神が宿るところ

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賀毘礼之高峯

2019-10-12 23:48:03 | 磐座
賀毘礼之高峯(かびれのたかみね)。現・御岩山(おいわさん)。
場所:茨城県日立市入四間町。「御岩神社」(前項)社殿から山頂(標高492m)まで徒歩30~40分。「御岩神社」から先は基本的に登山道であり、少なくともスニーカーなど歩きやすい靴で登ることを勧める。駐車場は「御岩神社」駐車場を利用。
「常陸国風土記」によれば、立速日男命(タチハヤヒオ)、別名・速経和気命(ハヤフワケ)という神が松の樹の上に天下ったが、村人がその松の樹に向かって糞尿をすると、病気にするなどして祟った。そこで、朝廷から使いが派遣され、清浄な「賀毘礼之高峯」という大きな山に移っていただくことになった、という。立速日男命は「常陸国風土記」にしか登場しない神で正体不明であるが、「新修日立市史 上巻」(平成8年)では、火の神・軻遇突智(カグツチ)から生まれたとされる甕速日神(ミカハヤヒ)・樋速日神(ヒハヤヒ)に関連があるとみて、火の神、あるいは稲妻の神と推定している。そして、稲妻の神であれば、雨の神=農耕の神という連想もあって、春になると農耕の神は村里に下り、冬になると山に帰るというのがパターンなので、上記の「常陸国風土記」の話もこれを踏襲したものではないかと考えているようだ。
さて、この立速日男命を祀るのが常陸国式内社「薩都神社」(2019年9月28日記事)なのだが、いったん「御岩山」に祀られたが、山が急峻で参拝が大変、ということで、平地の現在地(茨城県常陸太田市里野宮町)に遷座した。そういうことから、「御岩山」中腹に奥宮「薩都神社中宮」がある。なお、これとは別に元社地という「薩都神社奥宮」の石祠もあるらしいが、そこへの道は廃絶しているため、一般人の参拝は困難のようだ(「御岩神社」の境内案内図にも載っていない。)。
因みに、かつては「賀毘礼之高峯」が現・「御岩山」か、現・「神峰山(かみねさん)」(茨城県日立市宮田町、標高598m)か、で説が分かれていたらしい。確かに、「かびれ」と「かみね」は何となく似ているし、「神の峰」の方がそれっぽい。しかし、「新修日立市史 上巻」では、「神が天降る」で「かむふる」、又は落雷を意味する「雷震」で「かんぶる」から転じたものだろうとしている。そして、大正6年頃から「御岩山」山頂付近の発掘調査が行われ、石鏃・石斧や土器が出土したほか、甕型土器数個が一直線に並べられた形で発見されたりして、古代から祭祀が行われていたことが明らかになった。そうしたこともあり、今では「賀毘礼之高峯」が「御岩山」であることが定説になっているようだ。


茨城県のHPから(賀毘礼の高峰)


写真1:「薩都神社中宮」鳥居。「御岩神社」奥宮である「賀毘礼神宮」への裏参道の途中にある。


写真2:同上、社殿


写真3:山頂に近づくと、こんなところも。


写真4:山頂近くの石祠(「御岩神社」の奥宮?)


写真5:山頂の尖った岩。これも磐座っぽい。


写真6:山頂付近からの眺め


写真7:「御岩山頂上 賀毘礼之高峯」。これが磐座だろうか。
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2 コメント

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Unknown (mitgak)
2019-10-13 16:57:01
昔は比較的自由に入れたのですが。。。いまは非公開と謳ってますし、道を外れないとかルールが決められてます。参拝者が増えて遭難するような方が出て来たので仕方がないんでしょうね
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Unknown (ブログ管理人)
2019-10-14 08:34:21
mitgakさま、ありがとうございます。

御岩神社には正月に参拝したのですが、予想以上に参拝客が多くてびっくりしました。
そのまま軽い気持ちで御岩山に登る人たちもいて、中にはサンダルやハイヒールで登ってきた人もいて、もっとびっくり。
山頂に上ると、なるほど「聖山」という感じがします。
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