飲んで風邪に挑めるゼロ三時
発汗がはじまり、水分補給で白湯を飲む。
これがうまい。
これは俳句とは言ない。短文状況報告とでも
呼ぶのか。