notation

映画【萌の朱雀】

2007-12-09 23:47:17 | 映画


萌の朱雀
1997
河瀬直美


97年のカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)作品。
河瀬監督は「殯(もがり)の森」で2007年のカンヌでグランプリ(審査員特別大賞)を受賞したことでご存じの方も多いでしょうか。


本作はストーリーをちゃんと理解して、というタイプの映画ではありません。
劇映画であってその役割を解説する台詞やナレーションなどが一切ありません。
ジャケ裏のあらすじはきっちり読んでからの方が良いでしょう。
何が何だか分からなくなること必死です。
一瞬の人間の表情を撮るような作品なので意図的にストーリー展開を排除したということもあるのでは。
「インランド・エンパイア」で途中退場した方や、話の展開が分からないともの凄くフラストレーションがたまってしまう方は遠慮した方が良いかと。


質感が全て、16mmフィルムで撮影された粒子の粗い映像と8mmフィルムの素朴な質感がとても効果的。
むしろズルイと思うほどに。

フレームの切り方がフォトグラファーの川内倫子さんの写真集の質感に近い。
本作のキャメラは田村正毅さんという方。このキャメラ無しにこの作品は無かった。
どうも好きだと思ったら、青山真治監督の「Helpless」「ユリイカ」「サッドヴァケイション」でもファインダーを覗いています。
決まっているのか決まっていないのか分からない不思議なフレーム。


誰かの、もの凄くプライベートな部分を観てしまった様な映画です。