神が宿るところ

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西湖山 林香寺

2011-08-26 23:05:45 | 寺院
西湖山 林香寺(せいこさん りんこうじ)。
場所:静岡市清水区由比東山寺38。県道396号線(富士由比線。旧国道1号線)「入山入口」から県道76号線(富士富士宮由比線)に入り北上、約1km。「林香寺」の案内板が出ているところから狭い道(東側)に入る。駐車場あり。
当寺は、鎌倉時代に宋より帰化した九英禅師の開山と伝えられる臨済宗妙心寺派の寺院。「西湖山」の山号は、当寺の境内から見える駿河湾の景観が、現・中国浙江省杭州市にある「西湖」(世界文化遺産)に似ているところから名づけられたという。
さて、天下を平定した徳川家康公は、征夷大将軍位を辞した後も、駿府城(静岡市葵区)を隠居所として、いわゆる大御所政治を行った。この頃、現・静岡市清水区由比北田に御殿を設け、由比付近の山で盛んに鷹狩りを行った。慶長14年(1609年)、鷹狩りに疲れた家康公が当寺に立ち寄り、冷水を所望したのに対して、当時の住職であった天輪和尚は冷水に山椒の葉を浮かべて出したという。その香りの良さに感心した家康公は、和尚に山椒の献上を命じる一方、13石余の知行地と寺中山林竹木の諸役御免の朱印状を与えたといわれている。その後、山椒は毎年、駿府と江戸に届けられ、元は小さな庵だった当寺は栄えて、近隣に知られた名刹となったという。
ところで、当寺の本堂裏に「立木観音」がある。一般に「立木観音」には2種類の形態があり、1つは何か不思議なことがあった樹木(落雷を受けた木など)を使って観音像を造立したもの、もう1つは生木の洞(うろ)などに直接、観音像を彫り込んだものである。前者は、完成してしまえば、他の観音像と見分けがつかなくなる(実際には、素材が制限されたなかでの一木造りになるので、やや不自然な形のものが多いようだが。)。一方、生木に直接彫り込んだものは、木の胎内で成長・変化していくことになる。わが国では、古くから、巨石や巨木、あるいは、大きくなくても不思議なことがあった石や木には神霊が宿ると考えられてきた。「立木観音」も、こうした日本人らしい発想から作られてきたものと思われる。


「ハローナビしずおか」のHPから(西湖山林香寺)


写真1:「西湖山 林香寺」山門


写真2:本堂


写真3:本堂裏の崖の上にある生木のクスノキに観音像が彫られている。
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