備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム71.龍之口八幡宮

2008-10-26 18:58:29 | Weblog
龍之口八幡宮(たつのくちはちまんぐう)。
場所:岡山市中区祇園996。県道219号線(原藤原線)「祇園西」交差点のところから「グリーンシャワー公園」の案内板に沿って進むと駐車場がある。そこから龍ノ口山山頂方面に登る。徒歩約30~40分。なお、四御神の「大神神社」の北にも参道があり、約2kmの狭い山道。
国内神名帳総社本では、上道郡の「高嶋神社」のところに「上道郷段原村龍口山ニ座」との脚注がある。脚注は後世のものだが、いつのものかは不明。ちなみに、西大寺本の脚注では「脇田村」となっている。
要するに、総社本の脚注者は、上道郡の「高嶋神社」を「龍之口八幡宮」に同定していることになる。
「龍之口八幡宮」の創建時代は不明だが、社伝によれば天平勝宝年代以前。その後、戦国時代には、現在の社殿がある辺りに「龍之口城」本丸が築かれたこともあって、廃社同然となった。しかし、江戸時代には岡山藩主の崇敬が篤く、社殿が再営され、参道が整備された。最近では受験の神様として有名で、参拝者も多い。眺めも良く、北側に金山や本宮高倉山、南側に操山や金甲山などが望める。
面白いのは、本殿は東南を向いているが、そのすぐ脇に小祠があり、こちらは南西を向いていることだ。小祠は大岩の上に載っており、岩の向きに沿って建てられたのかもしれないが、斜めに本殿の方を向いており、なんだか変だ。この岩は磐座?(山の上に大きな岩があると、何でも磐座と思ってしまうのは悪い癖。)。ちなみに、本殿の後ろには「石鎚神社」もある。
奈良時代の創建(=宇佐神宮から勧請?)というのは伝説かもしれないが、備前国府の背後の山でもある「龍ノ口山」が聖なる山であったことは確かだろう。ただ、何故「高嶋神社」に同定されたのかはわからない。あるいは、「高嶋神社」が寂れた一方、岡山藩に庇護された「龍之口八幡宮」が隆盛したことによるものか、とも思われる。


龍之口八幡宮のHP:http://tatsunokuchi.net/index.html

岡山県神社庁のHP(龍之口八幡宮):http://www.okayama-jinjacho.or.jp/cgi-bin/jsearch.cgi?mode=detail&jcode=01074


写真上:本殿前にも岩が露出している。


写真下:本殿横の小祠